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俺の召喚体(いもうと)たちが優秀(やり)すぎる!  作者: かみきほりと
試験に挑む召喚術士、王都滞在中も奮闘する

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48 外を歩けば犯罪だらけ

 王都に到着してから三日経つが、フェルミンさんはまだ帰ってこない。


 待っている間、試験対策をするにしても、筆記試験のために教本を読み返すことぐらいしかすることがない。

 ちなみにマリーさんにも、どんな試験内容なのかと尋ねてみたが、俺が事前に聞いていた程度の知識しかなく、あまり詳しくは知らないらしい。

 それに、実技に関しては、その時々によって大きく内容が変わったりするので、過去の内容はあまり参考にならない……と、教えてもらった。


 そんなわけで、ただフェルミンさんを待っているだけなのも何なので、それぞれ好きな場所に散って、情報収集をすることにした。

 つまり、王都の散策と見物だ。


 ついでに俺も、武具店を訪れた。

 武器になりそうなものが、クワだけというのは心許ない。なので、シアを連れて、標準的なナイフと剣を購入した。

 実習召喚術士には、護身用の武装が許されている。なのに、いつまでも手ぶらというのも変な話だし、要らぬトラブルを避けるためにも、武装しているぞと周りに見せるのは有効だ。

 もちろん、シアに頼めば、様々な武器や防具を生み出してもらえるのだが、あまり負担はかけたくないし、それにばかり頼ってもいられない。


「それにしても、やっぱり治安が悪くなっているみたいだな。前は、女性や子供でも平気で一人歩きできたんだけど……」

 

 この三日間で強盗を八回、誘拐らしきものが三回、刃傷沙汰も五回は見たような気がする。無銭飲食や窃盗に至っては数知れず……といった感じだ。

 犯罪の数が増えたせいなのか、対応が間に合っていないような印象を受ける。


 言ってるそばから、俺のナイフを盗もうとした男が、シアに昏倒させられる。

 見たところ、外国からの流れ者のようだ。

 そこに窃盗犯の仲間が現れるが、それは俺が、シアの木剣で叩きのめした。

 ……いやまあ、危ない所をシアに助けられたりもしたが、こちらに怪我はない。

 合わせて五人、兵士に引き渡したのだが、こんなことが毎日のようにあり、今日もこれで二回目だった。




 これで協力金がもらえるのはありがたいが、それよりも平和な日常が早く戻ってきて欲しいものだ。

 ともかく、討伐証明書を換金するために、冒険者組合(ギルド)へと向かう。

 ここを訪れるのも、何度目になるだろうか。

 受付のお姉さんとも、すっかり顔なじみになってしまったし、店にたむろしている人たちとも「よう、今日も悪党を狩ってきたのか?」ってな感じで、仲良くなってしまった。

 そこへ、クロエたちもやってきて、結局、全員集まってしまった。


 クロエには、メイプルとサンディーの護衛を頼んであった。

 ここに来たということは、向こうでも騒ぎがあったのだろう。

 俺が二枚、クロエが五枚、討伐証明書を提出する。


「……って、五枚? そんなに襲われたのか?」

「いえ、兄者。騒ぎを見かけて仲裁したものもございます。勝手をして、申し訳ございません」

「いや、クロエ、ありがとう。みんなが無事なら、それでいいよ」


 いくら流れ者のならず者たちとはいえ、それを自称農夫の青年と、まだ子供の妹たちが面白いように狩ってくるのだから、常識が崩れる思いだろう。

 だが、それが毎日、一日に何度もとなれば、受付のお姉さんもすっかり慣れっこになってしまったようだ。

 テキパキと処理し、すぐに協力金の入った袋が用意される。

 さすがに盗賊と違って金額はかなり少ないが、それでも、これだけの数をこなせば、そこそこの金額になる。


「そうそう、ハルキさん。面白い噂を聞きましたよ」

「面白い噂?」

「なんでも、治安維持のために軍が新たな部隊を投入したって話なんですけど」

「そうなんですね。それで少しは良くなればいいんですけど……」


 お姉さんが、なぜかニッコリと微笑んで、続きを話し始めた。


「それがですね、いかにも旅行者って姿をしていたり、子供の姿をしている人たちが囮になって、次々と相手を罠にかけて捕まえているらしいんですよ」

「たしかにそれは、有効かも知れませんね。でも、囮を使うだなんて、なかなか思い切ったことをしますね」

「……これって、あなた方のことですよね?」

「えっ?」


 何を言われたのか、どういう意味なのか分からずキョトンとしていると、メイプルが話を引き継いでくれた。


「私たちは、軍と何の関係もありませんよ。だって、軍のお仕事だったら、証明書で換金なんてしませんよね?」

「そうそう。だから、これも作戦なんじゃないかって。王都には冒険者以外にも腕に覚えのある人が数多く暮らしてますから、その人たちも犯罪者を捕まえるようになれば、軍も助かるし治安も良くなりますよね?」

「ん~、それはあまりお勧めできませんよ? お小遣い稼ぎで無実の人を犯人にする人が現れたり、捕まえようとして死人が出たりしたら、大問題になりますから」

「う~ん、たしかにそうですね。でも、あなたたちは、何か特別な任務をされてますよね? あのフェルミンさんの弟子ですし、宮廷魔導術士さまが案内役を努めていたぐらいですから……」


 そういう風に言われると、とんでもない大物ように思えるけど……

 残念ながら、全くの的外れだった。

 それにしても、数少ない材料で、よくこんな噂話ができあがったものだ。


 治安維持のために、特殊任務を帯びた部隊が投入され、囮を使って、ならず者たちを次々と捕まえている……

 第三者からはそう見えていたのだろうか。

 ならず者たちも、同業者がバンバン捕まっていると分かれば、こんな噂でも信じたくなるのかも知れない。


「俺たちは、仕方なく火の粉を振り払ってるだけなんですけどね……」


 う~ん、と考え込んだメイプルが、お姉さんに質問をする。


「その噂話ですけど、詳しく聞かせてもらってもいいですか? 誰からどのように伝わってきた……とか」

「えっ? ……そうですね。兵士さんから聞いたんですけど、捕まえた相手が奇妙な話を言ってた……って感じでしたね」

「教えて下さって、ありがとうございます。それにしても、自由に出歩けないのは不便ですね。噂の力でも何でもいいので、それで悪い事をする人がいなくなればいいのですが……」

「そうですね。早く、また平穏な日々が戻るといいですね」


 本当にそうなればいいのにと、つくづくそう思いながら、また来ますと挨拶をして、俺たちは建物を出た。


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