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俺の召喚体(いもうと)たちが優秀(やり)すぎる!  作者: かみきほりと
落ちこぼれ召喚術士、田舎暮らしで奮闘する

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11 資格、復活?

 召喚体といえば動物が圧倒的に多いが、精霊や妖精、聖獣や幻獣などの想像上の生物も珍しくはない。

 虫や植物は少なく、人形やゴーレムなどの非生物、亜人や半獣半人あたりは、かなり珍しい部類とされている。

 そのようなことを学院で学び、フェルミンさんの少女人形(デイジー)は、かなり珍しいのだと知った。

 あの頃は、自分に何が召喚できるのかとワクワクしていたな……と、今になって思い出す。




「少し召喚術のことで聞きたいことがあったんですけど……」


 何がそんなに興味をそそられたのか、フェルミンさんは部屋の物色に夢中だ。

 ならばと、そちらはメイプルに任せ、風精霊(フィーリア)に向き直って尋ねる。


「フィーリア、人間の姿をした召喚体のこと、教えてもらってもいいかな?」

「人間の……? なに、ハルキ、アンタそんな事に興味があるの?」

「興味っていうか、珍しいからね」

「珍しいも何も……」


 風精霊(フィーリア)は、やれやれといった感じで両手を広げると「そんな事も教わらなかったの?」とでも言いたげに、仕方がないわねぇ……と教えてくれた。


「召喚に成功したって話は聞かないわね。召喚体は絶対服従を宿命付けられた存在だし、それが人型ならば奴隷も同然だから、どれだけ欲しても心のどこかで罪悪感が生まれて成功しない……っていうのが公式な見解よ」

「へぇ……そうなんだ。でも、フィーリアだって、こう言ったら失礼だけど、割と人間に近いよね? なのに、妖精とか精霊って珍しくないし」

「そうなのよ……、ホント不思議よね。人間って、私たちのことを奴隷か何かと勘違いしてるのかしら……」


 つい余計な事を言って、風精霊(フィーリア)の機嫌を損ねてしまったようだが、それにフェルミンさんが答える。

 興味の無い素振りだったが、ちゃっかりと聞いていたようだ。


「それはね~、可愛くて優秀な助手が欲しいなって、私が願ったからだよ。召喚体って、所有者の願望を映す鏡って言われてるからね~」

「可愛い……優秀……? ちょちょちょっ……そんな風に……。ふ、ふ~ん、そういう事にしておきますよ」


 なんだかすごく嬉しそうだ。

 とはいえ、これでますます話が切り出しにくくなった。

 この流れで、この子が俺の召喚体なんです……だなんて言おうものなら、妹を奴隷にしても罪悪感を抱かない異常者ってことになってしまう。

 それに、俺の願望を反映させた結果、二人が生まれたのだとしたら、俺自身が気付いてなかった心の内面を暴露するようなものだ。


「それより、ハルキはまだ召喚術に興味があったのね。退学になって諦めたのかと思ってた」

「まあ……そうだね。ここに来た時は諦めようって思ってたけど……」

「あんまり寂しいから人間の召喚体が欲しくなっちゃった?」

「そっ……んなわけ……」

「そうよね。こんなに可愛い妹さんがいるんだから、そんなわけないわよね」

「………………」

「まあでも昔は居たらしいよ、人間タイプの召喚を研究してた人。召喚術ブームの時なんて、チームを組んで真剣に研究してたって。結局ダメだったみたいだけど」

「そうなんだ……」


 それを聞いて、すごく、それはもう真剣に悩んだ結果、俺は打ち明けないことにした。

 人間の召喚体は珍しいとは思っていたが、ここまでだとは思わなかった。

 先人たちがチームを組んで研究し、それでも叶わなかった願望を、学院を退学になり、見習い召喚術士の資格をはく奪された俺が、偶然成功させてしまっただなんて申し訳なさ過ぎるし、畏れ多過ぎる。


「ハルキ、な~んか怪しいわね。何か隠してんでしょ?」

「そりゃまあ俺だって、今までいろいろあったからね。秘密の一つや二つは……」

「あっ、誤魔化した」


 厄介な相手に気取られてしまった。

 ただちょっと、人間の召喚体に対する接し方や心構えなどを聞かせて欲しいと思っただけなのに。

 もしこれが、史上初の快挙だったら、相談しても明確な答えは無いだろう。

 それどころか、どこかの研究機関に幽閉されて、三人まとめて実験材料にされかねない。……勝手な想像だが。


 突然ポンッと手を打ったフェルミンさんは、そうそう忘れる所だったと呟き、風精霊(フィーリア)に何か指示を出して、また部屋の物色に戻る。

 本当にマイペースな人だ。


「そうね。ハルキがまだ召喚術に興味があるんだったら、教えてあげるわ。アンタの退学、取り消しになったから、いつでも復学できるわよ」

「へっ……?!」


 退学を……取り消し……?


 そりゃまあ、メイプルやサンディーのことを思えば召喚術士の称号は必要だろうが、さすがに手遅れ感は否めない。


 召喚術の勉強はしたいが、今さらそんな事を言われても、すでに二年以上が経っている。戻ったところで好奇の目に晒されて肩身の狭い思いをするだけだ。

 それに、この場所のことをとても気に入っているし、この生活を手に入れるのに多くの人のお世話になった。恩返しをしたいと思っているのに、それができないまま全て投げ捨てて、学院に戻るだなんてことはしたくない。

 そのことを伝えると、同情するように風精霊(フィーリア)は深く息を吐いた。


「もっと早くハルキを見つけられたら良かったんだけどね。王都を出たって聞いたけど家には戻ってないし。まさか、こんな場所にいるなんて誰も思わないわよ」


 仰る通りで、返す言葉がない。


「でもまあ、まだ諦めてないっていうのなら良かったわ」


 そう言うと、風精霊(フィーリア)は何かを放って寄越した。

 杖と鉄鎖の紋章に、卵の形の影絵(シルエット)が入った、懐かしいブローチだった。


「見習い召喚術士の証……でも、なんで?」

「そりゃ、退学が取り消しになったんだから、見習いの資格も戻るわよ」

「そ、そうかも知れないけど……」

「それにね、召喚術士になるだけなら、学院に通う必要はないわよ。そりゃ、それが一番の近道だけど、他にも方法はいろいろあるのよ」


 戸惑う俺の前に風精霊(フィーリア)が翔んできた。

 いつになく真剣な表情なので、何事かと思ったら……


「見習い召喚術士ハルキ・ウォーレン、今日よりアナタを、宮廷召喚術士メイリア・フェルミンの弟子と認めます」


 そう高らかに宣言した。


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