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俺の召喚体(いもうと)たちが優秀(やり)すぎる!  作者: かみきほりと
試験に挑む召喚術士、王都滞在中も奮闘する

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55 明るみに出た謀略

 キュリスベル王国は、三つの国と国境を接している。

 東にフレスデン王国、南東にサンクジェヌス帝国、それ以外は海に面しているのだが、西にカンネドと呼ばれる島国がある。

 北方の海で隔てられた向こう側にも陸地があるのだが、そこはゲヌマと呼ばれる蛮族と魔物が跋扈する場所……と言われている。




「すでに気付いておられると思いますが、彼らは隣国より送り込まれたかく乱部隊です。彼らの目的はキュリスベル王国の力を削ぐこと。ですが、その先にある最終目的は、この大陸全土の支配にあります」


 いきなり話の規模が大きくなったが、常日頃から大陸統一の必要性を声高に主張している国が、ひとつだけあった。

 ふむ、とうなずいて、ガイゼル閣下が答える。


「帝国だな……」

「はい。かつて、この地に覇を唱えた、サンクジェヌス帝国です」

「捲土重来を夢見て……というわけだな。だが、相手はフレスデン人が多く含まれていたようだが?」

「フレスデン人を装っていますが、間違いありません。失礼ながら、三国の国旗を無造作に落としたよう細工し、その上を歩くよう仕向けましたところ、帝国の旗のみを避ける傾向が強く出ていました」

「我が国の国旗を地面に?」

「いえ、置き方によってはそう見えるという、全くの別物です」


 別物とはいえ、我が国の国旗と思いつつ踏みにじる行為があったのだと知れば、不快に思うのも仕方がない。

 そこで、マリーさんが「私が許可させて頂きましたわ」と言って、現物を目の前に出した。姫様にそう言われたら、ガイゼル閣下も苦笑するしかない。

 確かにこれは、置き方によってはそう見えるかも知れないが、旗でも何でもない、それっぽい色の布を縫い合わせただけのものだった。


「帝国は、フレスデン人の仕業に見せかけて騒ぎを起こし、あわよくば両国を仲違いさせようというわけだな」

「そういう事です。噂されているフレスデンでの不穏な動き……その多くは、武力対立だと言われていますが、それも帝国による偽の情報だと判明致しました」


 メイプルの説明を要約すると……

 サンクジェヌス帝国の狙いは、今も昔も変わらず、このオースフィア大陸の統一にある。

 近年はギムナ皇国への圧力を高めていたようだが、ついに侵略を始めるようだ。その前準備として、周辺国の介入を避けるため様々な謀略を仕掛けていた。

 我が国内で起こっている騒乱もその一環だった。


 サンクジェヌス帝国の工作部隊が、我が国内で行っている活動は次の通り。

 ・盗賊に扮して物流や人流を阻害する。

 ・王都、傍都など、主要都市で同時多発的に騒乱を起こす。

 ・国境付近の領主や長に、キュリスベル王国から離反するよう働きかける。


 それを、わざわざフレスデン人を装って行っているのだからタチが悪い。

 しかも、それらを足掛かりにして、更なる効果を狙っていた。

 ・フレスデン王国との国交断絶。あわよくば、戦争で両国を疲弊させる。

 ・国内の物価高騰や、物品を不足させ、国民の不安や不満を煽る。

 ・今回の対策で国庫を浪費させ、国力を低下させる。

 ・一連の騒乱を、王家への批判につなげ、支配力の低下を狙う。


 国力が低下すれば、帝国が他国へ侵略したとしても、さらに莫大な費用がかかる派兵が難しくなるだろう。

 それに、フレスデン王国との関係が悪化し、もし小規模でも戦闘が起これば、一致団結して帝国に対抗しようという機運も生まれない。

 さらに、国王の権威が揺るげば、国境付近の者たちが帝国になびくことも考えられる。


「私たちがすべきことは単純にして明快です。国内で起こっている騒ぎを一刻も早く鎮めること。それが、帝国の野望を挫く一手となるでしょう」


 正直なところ、単純だろうが、明快だろうが、騒ぎを収めるのは簡単ではない。

 だが、ガイゼル閣下やフェルミンさんが加わるとなれば、希望が見えてくる。


「偽盗賊は陽動隊と呼ばれ、ブラワーという若い男の方が隊長をしています。王都攻略隊の隊長はベルヒマーという方。そして、この件を統括しているのは、メッケス将軍と呼ばれている方と、参謀と呼ばれているヴェーゲルという方です」


 メイプルは「私たちからの報告は以上です」と、深々と頭を下げて、俺の横へと戻ってきた。

 目が合ったので、感謝の念を込めて軽く会釈をする。


「なんとも見事なものだな……」

「本当に、恐ろしい相手です」


 メイプルの答えに対して何か言いたげだったが、口を閉ざして考え込む。

 何を思うのか、ガイゼル閣下は顔を曇らせたままだ。


「メッケスとヴェーゲルか。なかなか厄介な相手が来たものだ」

「それで困っておりましたの。ですが、ガイゼル閣下に加わって頂ければ、とても心強いですわ」


 そうニッコリと微笑むと、後を引き継いで、マリーさんが作戦の説明を始めた。




 俺たちは馬車を走らせる。

 客車内の荷物が無くなったとはいえ、重傷者が五人も乗れば手狭に感じる。さらに二人の世話係が同乗し、メイプルはそのお手伝いのために控えてもらっている。もちろん、フェルミンさんもいる。

 御者はサンディーが務め、居場所を失くした俺はその横に座る。

 護衛役のシアは、俺のひざの上だ。

 このまま何時間も馬車に揺られるのはかなり辛いが、そうも言ってられない。


 今ごろ、ガイゼル閣下とマリーさんは、数人の騎士を従え、傍都ベルへと潜入しているはずだ。

 そこには今回の首謀者……と言ってもいいのか分からないが、メッケス将軍とヴェーゲル参謀が潜み、それをクロエが監視している。

 メイプルが言うには、悪巧みがバレたら、強硬手段に出る可能性がある。たとえば、放火や無差別殺人などだ。

 それを阻止するためにも、バレていると気付かれる前に、一人でも多くのならず者と、王都攻略隊長(ベルヒマー)の身柄を拘束する必要があった。


 もちろん、そんな荒事は兵士たちの仕事だ。

 俺たちの使命は、この馬車を少しでも早く確実に、王都へと届けること。

 そう自分に言い聞かせ、異変がないかと意識を集中させながら、睨みつけるように前方を見つめた。


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