第70話 あ、あー。聞こえません。
70話です。
読んでもらえると嬉しいです。
演習授業が終わった後、ダラム先生は俺たちを3人集めた。
「君たち、あれはなんだ?」
とにかく何であんなことになったのか? それだけが聞きたいみたいだった。
「えっとー。魔法です」
「そんなことが聞きたいんじゃない!」
先生は怒ってるのか、焦っているのか大きな声だ。
「新しい魔法で上に打ち上げる魔法だったんですけど・・その失敗して・・」
「失敗であんな馬鹿げた威力の魔法ができるのか??」
「はい・・」
先生は1つ大きなため息をだした。
「今後はあんなことが起きたら、俺の首も飛びかねない気を付けてくれよ・・
先生はこれから校長先生に報告に行くが悪いようには言わないつもりだから」
先生はそれだけ言うと解散でいいと言って、校長室の方に向かっていた。
俺たちは翌日に校長室に呼ばれた。
ダラム先生も一緒に呼ばれたみたいだった。何の話かは先生も聞いていなかった。
緊張して冷汗が止まらなかった。
校長室の前をいつも通っていたはずが、目の前の校長室はいつでも襲い掛かって来るモンスターのように見れた。
ダラム先生が代表して、ドアをノックする。
中から校長先生の声が聞こえる。いつもの感情の起伏のない声が余計にこちらの緊張を誘う。
「「失礼します」」
示し合わせたわけではないのに声が自然とそろった。
中に入った俺たちは驚いた。というよりは拍子抜けした。
「よく来てくれたね」
たしかに声はいつも通り全く感情の入ってない声だったが、顔はにこにこしていた。
「魔法を作った生徒はウサ君と聞いているが、誰かい?」
「自分です」
俺は焦って食い気味に返事をしてしまった。
「緊張しないでいいよ。君はエリーナさんの従魔でホワイトラビットって聞いてるけど、擬態かなぁ。すごく上手でびっくりしましたよ」
「・・ありがとうございます」
「昨日、友達と話したら、例の魔法を正式に発表しないか?って言われたんだよ。今日はその相談だよ」
俺はあまりの展開の速さに話についていけなかった。
俺が、授業中に、少しの時間で作ったものを??
「学会で発表しないかってことなんだけど・・君はどうしたいんだい? 自分だけの秘密にしておくのもいいし、発表してもいいんだ。好きな方を選んでいいよ」
急に「選んでいいよ」なんて言われても困る。
俺の魔法みたいになっているが、そもそもマニラのアイディアだし・・
「俺、1人では決められません」
俺はきっぱりそういった。
「なぜだ?」
「この魔法はマニラのアイディアなんです」
「ほほう!それは初耳だ。本当かいマニラさん!?」
校長先生は今日1番大きい声で驚いてた。
「はい」
マニラはやっぱり無口でそれ以上何も言おうとしなかったので、俺は説明を捕捉した。
校長先生は始終「ほほう!」とか「はいはい」と相槌を打ちながら聞いてくれて、こっちも話しやすかった。
校長先生は、話を聞いた後で、俺とマニラが今ここで話してくれてもいいし、あとで話してもいいと言われた。
俺とマニラは話すために場所を変えた。
「どうする? 俺はマニラの魔法として発表してもいいけど・・」
「でも、作ったのはウサさんですし、第一私は明確な主従関係があります。ここは主のウサさんに・・」
2人そろって相手の功績にしようと押し付け合った。
結局のところ、2人で発表する。できないなら、発表は辞める。そういうことに決まった。
しっかりと話してから、校長室に戻った。
俺は校長室でさっきの話し合いの結果を校長先生に伝えた。
「うーん。そんなことできるのかなー。前例はないけど・・」
「結構無理言ってるのは分かってます。一応話だけは通しておいてもらえますか」
「まあ、それなら。このことを発表してほしいと思っているから頼んでおきますよ」
「それじゃ、よろしくお願いします。今日の話はこれだおしまいですか?」
「あーそうじゃな。帰っていいぞ」
ダラム先生を含めて俺たちは校長室の扉を開けた。
俺たちの帰り際に校長先生は、
「ちなみに私の友達は君たちの師匠のジンギ―の事だよ」
とピースしながら言った。
(まじか・・・)
多分みんなそう思っていたと思う。
師匠なら俺たちが魔法を作ったといったら、学術会で発表したいっていうにきまっているな。
「まさか、ししょーと校長先生が友達だったとはねー」
マニラも
「ねー」
共感してた。
翌日も校長室に呼び出された。
けど、昨日と明確に違うことがある。
校長室の扉は大きくないし、怖くない。なら、明るい未来に行く扉に見える。
ま、緊張はしてるんだけど。
「失礼しまーす」
俺は扉をノックして校長室に入った。
ダラム先生はついてきてないから、俺が扉を開けて入った。
後ろにはマニラも続いてる。
エリーナは友達と遊びに行ってもらった。
「よく来てくれたね。いきなりの本題で悪いけど、昨日の話OKもらえたよ」
校長室に入るなり言われてびっくりした。
「ありがとうございます」
俺も急に言われてお礼を言ってしまった。
「ジンギ―に聞いたら、儂が話を通しておくから問題ないって言っておった」
頭の中で師匠がピースしながら脳天気な感じでイエーイって言ってるのが想像できた。
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