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俺の召喚体(いもうと)たちが優秀(やり)すぎる!  作者: かみきほりと
試験に挑む召喚術士、王都滞在中も奮闘する

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49 衝撃の始まり

「お兄さま。この騒ぎのことで少し調べてみたいことがあるのですが、ご許可を頂けますでしょうか?」


 なんだか深刻そうな様子だったから何事かと思ったが、メイプルが気になった事を調べようとするのはいつものことだったので、安堵の吐息を交えて了承する。


「別に構わないけど、そんな仰々しく聞かれたら気になるな」

「その調査を、サンディーお姉さまと、クロエちゃんに手伝って頂けないかと思いまして」

「そういうことか。あんまり危ないことをしたらダメだぞ」


 自分ひとりだけではなく手伝いが必要だから、改まってお願いしてきたのかと理解し、ようやく疑問が晴れて笑顔で許可を与え、ポンポンと頭を撫でる。

 じゃあ、俺も何か手伝おうかと思ったのだが……


「結果が出たら報告しますので、こちらの事は気にせず、お兄さまはしっかりと試験の準備をしておいて下さいね」


 先に釘を刺されてしまった。


 仕方なく、あの可愛い子供部屋に籠り、亀の背に仰向けになって眠るシアの横で、教本を広げる。

 だが、気になって集中できるわけもなく、ほんの数ページ読み進めただけで手が止まり、床に仰向けに寝転がって思いを巡らせることにした。


 冒険者組合(ギルド)のお姉さんは、隣国に不穏な動きがあって、それに合わせて国内の治安も乱れた……と言っていた。

 俺が王都に向かう時に襲ってきた連中も、今にして思えば流れ者──外国からの流入者が、多く混ざっていたように思う。

 それは、王都で騒乱を起こしている連中も同じだ。

 服装や持ち物から考えると、フレスデン人のようだったが……


 何か政変が起こったのなら、今頃はニュースとなって広まっているだろう。

 それが無いということは、そこまでのことは起こっていないものの、人々が国を脱出しようと決断させるような、何かがあった……ということになる。

 だけど、よそ者、それも流れ者が、そう簡単に受け入れられるはずがない。

 コネや金があれば別だが、そうでないものはすぐに食い詰め、ならず者に身を落とすことになる。

 そんなことは本人たちも分かっているだろうし、覚悟をしていたはずだ。

 それを考えれば、知らない土地で犯罪者になったほうがマシと思えるようなことが、隣国で起こっている……ということになる。

 いやいや、それならやはり、噂ぐらいにはなっているはずだ。


 メイプルは、この違和感を感じ取っていたのだろうか。

 いや、あの子なら、もっと物事を深く考えているはず……って、ちょっと待て!

 不意に、視界に影が迫ってきた。


「グェ……」


 思わず変な声が出たが、それどころではない。

 苦痛に顔を歪めながら、激しく咳込む。


「あっ、ハル兄。一緒に寝る?」


 考え事をしていて、全く避けられなかった。

 バランスを崩したのだろう。無防備な俺の腹を目掛けて、傾いた亀の背からシアが落ちてきたのだ。

 それも、いい感じで鳩尾に肘が入った。


 ようやく呼吸ができるようになり、注意のひとつも与えようかと思ったのだが、小さな手で俺の服をギュッと握り、安心しきって眠るその表情を見たら、何も言えなくなってしまった。

 まあ、油断していた俺も悪い。

 これが敵の攻撃だったら確実に死んでいた。それを思えば、常に気を抜くなという警告だったんだろう……と、そう思うことにした。


「あれ? 俺、なに考えてたんだっけ?」


 衝撃で何もかもが吹っ飛んでしまった。


「まあいい。勉強の続きでもやるか……」


 俺の服を離さないシアにひざを貸し、床に座り込んで教本を手に取った。




 ん? なんだ?

 不意に危険を感じて、教本から顔を上げると……

 子供部屋の中に、サンディーとメイプルが姿を現して、フワリと着地した。


「ん~、ハル兄、どうしたの?」

「シア、起きたか。俺にもよく分からないけど、いきなり二人が跳んで帰ってきた。事情を聞きたいけど、その前に……」


 すごく疲れた様子で、二人は床に座り込んでいる。

 俺は、脱がせてやった二人の靴を部屋の入り口へと運ぶと、メイドさんを呼んで、お水を運んできてもらう。

 それを飲んで、ひと息ついたのだろう。メイプルが困ったように話し始める。


「ご心配をおかけしました、お兄さま。少し騒ぎに巻き込まれてしまったので、仕方なく緊急避難させて頂きました」

「騒ぎ?」

「はい。捕まった仲間たちの解放を求めて、流れ者たちが一角を占拠して抗議を始めました」

「それって、犯罪者を解放しろってことか?」


 大きく息を吐いたサンディーが、憤った声を上げる。


「あの人たち、無茶苦茶よ。同胞が犯罪に手を染めたのは、故郷を追われ困窮する我らに手を差し伸べなかった、キュリスベル国王の無慈悲が原因……とか言っちゃって。それに、あの者たちに罪はない。国王は我らの保護を宣言し、即刻我が同胞を解放すべし……だって。盗人猛々しいとは、この事よね」

「なんだそりゃ。そんな抗議をする元気があるなら、自分の国で自分のところの王様に抗議すればいいのに……」

「ほんっと、そうよね。たまたま、その場所に居合わせて、見つからないように逃げようって思ったんだけど、道が封鎖されてて……。それで結局見つかっちゃって、仕方なく逃げ回って、建物の中に入ったと同時に跳んで帰って来たの」

「大変だったな。二人とも無事で、本当によかった」


 そんな大変な目に遭ったってことは、クロエとは別行動だったんだろう。

 それにしても……

 わざわざ、キュリスベルにまで逃げてきておいて、キュリスベル王を貶めるだなんて、とても考えられない暴挙だ。


「……王様を貶めるのが目的?」


 ただの思い付きだし、つい漏れただけの言葉だったが……

 メイプルは真剣な表情で、コクリと大きくうなずいた。


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