第八十九話 デカい黒兎と白うさぎ
89話です
目の前にはでかい黒兎が立っている。
俺もデカい白兎だから、黒と白の巨体がぶつかり合う。
大きな質量が物凄い勢いでぶつかるから、鈍いドスンという音がダンジョンの細い通路に響き渡る。
後ろではエリーナと、マニラが魔法を準備して待機している。
俺と敵が組み合ってるから、敵に当てようにも俺が邪魔で当てられない。
俺は後ろ足で黒兎を後ろに蹴って、体を小さくする。
「今だ。撃て!」
エリーナとマニラから放たれた魔法は俺の横を通り抜け、黒兎にヒットする。
が、全然効いていないみたいだ。それどころか、回復していた。
「嘘、回復している・・」
キラがそう言った。
「ギャオーーン」
こちらを完全に敵として認識し、襲い掛かって来る。
俺は、再び《巨大化》になって突進を力づくで止める。
エリーナとマニラはまた魔法を用意し始めているが、さっきと同じことになるなら永遠に倒せないだろう。
魔力をどれくらい保有するかはわからないが、スキルで補正をかけている俺と同等の力はある。
こんな強い敵を前に悠長かもしれないが、出来れば仲間に引き入れたい・・
俺は黒兎と対峙しながら、《従魔契約》を何度も試みるがはじかれた。
「ねえ、こいつ殺さずに従魔にしたいんだけど」
「このデカいのを?」
エリーナは明らかに困惑していた。
しかし、そうだ。従魔にしたい。ジンギーには教わったことはないけど、学園で従魔は異空間に収納できるようになっている。俺もエリーナによって異空間にしまわれたが、体感ではほんの数秒でかなりの時間がたっていた。
「そうだ。こいつ俺の従魔にしたい!」
俺は答える。
「私のじゃなくて?」
「どっちでもいいけど・・」
「まー、なんでもいいけど。うさちゃんやっちゃて!」
俺は今まで使ってなかった魔法を少しずつ使って相手の体力を傷っていく。
けど、黒兎だって生きている。負けじと、回復魔法を使い、俺からの攻撃を回復していく。
黒兎は補助系統の魔法に特化しているし、白兎は神聖系の魔法に特化している。
黒兎は別にアンデットではないので、白兎の長所はアンデット以外にはほぼ意味がない・・
『僕に、従魔契約をするな』
何回も何回も、《従魔契約》を強制しようとしていたからか、黒兎の声が念話で届いた。
俺も念話で返事を返す。
『速く、降参して俺の従魔になれよ』
『いやだね』
黒兎の蹴りが俺に襲い掛かる。
俺は思わず後ろにさがる。
そこへの追撃、俺は体勢を崩し、こけそうななった。でも、体を小さくして無事着地できた。
もし、着地できずに仰向けになってしまい、柔らかいお腹をさらしていたらと思うとぞっとする。
俺は人型でブラックホールを手の上に待機させた。
『これが、最後の忠告だ。俺と従魔契約をしろ』
黒兎はブラックホールを見て何かを悟ったようだった。
『僕はここで死ぬんだ!』
意地を張って死ぬくらいなら従魔になってくれればいいのに・・
『じゃあな』
俺が魔法を向けた時には、黒兎は小さくなって自分で掘った穴に隠れたしまった。
「あー! 逃げられた―」
エリーナが不満そうにそういった。
黒兎と戦い、早く倒せばよかったのに銃火契約をしようと躍起になったせいで、結局時間をかけた分無駄になってしまった。
「うさちゃんも追いかけて」
とエリーナに言われたけど、俺は黒兎と違って地面を潜ることが得意ではない。特に白の個体は地面の下を掘るのも進むのもへたくそだ。
「ごめんできない」
だから俺は断り、仕方なく奥に進んだ。
(俺も地面掘れるように練習しないとかな・・)
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僕はこのダンジョンの低階層を縄張りにしている黒兎だ。
今日も冒険者がやって来た。
最初は初めて嗅ぐ臭い、見慣れない顔から初心者だし、脅そうと思った。だから、俺の配下のウサギを1匹向かわせた。そしたら、殺された。
もちろん僕は怒って、そいつらを皆殺しにしようとした。
しかし、そうはいかなかった。相手は俺と同じでビッグラビットだった。俺は黒、あいつは白だ。
洞窟のどのくらい所では俺たちの方が有利だ。―逆に日向は俺たちが不利だけど―
だから、簡単とはいかないものの倒せると思った。
しかし、相手もなかなかやる奴で俺は体力も減り従魔契約をされそうになったタイミングで地面を掘って逃げてきた。
白兎は基本地面を掘らない、だから地面を掘って逃げたけど、相手も追いかけていたら、僕は今頃力尽きて動けなくなるか、捕まって従魔にされていただろう。
逃げて正解だった。だって、僕はウサギ殺しをするウサギとは絶対に仲良くなりたくない!
読んでくれてありがとう。




