表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の召喚体(いもうと)たちが優秀(やり)すぎる!  作者: かみきほりと
田舎の宮廷召喚術士、領主となって奮闘する

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

128/283

128 八方塞がり

 大角鹿(キャリーブ)の討伐報酬は、解体を手伝ってくれた人たちで分けてもらうようお願いした。

 高級素材に高級食材が大量に手に入り、多少は町が潤うだろう。

 もちろん、領主の館にも素材や肉を少し分けてもらえるように、お願いしておいた。


『お兄さま。あの獣使いの仲間たちを捕まえました』

『そっか。メイプル、お疲れ様。これで少しは安心できるかな』


 そう思ったけど、メイプルには気になる事があるらしい。

 それを調べてもらうことになり、報告が終わった。




 あれから数日経ったけど、細々と届く書類を処理しつつ、大量の資料を読み進める日々が続く。

 メイプルからは、特にあれから続報はない。

 だけど、調査は続けているようだ。


「まただ……」


 書類を手に取り、小さく首を傾げる。

 グレンさんが運んできた書類を見て、明らかな違和感に気付く。


「メイプル、これなんだけど……」


 どう見ても費用が水増しされている。

 最初は小さな額だったのに、だんだん増えているようだ。

 これではまるで……


「そうですね。水増しに着服……、これだと、お兄さまが悪い事をしているようにしか思えないですね……」

「やっぱり、メイプルもそう思う?」

「お兄さまは領主なのですから、不正にはなりません。ですけど、これでは印象が悪いですよね……」

「グレンさんからの試験かな……。ほら、こんな事も見抜けないのかっていう」

「どうなんでしょう。それも含めて調べてもらいますね」


 また、クロエやディアーナに苦労をかけてしまうけど、他に手がない。


「やっぱり冬が明けたら、真っ先に人を集めないとダメみたいだな。この時期でこんな調子だったら、雪が溶けたら全然手が足りなくなりそうだ」

「その準備も必要ですね。何か考えておきますね」

「ありがとう、メイプル。代わりに俺にできることがあったら、何でも言ってくれ。他のみんなにも、何か恩返しをしないとな」

「そんなこと、別に気にしなくてもいいのですよ。ですけど、せっかくですから、何か考えておきますね」

「ああ、何でも言ってくれ」

「はい♪」

 

 なんだろう……

 満面の笑顔が気になるけど、多少の……どころ、かなりの無茶でも叶えてあげないと恩返しにならないだろうし、覚悟をする必要がありそうだ。




 貴族や領主って、もっと好き勝手して、贅沢三昧だと思っていたけど、現実は全然違った。

 文字と数字を追いかける毎日だし、貧乏……には慣れているけど、好きな事をする時間が全くない。


 メイプルが言うには、まずは領内を豊かにして税収を増やし、それで人を雇って仕事を任せていく……というのが、本来のやり方らしい。

 その為には、まずは冬が終わらないと……

 いや、冬には冬の手仕事がある。

 ウラウ村でも、冬の間は藁を編んで小物などを作っていた。

 まあ、俺の場合は売り物ではなく、自分で使う物だったけど。


 それなら、冬の間に他の町や村……できれば、王都でも売れるような商品が作れるようになったら……と、メイプルに相談する。

 いや、もちろん、メイプルに負担がかかるのは分かっているけど、その本人から……


「領主さまは、他の領主さまや貴族たち、王族のみなさまとの関係を築くのも大切ですけど、領地を豊かにするために、いろいろなアイデアを出すことも重要なお仕事ですよ。実現できるかは私が判断させて頂きますし、実際に動いて実現させるのは、配下のみなさんです」


 だから普通、領主が害獣退治なんてしませんよ……なんてことを言われたけど、他にする者がいないのだから仕方がない。

 それに、今のところ、俺の配下……というか、助けてくれるのは妹たちだけだ。


 なんだか八方塞がりのように感じ、メイプルに許可をもらって、念話でフェルミンさんに相談してみた。

 話を聞いたフェルミンさんは……


『思ったよりもぉ、頑張ったわよねぇ~。そりゃそうよねぇ。信頼できて有能な人材って、そう簡単には現れないわよね~』

『自分で育てたらいいって言われましたけど、そもそもどうやって集めて、どうやって選べばいいのも分かりませんし』

『領主の館で働くってなったらぁ、やっぱり、貴族のご子息ってことに、なるわよねぇ~。でもぉ、たぶん、ほとんど使い物にはならないわよぉ?』

『あー、ですよね。わざわざ雪の中、訪ねてきた貴族の息子っていうのがいましたけど……、ちょっと調べたら、怠け者でワガママ、それで家を追い出されて流れてきたっていうのがありましたよ』

『まあ~、そんなのしか売れ残ってないわよねぇ。そうね~。使われる側も、相手を選んでるからぁ、この人の下で働きたいってぇ、相手に思われる領主にならないとねぇ』


 つまり、とにかく俺の評判を上げていくしかないわけだ。

 それか、領民の中から見つけてくるか……


『よかったらだけど~、知り合いに声を掛けてあげてもいいわよぉ』

『それは助かります。よろしくお願いします』

『まぁ~でもぉ、あんまり期待しないでねぇ』

『ん~、そうですね。もし候補が見つかったら、ミアに会わせておいて下さい。たぶん、人を見る目は、俺よりも確かなので』


 その後、メイプルも交えて詳しい話し合いをして、念話を終えた。

 必要なのは、兵士と屋敷管理、あとできれば料理のできる人にもお願いしたい。

 でも、資金にそれほど余裕はない。


「これじゃ、ここの領主を誰もやりたがらないわけだ……」


 そう呟いて、俺はため息を吐いた……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ