絶望していたお姉さん
◇◇◇玲奈がゆく◇◇◇
安西先輩はじめ部員全員で部の存続を懇願する。
サッカー部がグラウンドを使っていないときのみ、ボロボロ弓道場が使えることとなった。
でも、いずれは取り壊す予定だそうだ。
その他の日は、歩いて20分の市の弓道場に通うこととなった。
週3から4日のみの練習となる。
それでも部の存続にはなった。
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「色々聞かれちゃったね!」
「お姉さん、バドミントンやっていたんですか?」
「うん」
「バドミントンで怪我したんですか?」
「3ヶ月前かな。
合宿の練習中に膝ぐねっちゃって、動けなくなったんだ。
病院に行ったら、膝前十字靭帯断裂と骨折もしていて、全治半年。
競技に戻るのは一年位かかるかもって言われて。
絶望したよね、この私が」
「そんな大怪我だったんですか?」
「手術した方がいいって言われて、手術もしてリハビリもやってるんだけど、歩くことすら怖くなっちゃって。
この私がだよ」
「私スポーツもやったことないし手術も受けたことないから、よくわかりませんけど、そんな大怪我したら怖いですよ、誰だって」
「私なんて、スポーツ特待生で入学しちゃったから、怪我して使い物にならなくなったら、授業料免除が一転全額自費になるわけよ。
血も涙もないわけよ」
「スポーツ特待生って何ですか?」
「うちの高校は、学年に10人くらいかな?
有望な選手は、入学金免除授業料免除のスポーツ特待生制度があるわけよ」
「お姉さん、凄いじゃないですか!」
「みんな、そうやって凄いとか羨ましいとかいうけどさ、大変なんだよ。
成績も残さないといけないし、怪我も気を付けないといけないし。
結構プレッシャーなんだよね」
「そうなんですね」
「だから、特待生同士、競技も学年も関係なく支え合ってるっていうか、仲良いんだよね。
優香とか紬とか蒼太とか。
今日来たアイツもそうだったんだ」