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6話目♀!

とりあえず特に目的も無い旅になったから水辺の街に行ってみようという話しになったわ。



「……地図を見るに川は東、そこから南下していけば海ね。」


「ミストウェルの海辺の町ならレミュエーレかな?」


「あら、知ってるのラティス君。」


「ぼくはミストウェル側から国境を越えた所だったからね♪」


「なるほど。」



彼が獣人で私の旦那様である以上、またミストウェルに逆戻りになったけど良かったのかどうかは聞くまでもないわね。

だけど…



「…?なら、何故ミストウェル側で商売をしなかったのかしら、あの商人さんは。」


「ミストウェルからウィンドルへ行く人は少ないからだよ?」


「…………あぁ。理解したわ。」



要するに『ミストウェルへ亡命する為の護衛として奴隷は如何ですか?』と売り込みに行ったり、

職業奴隷として雇用して商人権限でミストウェルへ亡命させてあげようとしに行くところ、だった訳ね。


『常識』を改めて思い返せば、最近はウィンドルから出ていく人が多いみたいなのよね、

と、言うのも王太子がやらかしたとか言う話があるからなのよ。

具体的には公爵家の娘を()()()()断罪して国外追放とし、男爵家の娘を娶ったから、なんだけど。

…………………まって、常識になるほどの事実ってウィンドル王国って危険地帯じゃないのよ!?

つくづく脱出して良かったわ………


って、あれ?

その事件は私がこの世界に来る少し前の事じゃない…?

もしかして、もしかしなくても、断罪された公爵家の娘さんに出会うフラグ………?

いえ……まさか………!!!



〔あー…もしかして何か気付いちゃったかな…?〕


(ええ、神様も『乙女ゲーの様ななんちゃって中世ヨーロッパ』って言っていたもの。

つまり、それの意味するところは………)


〔…ご明察。“悪役令嬢ちゃん”は国境を越えてすぐにミストウェル側の強盗殺人に見せ掛けて殺されるね。〕


(何それ…!

大体、そもそもが男爵令嬢の横恋慕に王太子の浮気じゃないのよ!!

(常識によると)平民達にも優しくしてくれていたあの公爵令嬢様が虐め?

バッッカじゃないの!!?)


〔ちなみにトワはその悪役令嬢ちゃんが乗っていた馬車を途中で追い越してるよ。

ついでに敵性反応があったからって悪役令嬢ちゃんに襲いかかる()()を倒してたりする。

それで一回目の暗殺に失敗したから国境越えてからの暗殺に変わった訳。〕


(え。)


〔なーいすトワちゃぁぁん!!〕


(え。

知らずの内に関わってたの私?)


〔そうだよ?ちなみにその子、自身を助けてくれたトワの事が気になってる様子だったけど“前の姿(クロエ)”の時の話だから向こうからは見つけては貰えないかなぁ……〕

〈尤も、倒した()()ってのは盗賊の事だけど。

この世界において、【盗賊ギルド】に所属してる【義賊】を除く、盗賊山賊海賊なんかは魔物扱いとは言え、

それを知ったらトワは気に病むかもしれないから知らぬが仏、というものだな。〉



「…ねぇ、ラティス君。」


「ん?どうしたのトワお姉ちゃん。」


「私、ウィンドル王国から追放された元公爵令嬢様、【メルティ=ハーレスト】様を助けに行きたいのだけれど。」


「良いよ!」


「えらくあっさりね?」


「だってー

ー何故なら、“私”としても、許せない事件だったから。」


「えっ…?もしかしてラティス“さん”?なぜ急に?」



確かラティス君の説明だと丸一日は休眠状態になっているはずだった気がするのだけれど。



「…あれ……?何故…?

私はまだ、休眠状態だったはず……


「…………。」



どうやら本人も困惑してるみたいだわ…………


(ねぇ神様、もしかしてラティス君とラティスさんって片方が休眠状態でも入れ替われたりするのかしら?)


〔今回の場合はラティス“君”の方が状況を見て休眠状態を肩代わりしたみたいだぞ。

それもまた1日1回までみたいだけど。〕


(何それチート………)


〔だな、だけど元公爵令嬢に対しては女性二人のが接触しやすいだろ?

たとえ女性人格のラティスが“女装した男性”と認識されるとしても。〕


(それは…そうね?)


【異世界の常識】スキルには貴族としての常識も別途含まれているわ。

それに拠ると未婚の貴族女性は婚約者以外の男性とは気安く話さない、話せないらしいのよ。

例え、平民落ちした元公爵令嬢とは言えども習慣は中々抜けないでしょうし。

だからここは私と女性人格(ラティスさん)が話し掛けるべき、という訳。

何より、同性であれば付きっきりの護衛もしやすいでしょうし。



「ならラティスさん、国境まで逆戻りになるけれど、元公爵令嬢(メルティ)様を助けに行きましょうか…!」


「ええ、付き合いますよトワ姉様。」



……女性人格のラティスさんは見た目は女の子だし事実、身体の性別も女の子なのだけれど、

ステータスだと“女装男子(男の娘)”になってるのよね…

令嬢が看破系スキル持ちだと話がややこしくなりそうだから少し不安だけれど………

その時は私とラティスさんが夫婦だと説明すれば何とか…………?

一応、相手が既婚の男性ならグレーゾーンにはなるらしいし…?


とにかく、私とラティスさんは公爵令嬢様の元へ急ぐく事にしたわ。

ちなみに、居場所は神様が探知してくれるらしいわよ。


(………権能の殆どは使えないと言っても、ナビゲーターとしてはオーバースペックよね神様?)


〔お褒めに預かり光栄だよ、トワ。〕


本当にありがとうね、神様。





そして、神様の案内であっさりとメルティ様を見付けた。



「…国境を越える前に見付けれて良かったわ。」


〔まぁ、僕の予測では国境越えまではまだ3日はあったからね!〕


「どうしますかトワ姉様。いきなり前に出ても不審者でしかありませんよね?」


「そうね、護衛…と言う名目の監視者も居るし、迂闊には飛び出せないわ。」



特に今の私は、既に彼女が探している【人間のクロエ】の姿では無く【マリンエルフのトワ】の姿。

魔力的にも完全なる別人だし説明しても理解はして貰えないでしょう。

となれば。



「癪だけど彼女が暗殺される瞬間に守るしかないわね。」


「流石に不確実過ぎますよ姉様…それ以外の方法、ありませんか?

例えば私を買った奴隷商人に頼るとか。」


「そんなに都合よく居るかしら?」



確かに、今日はまだ国境越えの翌日で、

国境まで3日の位置なら明日には王都を目指す奴隷商人さんとすれ違いそうではあるけど。

ちなみに本気で移動すれば今からでもウィンドル王国の首都に行き、王城に潜入してクズ王太子を暗殺してメルティ様の所へ戻って来る事も出来るけどその場合、あの駄女神に補足される危険があるから態々やらないわ。

そうでなくとも大義無き王族殺しは大罪だし。


(となれば………神様、何か出来る?)


〔文字通りの神頼みで草。〕


(………ムカつくけどその通りでグゥの音も出ないわね。)


〔ちなみに僕が干渉できるのはトワに関する事象だけだよ。

例えば、君の旦那になったラティスだね。

尤も、最後の条件として君との肉体的な繋がりが必要だけど。〕


(えらく俗ね、神様。)


〔なんかすまん…?

ともかく、僕から元公爵令嬢ちゃんへの干渉は無理だね。

君が彼女と繋がれば別だけど。〕


(初対面でソレが出来る猛者ならその前に監視者を倒してるわよね?)


〔ごもっともで。〕


(はぁ…………都合よく適当な盗賊に襲われてくれないかしら?)


〔まってそれフラー



「ブルグガァァァッ!!!|」


「グガッ!?」

「ギャッ!!」



え。

な…に…?

監視者達が、いきなり現れた二足歩行の豚が振り下ろした棍棒で、肉塊…に…………



〔トワにSAN値チェック1d6だ。

………直葬にはなってないな?よし。

にしても…うわー…そんなことあるぅ…?〕


(…そうだ、この魔物は…オーク…?)


〔しかも上位種だね!オークパイセンおつおつ!!〕


(………………………………神様、基本的にナビゲーター以外は何も出来ないのよね?)


〔うん出来ない。だから本当に偶然。

だけどね?()()()()()()()3()()()()()、それが答え。〕


(理解したくないけど理解したわ…………………)



ー上手いこと監視者が死にましたね?チャンスですよ姉様。」


「そうね。」



私とラティスさんは隠れていた木の上から飛び降りてオークの背後から奇襲をしかけた、けど神様の言っていたことが本当ならオークは私達に気付いているはず。

それでも構わないッ!私達のせいでもあるのだから!



(刀剣作成!!)



私は突きに特化した剣、レイピアを作成して背後から突き立てようとした!

けど………



「ブモゥ?」


「ッ!!」

(硬いッ…!)



想像以上に硬い皮膚に弾かれて突き立てられなかった…!!

当然よね、私は普通の人よりスキルが多いだけでステータス自体はチートでは無い。

神様の鑑定に拠ればこのオーク、よりによって上位種でレベルも80近い。

正直、定期的な間引きや道の整備されているはずの街道でなんでこんなのが出てくるのか、と言いたいわ。

だけど、私には私よりチートなラティスさんが居る…!



「姉様ッ…!『狙うならコッチですこのクソ豚が。』」


「(!)ブルァァァァッ!!」



………ラティスさんの【挑発】、よね…?

普段は敬語でクールなイメージのラティスさんからのまさかの暴言に私は一瞬困惑したわ。

けれど、挑発の効果でオークはラティスさんへと向かっていく。

確か今の人格の時は【完全回避】スキルが発動してるはずだからレベル差は酷くても大丈夫なはず…!

私は直ぐにメルティ様の居る馬車の側へ駆け寄った!



「大丈夫!?」


「っ…!?

あ…え…エルフ…?は、はい!わたくしは大丈夫です!あの…


「私は貴女を助けに来たの!

ここは危険よ!立てるなら一緒に行きましょう!」


「そ、そのようですね…あの、よろしくお願いします…


「ええ、さぁ、私の手をとって?」


「はい…!」




…ふぅ。

すこし強引だったけど何とか連れ出せたわね…

私はメルティ様を抱き寄せて護る様に馬車から離脱したわ。



「ラティスさん!」


ーふっ。姉様。無事。確保。出来ましたね?」


「ブフゥゥ…!!」



凄いわね、喋りながらも完璧に回避しているわ、ラティスさん。

【絶対回避】のスキルって改めて見ると本当にチートね…?

それに【集中回避】を合わせてカウンターしてるんだから無敵艦かしら、私の旦那様。

オークは攻撃が当たらないからか、かなりイライラしているわね



「…好き。」


「ッ!?あ、ありがとう…ございます…?」



照れて一瞬動きが止まったのに自動で回避してるわね?



「あのぅ…?」


「あ、ごめんなさい?…えっと、あなたの名前を教えてくれる…?」



うっかり名前を呼びそうになったけれど、普通で考えれば初対面のはずの私がメルティ様を知っていたら違和感があるわよね!?

あっぶなぁ………



「あ、あの、私はメルティ、と申します。身分は……平民、です。」



平民……?あぁ、そうゆうこと。ならそうゆう扱いにするべきね。



「分かったわメルティ。

さ、目的は達したし逃げるわよラティスさん!!」


「はい、姉様。」


「度々ごめんなさいねメルティ。

今から()()で走りますから口を開かずしっかり掴まっていてください。」


「はいっ…!」



そう、今すぐ王都に行ける程の本気で走れるのなら、3()()()()()走っても逃げるのは容易い、という事なのよ。

流石にメルティ様を抱えた状態で本当に本気では走らないわよ。

あれ?冷静に考えたら私って身体チート入ってない??

それについて来れるラティスさんも大概チートじゃない??


〔え、今更?ちなみに【クロエ】の身体は僕が本気で創ったから当然天使並だよ??

【トワ】に成った今でも身体は天使並のままだね。

ラティスは…うん、何なのほんとに…もしやラタトスクの使徒…?

えー…まさか、ウチの粗暴系美丈夫な方のラタトスク♂がこの世界の清楚美少女なラタトスクちゃん♀に頼んだとか無いよね…?

いや、フラグじゃないかコレ…!?

アイツ粗暴なクセに女性に対して妙に紳士だし!!てかこの世界のラタトスクは嫁の同位体まであるんじゃ…!?〕


うん神様が何言ってるかちょっとわかんないわ。


〔ーあ、ごめん。っと、どうやら逃げきれたみたいだね?〕


(ええ、今の間にもう国境よ。)


〔そっか。ちなみに奴隷商人の方は気にしなくても良いよ。

護衛の練度高いからLv80のオーク程度相手なら先ず負けない。〕


(逆に言うとチート、と言ってもその程度なのね私。)


〔だってトワはクロムと違って舐めプで勝てるヌルゲーじゃ、満足しないでしょ?

簡単に死なれたら困るから【脚力】を中心にステータスは高めにしてあるけど、レベルは1からだし成長速度も人並みだしね。

君がやっていたゲームで例えればあくまで【★5(最高レア)キャラクター並の性能】だから。〕


(………ええそうね。

と言うかそうなるとクロムって頭おかしいステータスって事かしら?)


〔端的に言えばレベル&オールステータスカンストの俺TUEEEE系だね。〕


(はぁ…………………………………………………(クソデカため息))


〔ちなみに今もそのチートステータスで人助け(をする自分ってカッコイイ!)をしてる。

ヨイショ係な嫁とイチャイチャしながらね。

まぁいいんじゃないかな、もう僕達が関わる事は無いはずだし。〕


(…そうね。

平行世界の私は大概に自己満足甚だしいけれど、私達になにかしてこない限りは無視するわ。)



そして、私達は無事に国境へ辿り着いた。



「国境をこんなに気軽に通過しても良いのか、とは思うけれどそこは【冒険者】だから仕方ないって事にしましょうか………


「そうですね、姉様。

そもそも、私達はメルティさんを助けに来たのですから。」


「あの、本当にありがとうございます…


「私としてもメルティを喪うのはあまりにも惜しかったから、だから気にしないでね。」


「…それでも、ありがとうございます。」



………可愛いわねこの生き物。



そんなメルティ様の容姿は、銀髪のロングヘアにアメジストの様な紫色の瞳を持つ可愛らしい女の子よ。

悪役令嬢にしては見た目も心根も優し過ぎるわ。

本当に、何なのかしらあの女神。


〔そりゃその子が男の娘だからじゃないのか?

あの駄女神、()()は好きだけど()()()()()()()は好きでは無いからな。

特にそうゆう、見た目は完璧な女の子はバグ扱いだし。〕


(…は?男装女子(ラティスさんくん)は良いのに??

と言うかこの子、公爵令嬢じゃなかったかしら…?)


〔この子は、ファンタジーだとよくある話、【女の子として育てられた嫡男】だよ。

理由としては【剣の才能がなかったから】。

ハーレスト家は長男が騎士団長、長女か次男以降がが魔法師団長になるのが習わしだからね。

だけど、彼には魔法の才能がずば抜けている代わりに、剣の才能が凡庸だった。

スキルで言えば、【魔力節約】【魔術威力上昇】【二重詠唱(ダブルキャスト)】【詠唱破棄】【魔力自然回復力上昇】【魔術EX】持ちなんだ。

そして更に不幸なのが次男に【剣聖】等の剣に必要なスキルが軒並み発現したっていう。

()()()()()()()()()()()()()だよ。〕


(なら才能で選ぶ訳にはいかなかったのかしら?

バッカじゃないの!?)


〔うん、馬鹿だよ。王族がね。

当主であるルカ=ハーレストは直訴したさ。

だけど、あのバカ王族はそれを却下した。

端からハーレスト家の没落を狙ってたんだよ。

そして王太子は当然、その事を知っていた。

だから実際の所、細かな罪状が違うだけで王族を騙していた【不敬罪】で処罰する事には変わらなかったんだ。

この子は、メルティは、()()()()()()()()()()()()()()()()

あの駄女神がそう運命付けたから。〕


(よし分かったわあの駄女神潰す。)


〔抑えてトワ。今の君じゃ勝てない。

ラタトスクの加護があるとしても、存在を書き換えられて終わりだ。〕


(ならなんであの駄女神はメルティ様を書き換えて女の子にしなかったのよ!?)


〔平和過ぎるから。〕


(は??)


〔平和過ぎてつまらないから【乙女ゲー断罪イベント】を起こしたったんだよ。〕


(やっぱり潰す。

少なくとも1発殴るわ。)


〔…………抑えろトワ。僕だってムカついてんだ。

世界をなんだと思ってんだあのクソ女神。〕


〜っ!!!

あぁもうっ!!!!



「メルティッ!!!」


「えひゃいっ!?」


「私、絶対に貴方を幸せにするわっ!!

…既に既婚者(?)だけど!!旦那様と一緒に貴方を愛するっ!!!」


「ふぇっ!?あ、あの、トワ様!?いきなり何を…!?」


「…そうですね、私も賛成です。

メルティさんには幸せになって頂きましょう。」


「ラティス様まで!?」



八つ当たり気味だけど、困惑するメルティ様が可愛くて少し癒されたわ。

はぁ……………本当に、嫌な世界ね、ここは。


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