表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の召喚体(いもうと)たちが優秀(やり)すぎる!  作者: かみきほりと
試験に挑む召喚術士、王都滞在中も奮闘する

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

113/283

113 勝てると思った瞬間が、一番危ないのですよ

 シアにお願いして、武器を別のものに変えてもらった。


 さすがに、この姿で木剣というのは風情に欠ける。

 細剣(レイピア)だと胡散臭さが増して良さそうだが、あれは殺傷能力が高過ぎて、どう頑張っても相手を無傷で……とはいかないだろう。

 やはりステッキか、それとも槍か……いや、穂先のないこん棒のほうがいいだろうか……などと悩んでいると、シアが見事な武器を生み出してくれた。

 見た目はステッキだが、俺の意志で身長サイズのこん棒に変化する。

 長得物の扱いもそれなりに自信があるので、無様な事にはならないだろう。


 そうこうしている間に、ガイゼル閣下率いる騎士隊が倉庫を包囲する。


 この中に、死霊術士(ネクロマンサー)と、魔獣使い(モンスターテイマー)がいるのは間違いないだろう。

 残る一人は、いかにも偉そうらしいから、魔獣を持ち込んだ首謀者なのかも知れない。なので、仮に首領(ドン)と呼ぶことにする。

 ついでに、死霊術士をネクロマ、魔獣使いをモンテマと略すことにした。


「騎士諸君は、被害が市街に及ばぬよう、敵を封鎖区画(エリア)から出るのを阻止せよ。これは厳命である」


 ガイゼル閣下の指示に、騎士たちが一糸乱れぬ動きで敬礼をする。

 それを少し離れた場所で見ていると、屋敷の中のメイプルから連絡が来た。


『お兄さま、準備が整いましたので、ディアお姉さまをここへ呼びますね』

『ああ、そうだな。幽霊たちのこともあるからな』

『では、行ってきます』


 どこへ……と聞こうとしたら、グリーン(メイプル)の反応がミアの屋敷へと移っていた。


 ミアは、いつの間にかサンクジェヌス帝国におり、ディアーナの反応がすぐ近くに出現し、イエロー(サンディー)と一緒に外へと出てきた。紅玉の聖法騎士姿で……


「では、我ら聖法騎士が幽霊と死霊術士(ネクロマンサー)の対処に当たる。ウィッチとブラックは魔獣の対処を願いたい」

「任せてぇ。みんな~、巻き込まれないように、気を付けてねぇ」


 えっ? オレも?

 思わず表情に出てしまうところだったけど、仮面を被っていて助かった。


「うむ、善処しよう」


 出来るだけ威厳を込めたつもりだったけど、どうだっただろうか。

 笑いをこらえるフェルミンさんと一緒に、イエロー(サンディー)シアン(シア)ピンク(クロエ)を引き連れ、白銀と紅玉の聖法騎士たちに続いて倉庫の中へと入った。

 



 倉庫の内部は、広めの通路と、いくつかの部屋に分かれていた。

 この先が中心部で、扉が無く、通路と直接つながった部屋となっている。その奥に魔獣の部屋と、攫われた人たちがいる小部屋があるらしい。


 見栄えを重視して、全員そろって中に入ったのは失敗だったようだ。

 外が騒がしくなり、急いでピンク(クロエ)を向かわせる。


『使役された幽霊たちに、騎士たちが操られているようです』


 魔獣を解き放つことは想定していたが、幽霊を使うとは……

 この場にメイプルがいれば、事前に察知して対処していただろうし、対応策もきっとあったはずだ。


「アニさま、外の幽霊たちはウチがなんとかしますさかい、死霊術士(ネクロマ)のほう、よろしゅう頼んますぅ」

「ああ、頼む。イエローも外を手伝ってやってくれ」


 一瞬、イエロー(サンディー)から不満そうな感情が流れてきたが、コクリとうなずいてディアーナの後を追っていった。

 念話で『サンディーなら、騎士を傷つけずに対処できるだろ?』と、フォローを入れておく。

 もうすぐメイプルが復帰するだろうし、それまでは俺がみんなをしっかり導かないと……と気合を入れ直す。


 すでに奇襲は失敗している。

 ならば、相手が行動に移す前に制圧するのが一番だが……

 どうやら、ひと足遅かったようだ。


『兄上、敵は魔獣を放ったようです。お気を付けください』


 ピンク(クロエ)からの報告は、ガイゼルさんとフェルミンさんにも届いている。


 中心部へ入る寸前、シアン(シア)は背中に生み出した大剣を手に取って、前に出ると同時に斬撃を放つ。

 ガギッと激しい音が響き、魔獣の突進を受け止めた。

 その横から、黒狼(ニック)が襲い掛かる。


 見るからに醜い生物だった。紫と緑のまだら模様で、不自然且つ、不規則な瘤に覆われた皮膚。その所々から角のようなものが生え、足が三本、腕が二本、口は腹にあたる部分にあるようだ。


 そこでようやくメイプルが、こちらの現状を把握できたのか、細かな指示が送られ始めてきた。


『シアちゃんに強化を二。ディアお姉さまには三をお願いします。ごめんなさい、お兄さま、遅れました』

『いや、見えない場所からだけど、いけるか?』

『はい。もちろんです』


 メイプルは、遠く離れた場所、それもこちらの様子が見えていない状態で、こちらから送られてくる情報を元に様々な可能性を推測し、最適な方法を選んで指示を出そうとしている。

 これは、今に始まったことではなく、偵察などで普段から行っていることらしいが、瞬時の判断が求められる戦闘で、こうして完全に見えない状態でというのは初めてだ。

 だからといって、俺が特別に何かをするというわけではない。報告なども、他の妹たちがやってくれている。


『クロエちゃんに一瞬だけ強化を六。カウント三、二、一、はい。じゃあ、その魔獣はフェルミンさんにお任せして、お兄さまはシアちゃんと、魔獣使い(モンテマ)を無力化して下さい』

『わかった』


 死霊術士(ネクロマ)や操られた幽霊たちと戦う白銀の聖法騎士(ガイゼルさん)の横を抜け、その奥にいる、ローブ姿の初老の男へと向かう。


『気を付けて下さい。勝てると……』


 メイプルからの警告と、俺が気付いたのはほぼ同時だった。

 そして、シアがそのまま突っ込もうとするのが見え……


 この一瞬、俺に神が舞い降りたのだと思う。

 たぶん、同じことをもう一度やれと言われても、出来ないだろう。


『シア、俺の所へ跳躍(ジャンプ)だ!』


 手にしたステッキを床に突き立て、こん棒に変化させつつ、その勢いを借りて大きく飛び上がり、同時にシアへと念話を飛ばす。


 俺の下を魔獣が通り過ぎ、俺のさらに上に出現したシアン(シア)が、落下しつつ魔獣使い(モンテマ)を蹴り飛ばす。

 先に着地した俺は、何とか転ばないよう、こん棒で身体を支え……、その横に、勢いを殺すように床を削りながら、シアン(シア)が寄り添うように着地した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ