お姉さんってどういう人なの?
◇◇◇玲奈がゆく◇◇◇
玲奈は弓道部の練習場を見学に行った。
弓道部の練習場は、サッカーグラウンドの一角にある。
弓道部の部長が、数人の入部希望者を連れてサッカーグラウンドの脇を通ると、
「弓道部なんて廃部になっちまえばいいんだよ」
「邪魔なんだよ」
サッカー部員の誰かが笑いながら言った。
玲奈は、なぜか悔しさを覚えた。
まだ、弓道部に入部したわけでもないのに。
見返してやりたい。
あんな罵声には負けないわ!
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制服のまま、テーブルでオレンジジュースを飲みながら、お姉さんとお喋りすることになる。
「莉乃ちゃん、学校どう?って、まだ二日目だけど。
友達できた?」
「はい!どうにか」
「なんかさー、心配してたんだよね!
なんか大人しそうな子で、大丈夫かなーって」
お姉さんが、私の心配?
「自分の部屋に閉じこもりっきりだったし」
それは、あなたも同じでしょう?
「確かに、私内向的ですけど、ひどいイジメとかにも今のところ合ってないし。
大丈夫です」
「そうなんだ。良かった」
結構良いお姉さんだった。
「お互い、なんかさー、親の都合に振り回されちゃってて大変だよね?
話戻るけど」
「お姉さん、いえ、お姉ちゃんはどうなんですか?」
「私も、まだ、くつろげるのは自分の部屋だけかなぁ」
お姉さんが部屋から出てこないのは、反抗的態度なのかと思ってた。
違ったんだ。
私と同じだ。
お姉さんは尚更だろう。
私と母が一緒にいるのも複雑な感情なのかもしれない。
「私も、まだ慣れないです」
「なんかさー、雪乃さんも莉乃ちゃんも、大人しくて良い人で困っちゃうんだよね」
「どういうことですか?」
「ふたりとも嫌な奴で生意気な奴だったら、イビリ倒そうと思ってたのに」
前言撤回!
どういう人なの?
制服姿への憧れも吹っ飛んだ。
「あはは!冗談冗談」