第六十五話 はげます!?
65話です
ホーセルの件から一晩たって、俺はやっと保健室から出られた。
昨日の夜にエリーナからマニラが相当まずい状態だと聞かされていたので、まっすぐにマニラが置かれている部屋へ向かった。
廊下を通るとき、周りからの視線をいつも以上に感じた。
(また、根も葉もないうわさが広がっているのか・・)
俺は扉の前に着き、深く呼吸をして落ち着く。
扉をやさしくノックして、
「マニラ入るよ。」
扉を開けてみたマニラは初めて会った時と同じかそれ以上に暗くなっていた。
「起きてるか?」
「・・・・」
「どうした?」
「・・・・」
やっぱり何を言っても反応がないか・・ エリーナから実情を聞いていたとはいえ、こうも返事がないとこっちもこたえるぞ。
「マニラ、俺さ、やっぱり弱いんじゃないか・・」
いくら話しかけてもマニラから返事が返ってこなくて、いつの間にか俺の話をしていた。
「今回だって、誰も死ぬことはなかったけど、俺のせいでマニラは心が・・ だし、俺もかなり怪我してしまった。」
大きなため息が漏れた。
「俺、身の安全は保障するとか言ったのに心の安全が保障できなく本当にゴメン」
「うん」
「俺って本当だめだよな」
「そんなことない・・だって、私を救ってくれた」
今まで下を向いていたマニラがうさちゃんに言葉を返す。
「私はあのままだったら確実に死んでいた。それを救ってくれたのはうさちゃん」
「でも、」
ウサが言うのを遮ってマニラは言う。
「でもじゃない。一昨日だって私を守るために戦ってくれたのはうさちゃん。昨日ホーセルを救ったのも・・ だから、俺なんてって言わないで。」
俺がマニラを励ましに来たはずが、いつの間にかマニラに俺が励まされていた。
(こんなことでくじけちゃだめだ。頑張らないとな)
「マニラ、ありがとう。本当はお前も・・ いや、これからもよろしく」
俺とマニラは二人、立ち上がり部屋から出た。
――――――――――――――――――――――――――――
あの日から、何も起こらず1週間が過ぎていた。
女子生徒とホーセルが魔族に乗っ取られた。学園側が警戒をしていたけど、対応策もない状態だった。攻撃されなかったのは2度の失敗で魔族側の作戦の変更があったと俺は考えていた。
そんなある日だった。先生からの呼び出しがあったのは。
「ホーセル、エリーナ、マニラ、ウサこの4人は放課後、多目的室に来てくれ」
朝のホームルームが終わると、ダラム先生はそう言った。
『エリーナ、マニラ、ホーセルあのことだな』
念話でこっそり話す。
『あーそう思う』
ホーセルは答えた。
『うん。それしかないよ』
エリーナも答えた。
『放課後忘れないようにしないとね』
マニラが言った。
『よし、しっかり授業も受けて今日も頑張るぞ!!』
『『了解』』
俺にみんなが返事して、念話での会話は終わった。
授業は普段通り行われた。
お昼はいつものメンバー(エリーナ、俺、マニラ、マーシュ、シルフォ、)で食べた。
ホーセルと食事してもよかったが変にうわさが広がるとホーセルがかわいそうだったから。
クラスメイトは「ホーセルがあの件で何か悪いことをしたらしいけど、何をしたかが分からない」という認識だからな。
「きょう。3人は先生に呼ばれてたよねー。なんかあったのぉ??」
マーシュが食事中、急に聞いてきて俺たち三人は口に含んだものを出しそうになった。
「あ、あー。そのー。これからの授業でどういうことをやるかって話だって。な、エリーナ」
「あ、うん。そうだね。授業の方針で生徒の意見も聞きたいって・・」
「嘘っぽいな」
そういうと、近づいてきて
「コチョコチョ」
って言いながら、エリーナをくすぐりにかかった。
「あはははww、マーシュくすぐったいよー。やめてー。」
「じゃあ、本当のこと言う?」
マーシュがくすぐるのを一旦やめた。
「それは言えない」
「じゃあ、言うまでくすぐるね。だって本当のことがあるんでしょう」
エリーナはまたくすぐられて笑い転げていた。
「マーシュやめな。マーシュだって知られたくないことの1つや2つあるでしょ?」
普段はあんまり喋らないシルフォ君がしゃべった。
「ぐ、うん。そうだね。」
マーシュは不服そうだけど、言うことを聞いて、ばつが悪そうに
「悪かったよ。無理やり聞こうとして」
と、マーシュはそう言った。
「いいよ。謝らなくても終わったらしかっり伝えるから、それまではゴメン」
エリーナはマーシュに謝れてわかりやすいくらいに焦ってた。
お昼を食べた俺たちは、食後に果物を食べながらおしゃべりしてた。
最近は俺たちが魔法で《透明化》を使ってご飯を食べる必要もなくなったし、騒ぎが起こることもないけど、まだこっちをじろじろ見てくる女子生徒はいるんだよな。
せめてわかりやすくガン見しないでほしいんだけどなー。
この前、見られてるのに耐えかねて、こっちが睨み返すと、逆に黄色い声をあげて本気で体調を崩しかけた・・
「明日は狩りに行く?それともダンジョン??」
エリーナが明日の予定が提案してきた。
「うーん。スヤァー」
「マーシュ寝ないでよ!? 大事な話してんだから」
エリーナがお母さんの口調を真似しておどけて言った。
それがあまりにもおかしくてマーシュも起きて、みんなで笑った。エリーナも終いには笑い出してみんなで笑った。
少し時間がたってエリーナが
「ふうー。笑った。わらった。そろそろ授業が始まるから、準備しないとね」
って言った。
「うん。準備しに行こうか」
俺はそう言いながら、食堂の出口に向かった。
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