うちの学校には「禁足地」っていう都市伝説があってだな、、、
なろう始めたての初心者です。どうか温かい目で見守ってください。
それは突然の出来事だった。背後から雪崩のような音が鳴り響く。
振り返るとそこには、粉々に砕かれた岩、そして赤髪の青年がいた。
彼の名前はレイン・アルト。
入学早々、揉め事を起こし教師を半殺しにしたと噂されている。
彼の噂はまたたく間に広がり、今では学校の伝説となっている。
そんな彼がどうしてここにいるのだろう。
今は野外学習の真っ最中。複数人の生徒と担当の先生がグループを組み「怪しの森」の調査を行う。しかし、あたりを見渡しても、彼のグループらしき人物は見当たらない。
俺達は状況が理解できず、ただ彼を見つめていた。
沈黙の後、彼は何もなかったかのように歩き始め、雑木林の中に消えていった。
「なんだったんだ今の!」
「あの人ってレイン・アルトだよね!!」
「嘘!私、始めてみた!!」
あまりの衝撃にグループのみんなが、興奮して話し始めた。
「まぁまぁみんな落ち着いて」
そう言って生徒をなだめるのはこのグループを担当するバンク先生。
「先生!!今の見ました!!あれってレイン・アルトですよね!!」
「あの音って魔法のですか!?」
バンク先生は生徒たちの熱量に圧倒されている様子だった。
「う、うん、そうだね、、、いやぁ、でも困ったなぁ、、、」
先生はそう言いながら顎髭をさすった。
「ねぇ先生!彼のこと追いかけましょうよ!」
「あいつ何しでかすかわかりませんよ!!」
生徒たちはそう言ってバンク先生を催促する。
「うぅぅん、そうだね。仕方がない。ちょっと授業は一時中断にしようかな。みんなついてきてもらっていいかな?」
「はい!!」
「もちろんです」
「えぇまじかよw」
そんなこんなで俺達は彼の後を追いかけることになった。
「なにしてたんだろ?」
「私一回だけ顔見たことあるけどすっごいかっこよかったよ」
「えぇ、いいなぁ」
自慢ではないが俺はレイン・アルトと話したことがある。
それは入学してすぐのことだった。
俺が落としたハンカチを届けてくれたのだ。
「ありがとうございます。」
俺がそう言うと彼は
「いえいえ」とだけ言い残し、走り去ってしまった。
それがきっかけだったのだろう。俺は彼の起こす出来事について嗅ぎ回るようになった。
「何を考え込んでるんですか?」
「うわっ!!いきなり話しかけてくるなよ」
こいつの名前はリアム。とても社交的な爽やかな青年だ。今まで全く接点がなかったのだが、同じチームになってからよく話しかけてくる。
「驚かせてしまい申し訳ありません。楽しそうだったのでつい、、、なにかいいことでも?」
「ん?いや、何でも」
「そうですか、、、」
彼はボソリとそう答えた。
そんなこんなで、僕達はレイン・アルトが通ったであろう獣道を縦一列になり進んだ。
しばらく歩くと森の様子が一変する。
今まで木漏れ日が差していた森が、薄暗くなっていく。
「気味悪いな、、、」
「本当にこの道で合ってるの?」
みんなの会話からも不安な様子が伝わってくる。
「先生っ!!」
先頭を歩いていた生徒が声を上げた。
「あぁぁ」
身を乗り出し前方の様子を確認する。そこには、巨大な柵があった。
「禁足地だ」
禁足地とは、学校で噂されている都市伝説のことだ。森の奥深くに柵で囲まれた場所があり、ナニかを封印していると言われている。
「本当にあったのか、、、」
森の奥には霧が立ち込めており、今にも何かが出てきそうだ。
「あいつ、この中に入っていったんじゃ、、、」
「えっ、嘘、、、」
「いや、でもあいつならやりかねねぇぞ」
するとバンク先生は柵をよじ登り始めた。
「ちょ先生!!」
「何してるんですかっ!!」
「みんなはここから離れて!!他のグループの先生に連絡っ!!」
バンク先生がここまで焦っている姿は見たことがない。
「は、早く戻ろうぜ、、、」
「うん、、、」
俺達は不安に襲われながらも、急いでその場を後にした。
その後、すぐに野外学習は中止となり、学校はしばらくの間、休校となった。
噂によるとあの後、禁足地の捜索が行われたそうだ。しかし、捜索は難航。3日後には取りやめられたらしい。学校が再開するとバンク先生と同じグループだった俺達は、生徒たちからの質問攻めにあっていた。
「バンク先生が死んだってホントなのっ!?」
「ってどんなやつだったんだよ!!」
「禁足地ってどうだった!!」
一瞬間ほど学校では禁足地の話題で盛り上がっていた。
しかし1ヶ月もすると、いつもの生活に戻っていた。
「バンク先生のご自宅に今度、一緒に伺いませんか?」
「ん?あ〜いいよ」
俺とリアムはあの事件をきっかけに、たまに話す仲になっていた。
「ていうかお前なんでそんなに笑顔なんだよ」
「おや、あなたからそう言われるとは思いませんでした。」
彼は目を丸くしてそう答えた。こいつは時々、おかしなことを言い始める。
「どういうことだよ」
「自覚なしですか。まあ良いですよ」
こうして俺達の冒険は幕を閉じた。