現実世界A
現実世界A
「ガンちゃん。俺たちがお金出してあげるから、ね、一緒にやろうぜ。」
「そうそう。僕と幹久が500円もカンパしてやるんだから、やろうよ。」
そう言って、俺を無理やりゲームセンターに誘ってきたのは、幼馴染であり、悪友と呼ぶにふさわしいほど、色々なことを一緒にやってきた、城崎幹久と黒崎要だ。先ほど幹久が俺のことをガンちゃんと呼んだが、俺の名前はガンではない。岩倉翼、苗字の岩倉から、昔からあだ名でガンちゃんと呼ばれている。
「あのなぁ。俺がゲーム苦手なのは知ってるだろ?同時プレイだから三人が納得するまで、死んでもお金を何度もつぎ込まなきゃならんゲームになんて何で参加せにゃならん。」
「いいじゃねぇか。500円も援助するんだぜ?」
幹久にそう言われて、ゲームセンターに置かれているゲームはすべて100円だと思っていたため、5回のコンテニュー分だしてくれるんなら、まぁそんだけ、死ねば流石に二人もあきらめるだろうと思っていた。
「一応500円じゃたりないかもしれねぇし、お前の財布の中身両替しておけよ。このゲームお札は使えないからな。」
「あ?五回もやったら十分だろ?」
そうは言うものの、何故か俺の財布を要に取り上げられてしまい、両替がなされる。先ほどの発言におかしいと思うべきだったのかもしれない。財布は常に必要以上入れてこないのが常だったのだが、偶然?バイトで貯めた生活費をおろしていたので、五千円も持っており安っぽい財布の中には免許証すら入っていなかったが、五千円札をすべて悪友たちの手により100円玉に両替させられて小銭だらけになってしまった。
「じゃあ、中にマイクとイヤホンがあるから、それで俺たちと会話できるから。」
「了解。」
何の説明もされぬまま、俺は一旦二人に別れを告げて、体感型RPG“リアルダンジョン”のゲーム機の中に入っていく。
「うわ。すっげぇな。まるでロボットのコックピットじゃねぇか。」
普段ゲームをしない(お金がなくてできない)俺でもこのくらいの知識はあり、戦闘機のコックピットと言うには計器が足りないが、その中はかなり本格的なつくりになっているのが分かる。
「えっと、とりあえずマイクとイヤホンだな。」
俺は操作方法すら教えてもらってなかったので、マイクとイヤホンを通じての二人からの説明だけでゲームができるようにならなければならない。
「おい。幹久、聞こえるか?」
「おうおう。完璧だぜ。んじゃまず500円とさっき渡したカードを入れてそこにある赤いゴーグルをして座席に座りな。」
「500円を一気に入れるのか?」
「おう。1プレイ500円だからな。」
「なぁにぃぃぃ!!」
「言ってなかったか?とにかくさっさと入れろ!」
「くそう。だから俺が給料を下ろすのを見計らって声を掛けてきたんだな。俺は五千円を絶対につかわねぇぞ。」
「はいはい。どうせ負けず嫌いなガンちゃんは500円じゃおわらねぇんだから期待してるよ。」
こいつらとは腐れ縁、格闘技オタクでゲームなんて全くやらない俺に逆にゲーオタの二人はいつも対戦ゲームなどをすすめてきて、俺と対戦してはフルボッコにしてきやがる。一番簡単な必殺技といわれているコマンド入力すらできない俺に超が何個も着くような必殺技を連発し「実戦では強くてもゲームの中じゃ最弱だな。」といつも小馬鹿にしてくるのがムカついて毎回ムキになって挑む性格を理解しているのだ。
「おっと、コマンドが分からないからやめるなんて言わないよな?体感型RPGつまり、お前は自分の体の動きでキャラクターを扱うんだぜ?」
「分かったぜ、少なくともAとかBとかコマンドがねぇだけ俺にでもできるだろ。」
そう言って幹久の罠にはまるのは悔しかったが、500円を入れてゴーグルをつけると座った。ゴーグルを着けると、いきなり眩しい閃光がはしり、目がくらむ。
再転の姫君はどうしたんだ!!という声が聞こえてきそうな気がします。
再転のあちらの作品は二つほどストックがあるのですが、活動報告にも記載しましたが、諸事情により更新がままならないことが考えられます。そのため、完結まで書きあげてある作品を一つだけ執筆中小説のところに保存してケータイでも投稿できるようにいたしました。更新できる環境が整うまでの間、このような形で対処いたしますことなにとぞご容赦ください。