私がマネージャー?ー1
◇◇◇玲奈がゆく◇◇◇
玲奈は、弓道部に入部を決めた。
部長の安西 健は今年が最後の3年生。
副部長の竹内 栞は2年生だ。
そして1年生は今のところ、玲奈と春斗のふたりだけ。
もっと部員を増やさなければ
でもそんな心配は無用だった。
玲奈が弓道部に入部したという噂は瞬く間に広がった。
入部希望者で溢れ出した。
「アイツら、どんな手を使ったんだ?」
安西部長が驚く。
「手じゃなくて、顔ね!」
竹内副部長が笑った。
「綾織さんは一際目立つ存在だし、岩瀬くんもサラサラ髪のイケメンだし」
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「お母さん、私部活入っても大丈夫?
マネージャーにならないかって言われたの」
「もちろんよ」
「でも、お手伝いもできなくなるかもしれないし、バイトしてお金も貯めたいし、まだ迷ってる」
「お手伝いとかお金のことは心配しないで!
ダブルワークもやめられたし、お母さんにも少し余裕ができたから、大丈夫よ。
莉乃には、高校生活を楽しんで欲しいの」
やっぱり、私の為にこんな時期に再婚することにしたのかな?
私、楽しんでいいの?
部活なんて考えたこともなかった。
しかも、私がマネージャー?
こんな私にできるの?
それと、恋とか?
上田先輩が、私の頭に浮かんでしまった。
私が部屋に戻って着替えをしていると、お姉さんがお友達と帰って来た。
「おじゃましまーす」
声からして、ツムギ君だ。
「人んちで飯買うなよー」
「だって、学校とバイト先のちょうど中間地点なんだもん。
摩耶ちゃん、良いところに引っ越してくれたね」
「ツム、今日珍しく練習出たんだね?」
「早退だけどね。
たまに顔出さないと、また団体戦外されちゃうし」
「弓道部は、実力主義じゃないんだ」
「まあ、地区予選なら僕いなくても大丈夫だし」
ツムギくん、弓道部なんだ。