照れながら
点線より上は、主人公が書いているWEB小説『玲奈がゆく』です。
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点線より下は、現実です。
◇◇◇玲奈がゆく◇◇◇
その男の子岩瀬 春斗は、弓道部のある高校ということで入学したのに、
現在部員は2名のみ。
部員が増えないと今年で廃部になるという。
A校にあるのは、野外の練習場で的は1つのみ。
即席の簡易的な練習場。
週に3回市内の弓道場に通う。
歩いて20分程だ。
本当に弓道をやりたい人しか残らない。
毎年、入部希望者は多いが、長続きしない。
でも、よい成績をキープできるようになれば……
春斗はそんな希望を持っていた。
「どうして私に声かけたの?」
「綾織さんが弓引いている姿見てみたいと思って」
春斗は照れながら言った
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その日私が帰宅すると、お姉さんはすでに帰宅していて、部屋着に着替えてテーブルで母の作ったお弁当を食べていた。
学校は午前中で終わりの日だったんだ。
だから、お弁当を置いていくつもりだったのね。
でも、部屋着でよかった。
制服姿だったら、私は見惚れてしまって、変な奴だと思われそう。
私には普通に接してくれるお姉さんが、
「莉乃ちゃん、おかえり」
と言ってくれた。
「この卵焼き美味しいね」
「今日は、私が作りました」
「料理できるなんて凄いね。
いつもお母さんのお手伝いもしてて、莉乃ちゃんて偉いよね」
照れながら、私は言った。
「そんなことはないです」
「あのさー、姉妹になった訳だし、敬語はやめてよ」
「でも、急には難しいです」
「この前はごめんね!大喧嘩しちゃって」
「いいえ!大丈夫です」
本当は怖かったけど。
「莉乃ちゃんも大変だよね、 親の都合に振り回されちゃって」
「お姉さんこそ」
いらない事言っちゃったかな?
「そのお姉さんも辞めてよ!名前で呼ぶとか、せめてお姉ちゃんとか」
「気をつけます」
「ほらほら!莉乃ちゃん、お堅いのよ」
「座って!これ飲む?」と言って、冷蔵庫からオレンジジュースを出してくれた。
お姉さんは気さくで優しそうだ。
私達、なんだかうまくいきそうな予感。