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5話目♀!

翌朝、目を覚ました私は早速身体に違和感を感じていた。



「う…ん…?あふ…おはよう……ラティスくん……


「あ。おはようお姉ちゃん。ぐっすりだったね?」


「ふふん。結構私って図太い性格してるって自覚はあるわよ。

それにラティスくんが一緒だもの、安心して寝れたわ。」


「褒めてないんだけど言い分もドヤ顔も可愛いからいいや…

あー…うん、そだね…1()()()()()()のに起きなかったもんねぇ…とりあえず鏡か何かで自分の顔を見て見たら?


「えっ…?」



苦笑いしているラティスくんに促されて困惑した私は、アイテムボックスから手鏡を取り出して覗き込んだ、すると、そこには昨日までの私とは似ても似つかない…

銀髪でクセのないロングヘアに藍色の緩く吊り上がった瞳、褐色の肌をもつダークエルフになっていた。

パッと見クールビューティ系…かしら。


〔ちなみにこの世界ではマリンエルフって種族だな。〕


(え、なにそれ。)


〔海辺に近い森に住む種族だよ、水属性と風属性の魔法が得意で泳ぎと剣術に優れてるタイプのエルフだね。〕


(エルフなのに泳ぎと剣術なの…?)


〔そっ、〖遊泳〗スキルが生える程度には泳ぎが、〖剣舞〗スキルが生える程度には剣術が得意なエルフだよ。〕


(また変わり種のエルフになったわね…と言うかエルフなのね、私の適正種族………)



NEW・遊泳 (マリンエルフ)EX

遊泳技術にプラス補正がかかり、水辺で溺れにくくなる。

(魔力が続く限り水中呼吸可能)

また、水辺で魔力自然回復力が上昇する。

(これにより他の魔力消費行動を取らなければ半永久的に水中呼吸可能)

※封魔空間では魔力による水中呼吸が不可能なので注意!!


NEW・剣舞 A+ 【Lv.1】

剣術スキル、刀術スキルに更にプラス補正がかかり、剣や刀を装備している時は回避力とカウンター攻撃力が上昇し舞う様に戦える。

→アクティブスキル【櫻花乱舞】が使用可能になる

→→・櫻花乱舞 C(剣舞スキルレベル上昇に伴いランクも上がる)

刀剣による舞う様な連続斬り、相手の攻撃を避ければ避けるほど冴え渡って行く。

(!)剣舞スキルにより逆算で〖刀術 A 【Lv.MAX】〗を習得しました。



(ねえ神様?私どれだけスキルを増やすの??管理しきれないわよ???)


〔考えるな、感じろ。(諦めの境地)〕


はぁ…………

じゃあ気持ちを切り替えて……



「なら折角だし名前も変えちゃいましょう。」


「いいね!それに、今の名前はクロムって奴に似ていてなんかヤダし。」


「そうね、それもあるわ。

……それなら……そうね。

『トワ』、なんてどうかしら?」


〔トワ…?永遠を意味する永遠トワか?〕


(そうね、ラティスくんとは永遠に一緒に居たいし。)


「トワ…トワお姉ちゃん………うん!いい名前だね♪」


「なら決まりね、今日から私はマリンエルフのトワよ!」


〔これで心機一転!新しい物語の始まりだな!〕


「ふふっ…♪………あっ!?」


「ん?どうしたのお姉ちゃん。」


「あの、いきなり私の種族が変わったら怪しくないかしら…?」


「…………うん、そうだね、ごめん。

そこまで考えてなかったというか、ホントに一晩で殺されて種族が変わるなんて思って無かったから……

クロムって人、どんだけお姉ちゃんを殺したかったんだろ……


「あ…貴方は悪くないわよ!?

…ひとまず変装しようかしら…?

どちらにせよ朝食を頂いたら出ていくつもりだったし。」


「うん、そうしようか…あはは…



また苦笑いになるラティスくん。

そんな顔も可愛いとか思う私は既に堕ちる所まで堕ちてる気はするわ。






ーごちそうさまでした!」」



あれからすぐに準備を整えて朝食を食べ終わった私達は、ボロが出る前に早々に宿を後にした。



ーはぁ…ドキドキしたわ。」


「あはは…バレなくて良かったね?」


「まぁ、1日だけだったし相手も1人だけをまじまじと見たりはしないでしょうしね。」


〔あ、ごめん僕が認識阻害の魔術を使ってた。〕


「神様!?」


「えっ?」


「あ、神様が認識阻害の魔術を使ってたらしいわ…


「なるほど…なら最初から教えてくれれば良かったのに……


〔正直すまんかった………〕



今までの恩もあるし何より善意だから良いけど……

気を取り直して本日の移動を開始したわ。

そして、今は村を出てから少し歩いた道。

周りに他の人も居ないし万が一聞かれても大丈夫な様に神様がまた認識阻害をしてくれるそうなのでラティスくんと種族が変わった事について歩きながら話をする。




「それにしても凄いわね貴方が持っていた実。

ほぼ別人だわ……


「ほぼ、じゃなくて今のお姉ちゃんは完全に別人だよ?魔力の質も、血肉も、何もかも。」


「え、そうなの?」


「うん、1度転生してきたお姉ちゃんならわかると思うけどコレも転生だから。」


「…なるほど。」


「とにかく、これでお姉ちゃんはもう安全なんだよね?お姉ちゃんの神様。」


〔うん、そうだね…

僕としては異界の事とはいえ神以上の権能を見せつけられて凄く微妙だけどね!?

僕が数百年単位かけてでも何とかしようとしてたことを1日で可能にするとかあの駄女神権能だけは凄いな!

………相手にするのが馬鹿らしくなると言うか、勝てるのかって気がしてきた。〕


「ラティスくん、神様が凄くしょげてるわ。」


「あー…うん、何となく分かる。

だってあんな木の実1つで死者蘇生に近い自我を保ったままの転生をさせれるって最早神様と同等の所業だよね。」


〔まさにあの駄女神の所業だろう…?〕


「…神様が正にあの駄女神の所業だろうって言ってるわよ?」


「え?この実は創成の女神様じゃなくてラタトスク様が創ったものだけど??」


〔は?〕

「へっ?」


〔え、何、この世界のラタトスクの奴、そんな事出来んの!?あの粗暴な精霊王が!?〕


「…神様が粗暴なラタトスクにそんな権能があったっけ、と疑ってるんだけど。」


「ボクに言われても……それにラタトスク様が粗暴??清楚で可憐なお方なんだけど……?」


〔おおぅ……この世界だとラタトスクの奴そんなんなの…?取り替えてくんないかな…………てかそうだよなぁ………あの駄女神、女の子好きだから精霊王や妖精王も女性にしちまうよなぁ………美少女オベロン様とか清楚可憐なラタトスクちゃんを見たくないんだが……〕


「…あの、神様がドン引きしてるわ。」


「えー…?でもラタトスク様、こんな感じだよ??」


「あ、姿絵あるのね……」



ラティスくんが見せてくれた絵には、確かに清楚可憐な美少女然とした白いワンピースを着ていて、

茶髪のロングヘア、深緑の様な瞳で温和な顔に儚げな聖母の笑みを浮かべるリスの耳と尻尾が付いた美少女が描かれていたわ。


〔草。ラタトス草ぁぁぁ………〕


あ。神様が思考放棄したわね。


〔まぁ、いっか…とにかくこれでクロエ…もといトワは安全だ。

アンカースキルも破壊されたし、本来の転生先に移動させる事も出来る。

けど、キミはどうしたい?もう無理して駄女神を倒す必要は無くなった。

駄女神を倒してこの世界を消滅させるとか、気にせず僕と共に本来の世界へ行くとか、どうしたいかはキミの自由だよ。〕


(…そうね…だけど本来の世界へ移動する事を選んだ場合、ラティスくんはどうなるのかしら。)


〔…。置き去り、だね、あくまでラティスくんはそっちの世界の一獣人でしかないから。

ラタトスクみたいな精霊王級の人物なら僕の世界の同一体と同期させるなり方法はあるけれど。〕


(そう…だったら、わがままだとは思うけど、〖今の私〗が死ぬまではこの世界にいてもいいかしら…?)


〔うん、さっきも言ったけれど、どうするかはキミの自由だ。

もうキミはクロムの奴には見つけられない。

だからこの世界でひとまずの寿命を迎えるのもキミの自由さ。〕


(ありがとう、神様。)


〔なに、気にするな。〕


「神様はなんだって?」


「ラティスくんと一緒にここで寿命を迎えるまで生きるかどうか選べるそうよ。」


「…お姉ちゃんはどうしたいの?」


「勿論、"今の私"が死ぬまでは貴女と一緒にいるわ。貴女を置いていく訳にはいかないし。」


「そっか…♪」


「ええ、どうしようもない死が私達を分かつまでの間、よろしくね?私の旦那様…♪」


「うんっ!!」


私達はそんな約束を新たに旅を続ける事にした。

いつか、また、完全なる他人としてクロムとは敵対する。

そんな予感を抱きながら。

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