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LV6&7


「おいおい、敵のレベルがまた一段と上がったな。」


「そうだね。LV5は初めてじゃなかったからそこまで思わなかったけどあそこも貫通がないと倒せない敵がいたりと武器の制限がされる分、結構中級者泣かせなところもあったけど、これは上級者ですら投げ出すゲームといわせるだけのことはあるよ。」


「そうなのか?動きは確かに変わったから最初は戸惑ったけど、慣れちまえばなんてことはないんじゃねぇか?」


「そんなこと言えるのはガンちゃんだけだよ。そう思うんだったらもう少し取りこぼしを少なくしてよ。」


「んなこと行っても流石にこんだけ敵が多くっちゃ無理だぜ。」


「もう、相変わらず話すことと行動するって二つのことができないんだから、無駄口たたいてないでさっさと敵を倒してよ。」


「ヘイヘイ。」


俺は話すことをいったんやめて集中する。カイロと野兎のおかげでライフゲージは回復の方向に向いているので集中さえすればこんな奴ら怖くない。今までと違って薙ぎ払いをうまく使わないとノーダメージで倒すことはできなくなったとは言っても、薙ぎ払いを使えば後ろに取りこぼすのは、空から飛んでくる奇妙な鳥だけでそいつに関しては要と幹久も仕方がないことが分かっているので二人で楽しそうに会話しながら倒している。俺も器用な人間だったらあいつらの会話に入っていきたいんだが、かすっただけの攻撃でもライフがかなり削られることからも気を抜くと俺でもヤバい。

微妙に減ったライフを野兎が回復してくれて薬草を使うというほどではないにしても今までのように余裕があるとは言えない。


「ガンちゃんたまには薬草使えよ。どうせカバンを確認してないだろうけどLA取ったら2分の1の確率で出るんだから大量にあるはずだぜ。ここらで薬草を使う癖をつけておかないとボス戦で死んじまうぞ。」


「了解。」


俺は幹久からの助言を受けて薬草を使うようにした。ライフゲージが半分以下になったら絶対に使えといわれたのでそうしていたら、回避しないでわざと攻撃をくらったほうが倒し易い敵も存在したことが判明して先ほどよりもサクサクと敵を倒していくことに成功した。

そうして進んでいくと、要はまだ良いのだが幹久の薬草の量が足りなくなってきたらしい。


「ちょっと進むのをやめてカバンの中身を確認してみるか。」


「悪いな。もし十分あるようだったら少し分けてくれ。」


「ああ、えっと・・・毎回あんまり使わずに来たのもあって一列あんだけどいくらくらい欲しい?」


「一列だと?そ、それじゃあ三束もらえるか?一列6つアイテムを置けて一束255個だから・・・1500個も薬草を持ってやがったのか?」


「ああ、一回も買ったことないんだけどな。」


「そんなことはずっと一緒に買い物行ってたんだからわかってるぜ。一束40万くらいするからな。俺だってここに来る前に一列買ったっていうのに、本物の化け物だな。」


「それを言うなら勇者様だよ。ね。不死身の勇者様。」


語尾に♪でもついていそうな雰囲気でそう言われると俺は何か嫌なものが背中を通る感覚を覚える。


「要、どっちかっていうと幹久の発言の方がまだ寒気がしないぜ。お前らと違ってカイロ使わないと本当に寒い場所に俺はいるんだからあんまり変な発言をするな。」


「あ、ガンちゃんまた敵が来たからさっさとカバンから薬草だして迎撃。」


「ヘイヘイ。」


LV5ダンジョンを超えたあたりからこうして止まっていても敵が出現するようになった。それもかなりの頻繁なため、普通の人なら止まっていても野兎の回復では追い付かないことだろう。まぁ俺みたいに進んでいても野兎の回復で追いついてる奴もいるんだからそれはあまり言いっこなしなんだがな。


「それにしてもLV6のモンスターの数は異常な気がするよ。ガンちゃんが倒さないと減らないってピクルスの言っていたことも本当かも知れないね。」


「ピクルスじゃなくてピルルな。そういえば俺は一回LV5の途中まで進んでるんだったな。つまり要は俺が全く進んでいなかったLV6についたから難易度が跳ね上がったって言いたいのか?」


「正解。ってかガンちゃんそれだけ頭の回転が早いのになんでゲームできないんだよ。あと二つ以上のことをすることも極端なほどできないよね。」


「しゃあねぇだろ俺の頭は一つのことに集中してするように作られてるんだよ。1の早さで二つのことをするのと2の早さで一つのことをして次にもう一つに取り掛かったら、結局同時に終わるだろ?そんなもんだ。」


「ヘリクツこねてないでまた敵が来たよ。」


「ってか要が弓で倒してもいいんじゃねぇか?」


「弓にはガンちゃんがやってるみたいにダッシュ突きみたいな強化コマンドがほとんどないから一撃で倒せないの。」


「ヘイヘイ。それだけ敵さんも強くなってきたってことだな。」


「んじゃ野兎でライフも全快になったことだしそろそろ進もうか。といってもここまで十分カイロの消費を抑えて来れたんだから、そんなに辛くないとは思うけどね。」


「おう。さっさとこんな寒い場所はクリアしちまおうぜ。」


「お前らは本当に寒いわけじゃないだろうが。まぁ俺もカイロを使ってるから寒くはないけどな。」


「ほらほら進みだして敵が増えたらしゃべってると敵を取りこぼすよ。」


「ちくしょう。」


そのあとも俺たち三人は順調に進み、今までの経験上もうすぐボスというところで思わぬ発見があった。


「こいつ、野兎か?」


「いやたぶん野兎の上位版だろう。一匹野兎を逃がして薬草を与えてみよう。」


そう言ってデスぺナ回避のために武器を俺に預けると幹久の奴がわざと死んで見せて野兎を逃がした。幹久がコンテニューしたのを確認して俺は薬草を与えると、名前がでて雪兎が仲間になった。雪兎の回復量は野兎の倍近くあり、今まで中堅で大量の薬草を消費していた幹久がそれほど薬草を使わずに済むようになった。


「なるほどな。今度からは野兎じゃなくて雪兎を手に入れるようにしよう。そうすればダンジョン攻略が楽になる。」


「でも野兎がいなくちゃLV6ダンジョンなんて攻略できないんじゃないか?」


「それはボスを倒してもう一度行ってみないことには分からないな。ガンちゃんがボスを倒したらモンスターが減って難易度が下がるかもしれないだろ?」


「そりゃそうだね。ガンちゃんがんばれ。」


俺の後ろで幹久と要ののんきな声援が飛ぶ。俺はお前らに取りこぼしが少ないようにと一生懸命モンスターを退治してるって言うのに。

野兎の時同様に雪兎はボスの近くにいたようで、少し進むとボスがいた。俺たちはいつものように俺が近づいてボスに牽制を加えつつもボスの攻撃を紙一重で回避して、幹久が回り込んで背中から攻撃、要は離れた場所から狙撃といった既に鉄板となりつつある攻略方法でボスを撃破した。


「ボスよりもボスまで行くまでに薬草を残すことの方が大変だったね。」


「そうだな。幹久の薬草が切れそうになった時は流石の俺も焦ったぜ。」


「もう少し止まったり進んだりしながら行けば俺だってもう少し薬草を抑えることができたんだぜ。」


「確かにその通りかもしれないが、おかげでカイロたったの八個でクリアできたんだから良いじゃないか。」


「本当だね。ということは多少の誤差はあるだろうけど、40分くらいでクリアしちゃったってことかな?」


「そうだな。武器も強化できたし、次はもっと早くクリアできるかもしれねぇぜ。」


「それに薬草もほとんど使わないで済むかもしれないね。とくにガンちゃんは絶対に不要になるから、今ある分を幹久にあげちゃおうよ。」


「いいぜ。結局あの後も一束貯まったから、1000個くらいあるしな。」

俺たちはLV6のクリア後の町に来て、心底喜んだのは鍛冶屋でスタンダード武器にすごい効果をつけることができたことだ。


「しかし、吸収の効果ってマジでこんな良い効果をつけれるんだったらLV7以上をクリアできる人がいてもおかしくないと思わないか?」


「確かにその通りなんだけど、やっぱりそれには理由があるのかもしれないよ。とにかくさっきの推論が正しいのかはLV6ダンジョンにもう一度雪兎を取りに行ったら解るんじゃないかな?」


「そうだな。カイロは十分に足りていることが分かったし、武器も強化したし、いっちょ行ってみるか。」


そのあと吸収の効果がついたこともあり、消耗品も充分だと判断した俺たちはもう一度LV6ダンジョンに潜った。そして俺たちの推論は正しかったことが判明した。さきほどまで止まっていてもしょっちゅう現れたモンスターたちの出現頻度が明らかに下がっていたのだ。そうはいってもLV4までと比べたらまだまだ多いし敵も強いのだから気を抜くことはできないはずなのだが、吸収装備のおかげで俺は全く薬草を使うことがなくなり、幹久でさえドロップで落ちる消耗品の方が多くなってしまった。


「敵が現れる頻度が下がるだけでこんなにも難易度が変わるもんなんだね。」


「そうだな。これだったら吸収をつけなくても普通にクリアできるかもしれん。」


あまりにも順調に進みすぎた俺たちは野兎を逃がしてから雪兎に薬草を与えるという行動を取り忘れたのだが、結果的に上位の雪兎が優先されて野兎が逃げて行くことが判明し、もし次にLV6に突入するのがきついと感じたらLV2に行って野兎を捕まえても良いことがわかったので安心するのだった。


「どうする?目標だったLv6をクリアできたんだから、このままLV7に行ってしまうのもありだし、無理しないでもう一回LV6をクリアして雪兎三匹にしてから行くのもありだとおもうぞ。一回目と違って20分ほどでLV6をクリアできたしな。」


「そうだな。じゃあもう一回LV6行こう。ここまで来たら確実にLV7もクリアして安心して合宿に行きたいからな。」


「了解。」


武器を強化した俺たちは残り少なくなったカイロだけ買ってLV6に挑んだ。薬草の消費より獲得の方が上回ったことにより、物資の補充がそれほど重要でなくなったのだ。しかもアイテムでカイロが落ちるらしく、俺以外はカイロすら買わなくて平気だと言いだす始末だった。


LV6にもう一度行ったのは結果からいえば正解だった。というのも、さらにモンスターが減っていることが確認できたからだ。どうやら一回だけでは敵を減らしきれていないらしく、こうなってくるとLV5などももう一度潜って敵を倒しておいた方がいいのかもしれないが、その分LV7の敵を倒せば良いという幹久と要の助言に従ってLV7に進むことになった。LV7ではLV6と違いカイロという枷がなかったので、俺も急ぐことはなく、のんびりと進んで敵を倒していった。LV7のボスは自分の近くに地震をつかって全体攻撃を仕掛けてくるので、ヘビーウォーリアーのダメージカットでしか近付くことはできなかったため、俺と要は遠くから狙撃するしかなかったのだが、ボスがダメージの多い要に襲いかかることが判明し、俺の武器と途中で交換して俺が逃げながら弓で狙撃をする戦法に切り替えて俺の放った矢を受けてLV7のボスもついに倒れた。


先ほどの鍛冶屋で吸収なんて追加効果を手に入れた俺たちは、今度はどんな追加効果がと期待していたのだが、今さら何故か固定ダメージで10程ダメージを追加するといった良く分からない効果に三人で凹む。幹久いわく、LV8ダンジョンには通常攻撃では倒せないような敵がいて、そいつには固定ダメージ10がないとライフゲージが減らないんだと主張したので、あえて幹久の武器だけ固定ダメージ10をつけないでおくことによって証明するらしい。つまりLV8も俺一人に戦わせる気満々ということだ。


「なぁ、かなり長時間ゲームしてきて、俺そろそろトイレ行きたいんだけど、どうやったら辞められるんだ?」


「ガンちゃんにしては中々いいタイミングで聞いてきたな。このゲームの一番の辛いところはデスぺナであることは解ってるな?そしてデスぺナは武器の切れ味が落ちるというものだ。」


「ああ、そうらしいな。俺はこれまで経験したことがないがな。」


「そうだったね。まぁとにかく説明しよう。そのデスぺナを回避する方法が街にはあるんだよ。」


「ふむふむ。ということはそれをすれば次から切れ味が落ちていない武器で開始できるというわけか。」


「そういうことだ。俺たちも流石に疲れたし、ガンちゃんのポケットマネーを整理してどれだけ現実世界に持って帰るかを確認したら終わろうぜ。」


幹久と要に連れられてきたのは、倉庫と呼ばれる場所だった。幹久と要もLV5をクリアした時に一度だけ使っただけでLV4までのダンジョンにはないらしく、半分近くがサイトの情報らしかったが、武器を倉庫に預けると、次にダイブした時にその武器が残っているらしい。俺たちは切れ味が落ちては困るスタンダード系の装備をすべてそこに預けると、わざとLV8ダンジョンに雑魚武器のまま潜り、薬草などの消耗品を使わないという縛りを設けて進んだ。LV8ダンジョンの敵は攻撃力以上に手数が多いモンスターが多く、俺も避けきることができずに、二人よりも長く敵を倒していたとはいえ、すぐに死んでしまった。


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