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LV2



LV2ダンジョンに進んだ俺たちだが、なんてことはない、LV1ダンジョンの敵の攻撃力防御力が高くなった程度で、特別な動きをするやつもほとんどいなかった。唯一空から襲ってくるモンスターが増えたので、それに最初はほんろうされた俺たちだったが、攻撃してくる時にカウンターの一撃で倒せることが発覚し、最初はアーチャーに変身して迎撃していたが、攻撃してくるまで無視することに方針転換をした。敵モンスターの対策ができてしまえば、ダンジョンの攻略などたやすいもので、俺たちはずんずん奥へと進んでいく。


「ガンちゃん。どうやって避けてるんだ?」


「敵が下段攻撃をしてきたらジャンプ突きして上段攻撃をしてきたらしゃがみ下段をしてるだけだぜ。中段の攻撃力の低くて一番トロイ攻撃が来た時は一歩下がるか薙ぎ払いだな。」


「なるほど、理屈だけ聞けばできなくもなさそうだな。とくにヘビーウォーリアーの俺はすべて相手の攻撃に防御すればいいだけだし、結構さっくりできそうだ。」


「そうだな。要は遠くから攻撃してる割にダメージ受け過ぎだぞ。」


「仕方ないだろ。攻撃特化のランサと違ってアーチャーは攻撃力低いから懐に入られたらなかなか倒せないんだ。」


俺が倒し損ねた敵を二人がさばいていくという方針のもと進んでいるのだが、二人にも結構ダメージが見られる。そうはいっても二人のダメージは俺が拾わなかった薬草などで十分に回復できる範囲だが。


っと、そんなことを思っていたらまた敵が出てきたぜ、俺は今までに出てきたことがない愛らしい兎のモンスターに攻撃をしかけようとLV2ダンジョンに来てから思いついたダッシュ下段スライディングを決めようとしたところで幹久から待ったの声がかかった。


「こいつは敵じゃねえ。確か野兎とかいう仲間になるモンスターだ。」


「野兎?確かに攻撃してこねぇけど、こんな奴どうするんだよ?」


「ガンちゃん大量に薬草もってるだろ?そいつをその野兎に与えてみな。」


俺はカバンの中を確認したら本当に大量の薬草が入っていた。LV1ダンジョンを終わった時に30個ほどだった薬草はLV2ダンジョンでLAも取るようになってなんと100個近くまで増えていた。


「いつの間にか100個も薬草があんじゃん。いいぜ、ほれ食えよ。」


要と幹久がそんなに薬草を持ってやがったのかと文句を垂れてきたが、先ほどの街で補充していた二人もそれと同じくらいもっているだろう。まぁダメージを受けないで進んでいる俺は増えることはあっても減ることはないので持っていても仕方がない気もするのだが。


「キュピー!!」


薬草を与えると野兎は嬉しそうに俺たち三人の周りを駆け出した。


「こいつの効果はすげぇぜ。自動でPT内の一番体力が少なくなっている人を感知して癒す効果があるんだ。人数分野兎がいればそのPTメンバー全員にライフ回復を自動でしてくれるというすぐれものだぜ。」


「んじゃ薬草いらねぇじゃん。」


「いや、薬草の効果と比べると各段にそのライフ回復量は落ちるからな。どうしても薬草を併用する必要があるんだが、それでも今の俺たちなら10個に一個分くらいは薬草を使う頻度を減らせるんじゃないかな?」


「なるほどね。薬草一個で今後ずっとHP回復してくれるんだったらもうけものじゃねぇか。」


「そういうことだ。こいつはLV2ダンジョンに一匹しか出てこないから全員が死んでPT崩壊したらもう一度LV2ダンジョンに行く必要があるって攻略サイトに乗ってたぜ。」


幹久の説明は自分で体験したことじゃないようだが、いつもそういった情報は事前に自分で分析し、確かな情報かどうかも考えて来るので、自信を持っていっているのだから間違いはないだろう。


「なるほどね。じゃあ上級者もLV2ダンジョンには何度も行く必要があるってわけだ。」


「そういうこと、ついでに切れ味もプラス2していけば、次のダンジョンが楽になるしな。」


「じゃあ、後ろの心配はなくなったし、今まで以上にガンガン進むとするか。」


今までどうしても薬草を使うためのタイムラグが生じていた二人が楽になるのであれば、今後もっと楽に動くことができるだろう。PTの安心感は俺の動きをより鋭いものにかえてくれるはずだ。


「おう。一番ダメージを受けていた要がこれでライフの心配がなくなったからな。」


「幹久だって、薬草かなり使ってたじゃないか。残り少ないんじゃないか?」


「後衛の要よりもアイテムを拾える確率が高いから今度からはお前の分にわざと拾わなかった薬草を拾うことにさせてもらうぜ。」


「ついでだ。今俺が持ってる薬草は全部渡してやるよ。中堅の幹久が死んだらLV2ダンジョン攻略がきつくなりそうだからな。」


先ほどカバンを確認して大量に持っていた薬草、使い方だけ聞いて使わないのはもったいない気もするが、より多く使ってくれる奴に渡した方がいいだろう。ベルトに入ってる分は取りだす方法が解らなかったのでそのままに、残りを幹久に渡してしまう。


「サンキュお前は俺たちに構わずガンガンLAとってくれよ。」


こうして新しい仲間も増え、戦略的な幅が広がったことにより、俺たちのLV2ダンジョンの攻略は一層楽になった。野兎はダンジョンのかなり奥の方に出てくるらしくすぐにLV2のボスになったが、俺も5つほど薬草があったのでそれを使ってなんとかLV2のボスは誰も死なずに倒すことに成功した。


「お前ありえねぇな。途中まで火を噴くなんてありえねえとか言ってたくせに結局その火までサイドステップで避けて最後の方はノーダメージだったんじゃねぇか?」


「ああ、攻撃のパターンをつかむまではどうしてもダメージくらっちまうが、今なら一人でもLV2ダンジョンなら攻略できそうだぜ。」


「ソロ狩りなんてこのゲームはお勧めしてねぇっつの。まぁ本来四人ギリギリで進むはずのところを三人でクリアしてる時点でやばいんだけどな。」


「でも、LV2くらいまでは一応初心者歓迎ダンジョンでしょ?この前ソロで突破したってやつのブログを読んだよ。まぁLV1ダンジョンを何度も行って切れ味を20にしたマジックランスで、だけどね。マジックランスはライフ回復の効果があるから行けたんだろうね。」


「ちょま、ライフ回復効果ってなんだよ。俺そんなの初耳だぞ?」


何も知らない俺は、こうして幹久と要の会話からヒントを得ながら冒険をしている。ダンジョン内にいる時も、俺は黙々と敵を倒しながらそれでも耳だけは二人の会話にも傾けることで、おおよそこのゲームがどんな感じのものか解ってきた。


「二段階の武器にはそれぞれ元々の追加効果がついてるんだよ。まぁ鍛冶屋でどんな追加効果も付けられるスタンダード系の武器の方が良いに決まってはいるんだけど、追加効果がつけられるまでは二段階の武器はつよいよ。」


「なるほどね。とりあえず、手に入れたお金で鍛冶屋に行くか。先にアイテム屋でもいいけどよ。」


「鍛冶屋が先だな。鍛冶屋で武器を鍛えることがこのゲームの最短クリア方法だからな。お金が足りなくてアイテムが買えない場合はもう一度LV2ダンジョンに行って強くなった武器でお金を貯めて鍛冶屋に行ってもお金が余る状態になるようにするのがコツだ。」

自信満々に言い放つ幹久に俺はそれも自分で出した答えじゃないことを指摘する。


「それもサイトの受け売りか?」


「まぁな。とはいっても、上級者と呼ばれてる人でも今までLV5ダンジョン以上をクリアした人はいないから俺たちが持っている情報もそのうち尽きるかもしれないがな。」


幹久の言葉に疑問が浮かぶ、こいつらが前にゲームをしたと言っていたのは確か1周間くらい前だったはずだ、ゲームができた当初は4人でするゲームを2人で並ぶというのに抵抗があったためあまり積極的に参加せず、さらに二人では中々難しいので俺を誘ったんだとかなんとかってのを俺は聞いていた。


「このゲームってもう一カ月以上前からあるんじゃねぇのか?それでもLV10最上階ダンジョンに行った奴がいないのか?」


「ああ、それだけ難易度が高いのと、コンテニューにかかるお金が高いゲームだからな。LV2ダンジョンまで1000円で来れたなんて奇跡みたいなもんだぜ。」


「そうだったのか。まぁ俺は500円だがな。お前らのおごりでクリアさせてもらって悪いね。」


「くっそう。やっぱりこいつにはもう少し難易度の高いダンジョンに連れて行って己の不甲斐無さを実感してもらう必要があるな。鍛冶屋に行ってアイテム補充できるだけ補充したらLV3ダンジョンに行くぞ。」


「おいおい、良いのかよ?100万円しかないんじゃないのか?」


「バカ言え、お前と違って道々アイテムやお金を拾ってきたんだ。ボスのクリア報酬だけのお前と一緒にするな。」


「マジか?おまえいくら持ってるの?」


「不要なアイテムを所持した状態で120万ほどだな。被ってる武器とかを売れば300万円ほどになる予定だ。」


幹久の発言に驚き、要も同じような状態か確認する。


「まさか要もか?」


「ああ、さっきマジックランスが二本落ちたからな。そういえばお前まだスタンダードランスのままだろ?一本やるよ。」


要の好意はそのまま受け取っておく、先ほど聞いた話によると、武器の威力だけでなく、特殊な効果もつくらしいマジックランスという武器に装備を交換すると、その槍は今まで使っていたシンプルな手に馴染むような槍とは違い、ちょっとゴテゴテとしった装飾がついている物だった。


「お、サンキュー。それはいいんだけどやっぱりお前も200万くらい行くのか?」


「俺はそんなに行かないが、さっきよりも薬草が残ってるからそれほどお金を使わなくてもいいはずだぜ。」


三人で鍛冶屋に着くと、切れ味のプラスが2になっていたが、その代わり値段も跳ね上がっていた。


「おいおい、切れ味プラス2で40万は異常だろ。」


「ってことはLV3クリアの値段は900万もするってことか?」


LV1のダンジョンをクリアした後に切れ味を上げた時に1万円だったことを考慮すると、0が一つ増えて2倍になっている。その次は600万かもしくは900万かと考えて、あえて大きい数字の方を口に出してみた。しかし、それは簡単に否定される。


「いや、おそらくそれはない。LV1ダンジョンは完全なる初心者用だから1万と破格に安かっただけで次からは90万・160万となっていくはずだ。」


「それでも高いっつの。まぁ何とか俺が持ってるランスは両方切れ味プラスできるけど、これだとスタンダードボウの切れ味は上げられないな。」


「いや、ここは俺がスタンダードソードを一つお前にやるからこれを売って切れ味を上げておけ、直接お金を渡せないのは面倒だが、こうしてアイテムを使ってお金を貸すことができるのは良いな。」


「確かにそうかもしれんな。とにかく、切れ味はできる限り上げた方がいいから今は幹久の助言を受け入れておけ。実際ガンちゃんがさっきさらっと渡した薬草の分のお金の方が高いんだしな。」


「そっか、なら遠慮なくいただくとするぜ。悪いな。」


「いいってことよ。LV1すらクリアが困難だと思っていたのが操作に慣れてきたとはいえLV2までクリアしちまったんだこれくらいなんてことないぜ。」


こうして俺たちは切れ味をプラスして、要と幹久はまた大量の薬草を買いこんで次のLV3ダンジョンに進むことになった。












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