見えない出口
私は、朝起きるたびに、何もかもが曖昧な世界に迷い込んだような気持ちになる。日々の音が遠く、周りの人たちの言葉が薄く感じる。世界の色は、どこか白黒で、心が沈んだような感覚がいつも付きまとっていた。
「今日はどうやって過ごそうか」と、窓の外を眺める。朝日の光が差し込むけれど、その温かさも感じることができない。心が冷え切っていて、体も重たく感じる。自分の体がまるで他人のもののように、どこか遠くにあるような気がしていた。
大学のことも考える。前期は必死で通ったけれど、後期からは行けなくなった。だんだんと、学校に行くこと自体が恐ろしいものになっていった。教室の空気、人々の声、全てが圧し掛かるようで、何もかもから逃げたいと思うことしかできなかった。
でも、心のどこかで「逃げてはいけない」とも思っている自分がいる。両親や友達に心配をかけたくない。自分の苦しみを伝えることが、相手をもっと悲しませるだけなのではないかと、心の中で恐れている。だからこそ、ずっと黙って一人で抱え込んでしまう。
「こんな自分を誰も理解してくれないだろう」と思う。でも、それが本当のことなのかはわからない。人と話すことが怖くて、でもその恐れの先に、もしかしたらほんの少しでも楽になる道があるかもしれないと、心の奥で思っている自分がいる。
私の頭の中で、何度も繰り返し浮かぶ考えがある。それは「死んだらどうなるのか」というものだった。もしも死んだら、苦しみは終わるのだろうか。けれど、そんな考えが湧く度に、またすぐに「でもそれじゃ、何も解決しない」と反論する自分が現れる。そして、またその疑問を無視して、心の中で苦しみ続ける。
私は今、ただ一歩踏み出すことができないでいる。先が見えない、どこにも出口がない。全てがモノクロで、静かな暗闇の中にいるようだ。