お祝いと喧嘩
◇◇◇玲奈がゆく◇◇◇
玲奈が家に帰ると、珍しくお父さんがいた。
ご馳走が並んでいる。
「なかなか早く帰って来られないから、こういう時じゃないとできないからな」
「えー!何?」
「玲奈が高校生になるお祝いだよ」
弟が、今日はお寿司だと喜んでいる。
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お姉さんは、私にはごく普通に接してくれているような気はする。
友達も多いし、人見知りもなさそうだし。
むしろ、私には友達感覚なのか、優しく接してくれている気がする。
でも、食事の時間に部屋から出てこなかったり、義父が話しかけても無視したりしている。
母に対しても、敬語で言葉少ない。
ほとんど部屋にいる。
私も、人様のことは言えないけれど。
お姉さんだって複雑な心境に違いない。
私だって、突然、知らない人達と家族になんてなれない。
義父と話すのは今も苦手だ。
そんなある日、義父がお姉さんの部屋に行き、壮絶に揉めた。
「片岡さんから電話があったぞ。
お前、行っていないのか?」
「関係ないじゃん」
「病院には行ってるのか?」
「関係ないだろ」
「そう簡単に諦めるなよ」
「簡単って何だよ!どこが簡単なんだよ!」
「やれるところまでやってみろよ」
「今まで知らんぷりしてたのに、今頃になって何なんだよ」
「お母さんから、口出すなって言われてたんだ」
「どうせ、お父さんなんてお金の心配しかしてないんでしょうが」
「何だって!」
「学校なんて辞めてやるよ」
そう言い放って、お姉さんは出て行った。
母と、こんな風に壮絶に揉めたことなかった私は、少し怖かった。
病院って何だろう?
お姉さん、どこか悪いのかなぁ?
そんな風には見えないけれど。
お姉さんは、真夜中に静かに帰ってきた。