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俺の召喚体(いもうと)たちが優秀(やり)すぎる!  作者: かみきほりと
試験に挑む召喚術士、王都滞在中も奮闘する

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56 黒猫、陽光の中で暗躍する

 かつてサンクジェヌス帝国は、オースフィア大陸の三分の一を支配した。

 その勢いは凄まじかったが、急激な領土拡張は大きな歪みを生む。

 結果、周辺諸国が団結して対抗し、それに呼応した内紛によって没落する。

 これにより、帝国にヒザを屈した国々の一部──フレスデン王国やギムナ皇国などが解放され、現在に至る。

 帝国の領土は最盛期の半分以下となり、時が過ぎて周辺国と国交を結ぶまでになったが、それでもまだ野心の炎は消えていなかったようだ……




 この朝、一台の馬車が、傍都ベルの特別門へとやってきた。


 その夫婦は二通の書状を持っていた。

 ひとつは、フェルデマリー王女のもので、遥か遠くにある北海地方(ウォルナーダ)にあるフロティア郡の領主に宛てたもの。そこへ至る通行許可証も添えてあった。

 気丈な妻は、王都では混乱が続いており、書状を届けるという名目で脱出させて頂きましたと、感謝を交えて正直に話した。

 もう一通は、すぐ近くのミナス村に駐屯している、討伐隊の隊長からだった。

 こちらは、火急の用につき民に協力を求め、負傷者の搬送を依頼したと記されていた。

 どうか命を救って頂きたいと頭を下げて頼まれ、王女様のご恩に報いるためにと引き受けたらしい。


 確かに負傷者の状態はかなり悪く、詮索している時間はなさそうだ。

 何より、王女の書状に偽りがないと上で確認が取れたので、すぐに通された。


 どこからともなく現れた黒猫が、馬車に飛び乗る。

 更に、妻の肩に乗ってささやいた。


「失礼いたします。マリー様、アラン様、お待ちしておりました」


 この夫婦、完全に面影を消しているが、夫は男装したガイゼル閣下で、妻を演じているのはマリーだった。

 従者や護衛は、若き騎士の中でも選りすぐりの者たちだ。

 そんな彼らが、ギョッと目をむいて驚いている。

 そりゃまあ仕方がない。猫が言葉を話せば、そんな反応にもなるだろう。

 騎士たちにも、この黒猫のことは伝えてあったのだが、あまりにも自然な動きなので気付けなかったようだ。


 ハルキは召喚術士見習いで、フェルミンの弟子なのは、あの騒ぎで既に知れ渡っていた。それを利用し、召喚獣を使って情報収集していた……ことになっている。

 この傍都ベルでは、妹のクロエに協力してもらっている……とも。


「キミがハルキの召喚獣だね。事前に聞かされていたけど、これは驚いた」


 アランの言葉で、騎士たちは落ち着きを取り戻す。

 だが、逆にマリーのテンションは爆上がりだ。


「なんて愛くるしいネコちゃんですの? 是非、ワタクシの妹になって頂けませんか? 三食昼寝付きで、おやつも別途用意させて頂きますわ」

「失礼ながら、今はそれどころではございません。まずは負傷者を治療所へと運びましょう」


 それをクロエは、苦笑しながらも冷静に受け流した。


 どこで敵が見ているのか、分からない状況だ。

 怪しまれない為に、本物の負傷者に協力してもらったのだが……

 当然、この任務に耐えうると判断しての人選だが、早く治療が必要なのは本当だった。

 黒猫に化けたクロエに案内され、馬車を直接治療所に横付けする。

 治療所側は、突然の来訪に驚いていたが、隊長の書状と患者の状態を見て、すぐに受け入れを決断した。




 その後、軍の施設に馬車を預け、部屋の一室を借りて作戦会議を行う。

 そこで黒猫(クロエ)は、ひと足先に中へと入り、本来の姿に戻る。

 猫のままのほうが余計な手間がかからないのだが、資料を使って説明するには、猫の身体は不便だった。

 なので、召喚獣に誘導された先で、ハルキの妹クロエが待っていた……という段取りを組んだ。


「皆さま、お待ちしておりました。兄者の要請にて、お手伝いをしておりますクロエと申します。早速ですが、敵の居所を説明させて頂きます」


 若い騎士たちは驚いている。

 妹だとは聞いていたが、十歳そこそこの、こんなに小さな女の子だとは思っていなかったのだろう。

 そんな少女が、大人たちに臆することなく、堂々と会話をしている。

 しかも、敵が根城にしている建物や見取り図、おおよその敵の数や、見張りの場所など、さらには密かに忍び込める経路に至るまで、事細かく説明するのだ。

 極めつけは……


「急を要するのであればボクが始末しましょうかと提案いたしましたが、兄者やメイプル姉様から、それは大人の仕事だからと許可して頂けませんでした。ですが、もしもの時は、遠慮なくお申し付け下さい」


 そんな物騒なことを、すごく真面目な表情で言い放った。

 さすが、()()フェルミンの関係者だ。兄も兄だが、妹たちも負けず劣らずとんでもない……などと、若き騎士たちは、ため息交じりに心の中で呟き、マリーとアランは苦笑した。


 ここまで情報がそろっていれば、奇襲するのも簡単だった。

 それも、少女(クロエ)自ら先導して、密かに忍び込める経路を使い、誰ひとり気付かれることなく、敵の首魁、メッケス将軍とヴェーゲル参謀の所へをたどりついたからだ。

 しかも、なぜか酒で酔い潰れており、簡単に捕縛できてしまった。

 決して公になることはないが、これもクロエが仕組んだことだ。


 相当な修羅場を覚悟していた一同だったが、外へ合図を出し、一斉に兵を踏み込ませると、拍子抜けするほどあっさりと片が付いてしまった。


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