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十割とりゃ死んじまう

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

会話内容がほんのりR指定です。


燃え尽き症候群、発症中。

六割の毎日は、惚れた相手によって十割に引き上げられた。

「やっぱり無理して絞り出すもんじゃ無いね。だって燃え尽きちゃうもん。六割取ってりゃ及第点、八割とりゃ上出来で、十割とりゃ死んじまう。今の私十割ね」

女は膝上を陣取って、突っ伏していた。駄々っ子の様に両手両脚をバタつかせた後、電池が切れた様に動かなくなる。俺はそれを下目で見ながら、欠伸を一つ。テーブルの珈琲に手を伸ばし、動かぬうちに先ずは一口。芳醇な香りが胸を満たす。

俺はその様子を労う様に軽く髪を撫でた後、背を軽くぽんぽっと叩く。

「何にそんなに掻き立てられてんだか」

「連休って特別じゃない? だからギッチギチに予定詰めて、世界を走り回って、脳が枯渇するまで書いたの。贅沢だけど、疲れてしまったわ」

ころりと寝返りを打って、死んだ目で愚痴を垂れる。目に光が無い。濁って澱んだ闇の光だけが、仄暗く揺らめいていた。

計画というのは一種の理想形。つまり目標に向けて、自分に無理を強いらなければならないのだ。それが一度や二度までならまだしも、こう連続で続くと心身共に悲鳴を上げる。常日頃、何も考えずに風来坊やってる此奴には向かない手法だ。

女は上半身を起こすと、気だるげに首に腕を絡ませた。肩口に鼻先を埋めると、すんすんと鼻を鳴らした。

「んーん……。おいコラ、ハグさせろ」

もうしてんだろ。寝惚けてんな、半分。

「はいはい。キスは?」

「是非」

しかし動こうしない。どうやら俺から此奴の体を引き離し、キスされるのを強請って居るようだ。全く我儘な姫さんだ。

力が抜けた姫さんの肩を抱いて引き離すと、口付け一つ。下手に舌同士を絡ませ合う真似はしない。ただ互いに目を閉ざして温もりを分かち合う。

唇を離して見詰め合うと、名残り惜しげに首に絡み着く。聞こえるのは嘆きにも似た甘い声。

「明日から同じ毎日が待ってんの。日毎に違う経験は明日にはもう無いの。はぁ……もう……。六割の人生だよ……。死ぬ気でやる事のない、六割の人生。退屈……」

なんだ。死んじまうとか言いながら、満足しているじゃないか。この連休。

「その六割を十割に上げる為に俺がいる。何なら今日から相手しろ」

俺の相手は六割じゃ済まねえぞ。十割で満たされる。

好きな人に『頑張れ』って言われたら頑張っちゃいますよね。

それはそれとして、毎日が退屈なら俺の相手して燃え尽きろ。寧ろその六割さえも寄越せ。という話。


また出ますよ〜この話。


沢山書いて満足です。明日からは控え目?になるかな。

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