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髪切り虫

作者: アァノルド

個性的な髪型の壁画で有名な「シャレントン遺跡」から、

太古の文献にある【髪切り虫】が生きたまま発見された。


この虫の驚くべき生態は、人の頭を棲みかにし、

髪から栄養を取るが、自分を髪の毛に変態させ、

その人にお似合いの様々な髪型を演出してくれるのだ。


この虫に世界中が夢中になった。


定期的なヘアカットと毎日のスタイリングが不要になって、

さらに日々素敵な髪型を提供してくれるのだ。


【あなたに毎日新しい綺麗を】

という、キャッチコピーで爆発的に売れ、世の中を席巻した。


だが、この素晴らしい虫にも注意点がひとつあり、

かごの中では絶対に二匹を一緒にしてはいけなかった。


人の頭を巣にした状態で近づくのは問題ないが、

頭から離してかごに入れたときに、

同性同士を一緒にすると、ケンカして死んでしまう。

異性同士を一緒にすると、すぐに増えてしまい栄養不足で死んでしまう。


オスとメスの区別が非常に難しく、必ず一匹一箱が原則だった。


だがやはり、守らない人はいるもので、

不注意で死なす人、どうにか増やして金儲けを企む人がいたが、

上手くいかずに死なしてしまっていた。


世界で美しいヘアスタイルの特集が組まれ、

こんな使い方ベストテンや、【髪切り虫】乗っけてみました、

といったドキュメンタリーも放送された。


世界は【髪切り虫】を謳歌し、正にヘアスタイル新時代の幕開けだった。


そして、様々なベストトレンドを欲しいままにした【髪切り虫】は、

その年の冬を迎えた時に一斉に、

シャレントン遺跡に飛んで行ってしまい冬眠に入った。


今まで栄養を吸われていた頭は、薄ら寒い状態となっていて、

まさに冬といった不毛の頭が全世界に出現し、

強制的に新しいトレンドとなった。


不毛となった人たちは、もちろん【髪切り虫】の冬眠開けをまったが、

同じ場所に集まった【髪切り虫】は、もちろん全て死んでしまった。





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