親子のそれぞれ
◇◇◇玲奈がゆく◇◇◇
玲奈は、毎日ゴム弓練習に集中し、新入生では一番先に弓道場デビューした。
久しぶりの休日の日、弟がサッカーのクラブから帰ってきた。
「ぼく、レギュラーになったよ!
今度の日曜日、試合見にきてね!」
その日は、部内の模擬練習試合だ。
「ごめんね!今度の日曜日は、私、初めての試合なの」
弟の試合を見に行けないのは、初めてだ。
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「摩耶がバドミントンに転向してから、元妻は色々勉強して付きっきりで、ステージママってヤツになってしまった。
自分もアスリートだったから、摩耶に対しても厳しかったよ。
俺が、摩耶が可哀想だと言えば、口出すなと怒鳴られ、
遠征費がかかるからと言って、元妻はテニスのコーチの仕事を始め、ほとんど家にいなかった。
そんな時、俺はリストラされ、紹介された職場は系列のスーパーマーケットの店長だった。
給料も2/3になり、家に居場所がなく感じた。
その頃に、雪乃さんに出会った。
離婚の話は、もうすでに出ていた。
元妻も摩耶も、負けず嫌いで気性も荒い。
毎日ぶつかり合ってたよ。
H高の特待生に選ばれたのを期に、摩耶が母親に決別宣言をした。
片岡さんという良いコーチがいるからと、元妻も折れたよ。
そして、元妻は前からオファーがあった実家近くの強豪校のテニスのコーチになる為、離婚届を置いて家を出ていった。
その冬、摩耶は日本代表のメンバーも集まる様な宮崎合宿に招かれ、そこで大怪我をしてしまったんだ。
俺は、摩耶を迎えに行き、地元の病院に連れて行って、手術が決まった。
元妻は、テニスの方も今正念場ということで、摩耶に会いにきたのは手術の3日後だった。
それを、摩耶は捨てられたと思ってしまったんだろうな」
日本代表メンバーの合宿?
お姉さん、そんなに凄かったんだ。
お姉さんは、クラスでも目立たない私なんかのの想像のはるか上をいっている。