現実世界E
俺は女になっちまったとはいえ、体の特徴を隠して合宿に参加した。長くなった髪や明らかに変化しちまった雰囲気に気づかれるかもとドキドキしていたが、案外気付かれないと余裕をこいていた。
トイレに行く時に道場の師範代に注意されてバレバレだったことが発覚し、元々道場には少数だが女の子もいたこともあって翌日からはそちらに入るように言われたのだが、俺の強さに関しては男の時と全く変わっておらず、むしろリアルダンジョンに入ってから絶好調の俺は男子に混ざって稽古をすることになっちまった。それでも充実していると言える合宿となり、初めての合宿と思いっきり楽しんだ俺は真冬の手持ち花火まで楽しんでニコニコ顔で帰宅したのだった。
「おい。何のんきにただいましてるんだよ。早いとこゲーセンに行かないとやばいぜ。」
「は?」
帰ってきた俺を待っていたのは幹久だった。帰宅時間などは事前に知らせてあったので不思議でもないのだが、そのあわてた様子にただただ驚く。
「どうしたんだよ?」
「ガンちゃんさては合宿中ニュース見てないな?」
「ああ、師範代の別荘にはテレビないからな。」
「荷物を置いてさっさとゲーセン行くぞ。道道俺が説明してやるよ。」
幹久の説明を聞いた俺は駅前のゲーセンへと駆け込んだ。そこには既に要が待機しており、以前LV7までクリアしたPTだと説明して俺たちのためにゲーム機を予約しておいてくれていた。
「事情は幹久から聞いた。さっさとダイブするぞ。俺はピルルから説明を受けなきゃいけないからお前らは先にLV2ダンジョンに行って野兎を捕まえておいてくれ。」
「わかったよ。」
要がダイブしようとゲーム機に入ったと同時に、幹久の奴も到着したので俺も急いでダイブするべくゲーム機に入って大変なことに気づいてしまった。
「幹久、俺金もってなかった。500円貸してくれ。」
「相変わらず一つのことに集中すると周りが見えなくなるのね。私が貸してあげるからさっさとあんたはダイブしなさい。」
「サンキュー桂。ってなんでお前ここにいんの?」
「あんたらの新しいPTメンバーでしょうが、流石に三人じゃきつくなるかもしれないからってネズミに拝み倒されて手伝ってるの。」
「そ、そうなんだ。とりあえずサンキュ。」
桂にお礼を言うと、俺は急いでカードと500円を入れるとダイブする。