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現実世界F


現実世界へと帰ってきた俺にはそれこそ俺にとってリアルダンジョンでずっといた方が良いと思えるほどの試練がまっていた。


「がんちゃん。着替えた?やっぱり私が中に入ってきちんと着させてあげようか?」


「いや、いいから。頼むから中に入ってこないでくれ。」


まず、今まで避け続けてきた下着などを桂によって用意されていた。ゲーム機から出た時につけていないことを一瞬で見破られるとトイレへと連れていかれ、今、俺はきちんと下着までつけることを義務つけられた。俺は格闘技をする人間として柔軟な体つくりをしてきたので背中に手が届かないということはなかったのだが、それでも渋っていると、私がつけてあげると桂がトイレの外から声をかけて来るので仕方無く全てを着こなすとドアを開ける。


「フムフム。やっぱりがんちゃんは女の子でも可愛いと思ってたのよ。さぁ次はこっちよ。」


「ちょま。もうこれ以上は・・・」


「なにを言ってるのよ。大学生にもなってメイクの一つもしないで外に行くなんてお姉さんはそんな子に育てた覚えはありませんよ。」


「いつから桂が姉になったんだよ。」


「そうよね。ガンちゃん、私のことはお姉さんって呼んでもいいのよ。」


「ば、馬鹿を言うな。そ、そんなこと言えるわけないだろ。」


「じゃあ、なんて呼びたいの?」


「えっと・・・それは・・・」


「じゃあ、呼び方が決まるまではお姉様と呼びなさい。今日からがんちゃんが女の子として生活できるように一から指導していくわ。」


「ええ?そ、それはちょっと・・・」


「そんなこと言ってもがんちゃんずっと男の子として生きてきたんだから、女の子のことなんて分からないでしょ?大丈夫、ちゃんと優しく教えてあげるから。」


そう言って、桂に優しく抱きしめられた。男の時にはこんなスキンシップなんてしたことがなかったので俺はドキドキしながらも、首を縦に振り桂の提案を承諾してしまうのだった。

そこからは、トイレの外で待っていた幹久と要も誘ってご飯を食べに行くと、自然と俺のアパートまで桂が着いてきた。


「本当にあのゲームの影響で有名人になっちゃったのね。」


「そうだな。ゲーム機から出た後も質問攻めにあっていたが、あのゲームは相当難易度が高いらしく、あれをクリアできるってのはかなりゲーム好きには尊敬できることらしいな。」


「ほら、またそんな言葉使いをする。ちゃんと女の子らしい話し方をしなさいっていったでしょ。」


「そんなこと言っても急にはかわらねぇよ。」


「まぁいいわ。次にゲームをする一週間まで時間はたっぷりあるんだもの。それまでに私がみっちり指導してあげるわ。」


「はいはい。お任せしますよ。ところで桂の家ってこっちじゃないよな?」


「え?何を言ってるの?今日からがんちゃんのアパートで一緒に暮らすんじゃないの。」


「えええええええ????」


桂が当然のようにそう言ってきたことに俺は驚いたが、桂は当然のことのようにそう言うと、今持って来ている荷物は少ないが、明日には届くように既に配達しているという。こうなっては押しの強い桂を俺が説得することは不可能で、そのまま一週間俺は桂に一日中、大学は違うので大学の講義を受けている時間を除いては全ての時間を桂と共に過ごすことになったのだった。


「がんちゃん。今日の晩ご飯はカレーでいい?」


「ああ、ってか俺が帰ってきたら作るからよかったのに。」


「いいじゃないの。二人のうち先に帰った方が準備をすればいいでしょ?」


「確かにそうだな。ところで、その部屋着はどうにかならないのか?」


「女の子同士なんだから良いでしょ?」


「まぁ一応俺も女の子になったんだが、元は男だぞ?襲われたりとか怖くなったりしないのか?」


「あら?ガンちゃんにそんな勇気あるの?別に私は構わないけど、どっちかっていうと私がガンちゃんを襲っちゃうかもよ?」


「ちょま・・・」




「がんちゃん。元気だった?」


「とっても素敵な一週間だったわよね?」


「そりゃ桂ちゃんからしたら願ったりかなったりだった一週間かもしれないけど、がんちゃんはそれで良かったの?」


「良かったかと聞かれたら良かったんだけど、もう戻れないと思うと少しさみしいぞ・・・」


「戻らなくてもいいのよ。常に未来を見て生きていかなきゃダメよ。」


「桂、お前の趣味に走りまくった一週間だったんだな?」


「そ、そんなことはないわ。ちゃんとがんちゃんの意見も取り入れていたもの。」


「そうみたいだね。話し方とかはまだ前のままみたいだし。桂ちゃんだったらお姉さまとか

呼ばせて妹キャラみたいにするかと思ってたけど、そこら辺は大丈夫みたいだね。」



「「・・・」」


「二人っきりの時はお姉さまと呼ばされてたり?」


「うん。」


「か、桂ちゃんって鬼畜だねぇ。」


「そんなことないわよ。すっごく可愛がってるんだから鬼畜だなんて心外だわ。」


「可愛がってるのは解ってるよ。」


「確かにそうだが、それにしても洗脳しすぎだぜ。」


俺の前で幹久と要と桂が「うふふ、あはは」と怪しげな笑い声を上げている。どうやら、俺たちは一週間という時間を色々な意味で桂の趣味に走った教育を受けながら過ごしたらしい。


女の子のことなど分からなかった俺は、桂の指導のまま女の子というのはこういうものなのだと思ってきたが、半分以上が桂の洗脳だったらしい。


「まぁ、どっちにしろ女の子のことなんて全く分からなかった俺が桂のおかげでたすかったのには変わりはないんだからいいんじゃないか?」


「が、がんちゃんがそれで良いならいいんだけど・・・」


「そうだな。ガンちゃんが幸せなら俺たちがいうことは何もないぜ。」


「それよりも、さっさとこのリアルダンジョンをクリアしちまおうぜ。そうしないといつまでたっても俺たちの世界は危険でいっぱいなんだからな。」


「でもよ。このゲームをクリアしちまうのはもったいなくないか?お前らこの一週間バイトしてないのもこのゲームのおかげなんだろ?」


「まぁ確かにバイトはしてないけど、それは俺が女の子になっちまったから今のバイト先に行きにくいからやめたってだけだからな。きちんと女の子でも採用してくれるところを探すさ。」


「う~ん。今までと違って色々大変になるだろうし、落ち着くまでの資金を今回は持って帰るようにしようか?」


「まぁそれもいいな。と言っても、もうLV9だろ?武器の切れ味ももうすぐ全員が限界値行くんだから最強武器を手に入れてLV10ダンジョンクリアしたら終わりなんじゃねぇのか?」


「一応そうなんだけど、四人プレイを推奨しているゲームだから、俺たちが最強武器を取ってLV9ダンジョンをクリアするところまでで今回は終わっておこうよ。」


「LV10は次回に持ち越しってわけだな。」


「そういうことだ。」


俺たちは今日の方針を話し終わると、ゲームセンターに入っていく。普段なら順番を待ってはいらなければならず、皆LV6ダンジョンやLV2ダンジョンで兎を取ってから攻略を進めるためその待ち時間はかなりのものになるはずなのだが、俺たちがゲームセンターに入ったことが伝えられると、きりのいいところで前のPTの人たちが倉庫に武器を預けて交代してくれた。俺たちも毎回長時間プレイをしてみんなのゲーム進行を妨げるわけにもいかないので、LV9をクリアしたらやめるというのも良いことだろう。


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