引き止められて
◇◇◇玲奈がゆく◇◇◇
サッカーボールが当たり怪我人が出る事故があってから、また数人辞めてしまった。
あんなにいた新入部員が今や7人だ。
男子はどうにか団体戦に出られる人数だ。
女子はもう1人ほしい。
玲奈は、私には何もできないのかと、初めての挫折を味わい始めていた。
そんな時、怪我をして辞めると言っていた女の子が、3日ぶりに練習に顔を出した。
「私まだ弓道部の魅力を味わっていない」
そして玲奈に、
「玲奈さんって、見た目だけじゃなかった。
表には出さないけれど、情熱的でもあるのね」
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「私が退部届を貰いに言ったって噂が、あっという間に流れちゃって、その日から大変よ。クラスメイトやら、同じ部活のメンバーやら、先輩やらが、ひっきりなしに来るわけよ」
「その時、お姉さん元気なくて、部屋に篭りっきりでしたよね?」
「だって、部屋から出ることもできないくらい電話やメールがくるんだもの」
「お姉さんは、みんなに期待されているんですね!
っていうか、愛されているんですね!」
「そう思うと、戻りたい気持ちも出て来ちゃって、でも、怖いのもあって複雑なのよ。
そんなこんなで、青山先輩とは少し距離を置いたわけ」
「それで、今日急に来たんですか?」
「まあ、色々あってね。
その頃から、青山先輩は変わっちゃって、私にもうバドミントンを辞めろって言い出して。
ある日、飛鳥と外で話してる時にキスされちゃって、それを見られたらしいのよ。
その後で、一度家の前で待ち伏せされて、もう会いたくないって言ったんだけど。
それでの、今日な訳よ」
「これからどうするんですか?
大丈夫ですか?」
私が、そう問い詰めると、お姉さんは何も答えずに、ベッドに来て、私の隣で横になった。
ホットミルクの効果かもしれない。