意外な一面〜ユウカ
◇◇◇玲奈がゆく◇◇◇
玲奈は、この時は弓道部を救いたいという気持ちだけだった。
この時はまだわからなかった。
「安西部長って凄いんだよ!」
春斗が言った。
「形の美しさと、集中力は、僕の憧れなんだ。
だから、僕は安西部長と少しの間でもいいから一緒にやりたいんだ」
玲奈は、春斗のその情熱に感動した。
でも、どうして私なの?
弓道なんてやったこともないのに。
玲奈は、そう思った。
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その後も、ユウカさんは泣き続け、会話も堂々巡りになっている。
そして、泣くだけ泣いてスッキリしたのか、またいつもみたいに、キャーキャーお喋りを始めた。
母が帰ってきた。
私は、夕飯の準備を手伝う。
母は、再婚してからダブルワークを辞めた。
少し楽ができるようになったのは、再婚のおかげ義父のおかげかもしれない。
「おじゃましましたー」
ユウカさんが帰っていった。
お姉さんが、リビングにやって来た。
お弁当箱のことが気になったんだろう。
「莉乃ちゃん、洗ってくれたの?
ありがとう」
「お友達、大丈夫ですか?」
「優香?たぶんね!
あれで、体操部のエースだから。
聞くだけ聞いてやったから、やる時はやるんじゃない」
お姉さんは、優香さんの為にただずっと愚痴を聞いてあげていたんだ。
それ程励ますでもなく、それ程同調するでもなく、時々真っ当な意見だけ呟いていたんだ。
なんか、人格者っぽいじゃない?
「体操部のエース?意外でした。
ギャル系なんだと思ってました」
「あはは!チクっちゃおう!」
「やめてください」
姉妹で、それなりに仲良く会話する私達を見て、母が微笑んでいる。
お姉さんが少し緊張した面持ちで、母に、
「おかえりなさい」
と言った。