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俺の召喚体(いもうと)たちが優秀(やり)すぎる!  作者: かみきほりと
落ちこぼれ召喚術士、田舎暮らしで奮闘する

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33 待望の窯出し

 フェルミンさんが言うには、領主の件は片付いたらしい。

 もちろん……なのかは分からないが、俺へのお咎めはないとの事だ。


 驚いたのは、フェルデマリー王女の事だ。

 王女はお忍びで宮廷魔導術士のふりをしているわけではなく、素性をかくして宮廷魔導術士になり、実際に活動しているらしい。

 ちゃんと実力もあるし、そのことは国王も承認済みらしい。

 でも、あの様子じゃ、すぐにバレるんじゃないかと指摘すると、フェルミンさんも大きくうなずいた。言葉遣いや立ち居振る舞いを改めるよういろいろと教えているが、あれでもかなり改善されたほうで、前途多難……なのだそうだ。


 逆に、クロエの黒装束のことを指摘されてしまった。

 闇夜ならばともかく、明るい場所でアレは目立つし暑いだろう……と。

 それを聞きクロエは、一番能力が発揮できる姿があの服で、今後は場所に合った服装を考えてみるそうだ。


「じゃー、さっそく、いろいろと調べさせてもらうわねぇ」

「ちょっ、ちょっとフェルミンさん、何をしてるんですか?」


 いきなりクロエに抱き付いて、身体をまさぐり始めたフェルミンさんを注意するが、お構いなしに服をはだけさせていく。

 危険を感じたクロエは、ボフンと煙と発して黒猫姿になり、難を逃れた。


「ほわぁ……。話に聞いてたけど、本当に猫になれるんだねぇ」


 黒猫(クロエ)を捕まえようと手を伸ばし、ペシッと叩かれる。

 思いっきり拒絶されているのに、フェルミンさんは嬉しそうに「きゃ~、ネコパンチよ」などと楽しんでいる。

 それにしても、魔女に黒猫が加わると、年季の入った建物と相まって、一気に物語にある魔女の館っぽく見えるから不思議だ。


「兄者、お助け下さい」

「クロエは恥ずかしがり屋さんだから、勘弁してあげてください」


 胸に飛び込んできたクロエを抱きかかえながら、フェルミンさんをたしなめるが、全く効果がない。

 それどころか、「語尾に、にゃあって付けて、にゃあって」と、訳の分からない要求をしてくる。


「召喚術の未来のためならば……とは思ってますけど、もしクロエが怖がるようなら、これ以上は協力できませんよ」

「そうですよ、マスター。愛でるなら、この愛らしい私を存分に愛でて下さい」


 これまた訳の分からない事を言いながら、風精霊(フィーリア)が援護してくれる。

 しぶしぶ了承するフェルミンさんに、怖がらなくてもいいからとクロエに言い聞かせてから渡した。

 その時にチラッとお腹の下辺りに召喚印らしきものが見え、猫の状態でもちゃんとあるんだなと気付いた。




 とうとう窯を開ける時が来た。

 緊張の一瞬だ。

 手首にシアの腕輪を付け、慎重に土を削り、石を引き抜いていく。


「よし、これで最後だ。見た感じ……崩れたり、倒れたりもしてないな」


 外気が入って灰が舞い上がったのか、少し埃っぽいが、見た感じはちゃんと出来ているように見える。

 手前から順番に手に取って、外のメイプルたちに渡していく。


「見た感じ、大丈夫そうですね。お兄さま、次を」


 ひとつひとつ丁寧に目視や手触りで確認し、軽く爪で弾いて音も確認している。


「コップも大丈夫そうですね。思ったより色が変わっちゃいましたけど、すっごく綺麗です」


 どうやら、思ったような結果にはならなかったようだが、すごく楽しそうだ。

 煉瓦と、残骸などを取り出し、最後に軽く掃除をしようとして埃を舞い上げてしまう。


「けほっ、けほっ………、こりゃ、また後で掃除したよさそうだな」

「そうですね」

「……ところで、煉瓦ってこんなだったっけ?」

「思っていたのとは、ちょっと違いますね。でもこれはこれで、いい風合いですよね。インテリアにいいかも」


 表面が被膜で覆われた四角い物体を撫でながら、メイプルが笑っている。

 どうやら失敗だったようだが、やっぱりそれでも楽しそうだ。

 ひとつひとつ確認し、これはこう配合したから……とか、これはあれを入れたから……とか、ぶつぶつと呟いている。


 小屋に入ると、棚にずらりと作品が並べられていた。

 こうして見ると、なかなか壮観だ。感動すら覚える。

 かなりの数が並んでいるのに、一つとして同じものがない。


「ダメそうなのは、こっちにまとめておいたよ」


 サンディーの指し示した先には、変形したものやひび割れの入ったものが置かれていた。とはいえ、全部が全く使えないわけではない。

 それに、たとえ欠片になってても使い道があるそうだ。


 さすがに全員分はないので、お世話になった人を厳選して、コップとお皿のセットを、みんなで手分けしてお届けする。

 俺とメイプルは真っ先に、恩人で農業の師匠でもあるウィル爺さんの元へと向かった。


「そりゃ、わざわざスマンかったの。ハルキさんとこ、大所帯になったけ、そんな副業を始めたんかいの?」

「いえ、違いますよ。ちょっとした趣味みたいなものですよ。師匠にはいろいろとお世話になってますから、どうかと思いまして。よければ使って下さい」

「ありがたー頂くけんど、もったいない、売りゃーええに」

「こんな不格好なものを売ってたら、他の村から来た人に笑われますよ」

「ハルキさんの(とこ)も順調そうだし、次はもうちぃと広ぉ場所も任せてみていんかもな」

「その時は、頑張って励みます」

「おうおう、励みぃよ」


 その後は、メイプルも交えて、これから玉黍(コーン)はグングン成長するから追肥と土寄せをしないと……だとか、害虫が……とか、農業談義をして過ごした。


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