弓道部?
◇◇◇玲奈がゆく◇◇◇
本格的に高校生活が始まる。
玲奈は、数人の気の合いそうな女の子達とお喋りをする。
部活紹介のイベントがある。
クラスメイト達も話題はもっぱら部活の話。
中学校にはなかった部活もあり、なんだか華やかに感じた。
さらには、マネージャー募集とかもあり、周りの女の子達は、どこの部活の先輩がかっこいいとか、そんな話にもなる。
そんな中、ある男の子が声をかけてきた。
隣のクラスの男の子だ。
「綾織さん。
廃部寸前の弓道部を救ってほしい」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「葛城さん!葛城さん!」
いけない!
まだ、この苗字に慣れていない。
気を抜いたら、聞き漏らしてしまう。
「何度も呼んだのに」
昨日話しかけてきてくれた織田さんだ。
そして、もうひとり同じ中学校の友達のいない佐藤 日奈子さんだ。
私よりシャイな子に思えた。
まだ、家庭の事情を話す気になれなかったので、
「苗字で呼び合うのも堅苦しいから、名前で呼び合わない?」
「いいね!」
なんだか、少し積極的になれている気がする私。
「部活って決めてる?」
沙也加ちゃんが言った。
「私は、バイトしてお金貯めたいの。
だから、部活はどうしようかなー」
私が言うと、
大人しいと思っていた日奈子ちゃんが、
「私は吹奏楽部に入りたいんだけど、凄く厳しいみたいで迷ってるんだ」
「中学校からやってたの?」
「うん!アルトサックスやってたの」
意外だ。
この大人しい日奈子ちゃんからは想像がつかなかった。
アルトサックスなんてかっこいいじゃない。
「やるべきだよ!
辞めちゃうのもったいないよ」
「そんな沙也加ちゃんはどうするの?」
「私は、弓道部に興味あるんだ」
弓道部。
私のヒロイン玲奈も勧誘された。
私も、心が少し揺れた。