第10賞 馬の自暴自棄
新しい生活が始まった。馬のではあるが・・・。
ペルドは少し自暴自棄になっていた。
騎手界のプリンスと呼ばれ、有名女性芸能人からもモテた俺が、裸の姿を晒して、草や生のニンジンを食べ、下(排泄物)の世話をしてもらう日々が続いてい・・る・・イ・ヤ・だ~。
しかし、ちょっとながら嬉しいのは、中央競馬会で騎手をやっていた時は、毎日が勝つことの当たり前(使命感)に直面し、不眠症になっていたが、馬になってからは、寝つきが滅茶苦茶良くなったことだ。
それに、ここの仲間達(厩舎の人間達)はいい・・なぁ。
馬になった今では、人間の会話はまだ良く解らないが、皆の持っている雰囲気で分かる。
馬の俺に対しても温もりが伝わってくるし。
あ~あ、人との会話が出来たらいいのに。
馬になった俺が理解できる人の言葉は、俺の馬名がマーズと言うことと、その仲間達の名前が『ナ・ガ・ヌ・マ』、『ヨ・シ・ム・ラ』、『ユ・キ・ノ」とだと言うこと。
みんな大好きな連中だ。
『ユ・キ・ノ』。何故か、その名前が引っかかる。もしかすると、一度死ぬ前のマーズが、馬と言えども人に恋したのかも知れない。
あんだけ器量が良くて、それでいて純粋無垢な感じが男心をくすぐる。だとしたらマーズの気持ちがわかるなぁ。
あ~あ、馬でなく如雲ペルドで出会っていたら、女を100%落とすことができると自負していた俺は・・・即ナンパをしてたかぁも?
人間だった頃の、じょうーん(如雲)カァムバァック~。




