第六十二話 エリーナの戦い
62話です。
(保健室に速く行かないと・・)
うさちゃんにマニラちゃんの過去にどんな事があったのかを伝えるため急いでいた。
しかし、急いでいたために忘れていた。『ホーセルには気を付けるんだぞ』といううさちゃんの言葉を。
ホーセルは廊下に立っていた。彼は堂々と廊下に立っていた。
保健室に行くためには必ず通らないといけない廊下だ。
私はすぐさま「先生! 誰か来てください!」と先生を呼んだ。
ばれてもいい。とにかく先生が来てくれれば、それで彼もおしまいだと思っていた。
「やっと来たか。エリーナさん。僕は待ちくたびれたよ」
(ばれた・・)
「先生なら呼んでも来ないと思うよ。だって、今君がいる空間からの音は外に漏れないように結界を張ったんだ。1度入ったら出れない結界をね」
私はここで初めてホーセルの罠に足を踏み入れてしまったことに気づいた。
でも、戦える。ホーセルとの演習訓練では私の方が勝ち越している。
「先生が呼べなくたって、あなた一人くらい余裕よ!」
私は『相手になめられないためにはすごむことが大切』ってうさちゃんに言われたの思い出し、ホーセルを威圧した。
「さあ、どうかな? 僕をいつもの僕と思わない事だね。」
「えっ、何言ってるの?」
(ホーセルの変な発言で素で言葉が出ちゃった)
「とにかく、かかって来い」
(彼の挑発にし乗るしかない)私はそう思い、水の魔法、ウォーターボールを彼にめがけて撃った。
3発同時に打つ。普段なら1発は命中するのに今回はかすりもしなかった。
(もう1回やれば当たるでしょ。)
「当たれー!」
「当たる訳ないでしょうww」
ホーセルが魔法をひらりとかわしながら、あおって来た。
(ムカッ)
「今なんて!?」
怒った私は、デカめの《ウォーターボール》を連続で放った。
ホーセルが1つ2つとかわしていくが、私も負けじと撃っていく。
「当たった」
そう歓喜したのもつかの間、彼は無傷でそこに立っていた。
「ふうー。当たってしまった。けど、全然いたくないねww」
「なんで・・」
私の出せる最高威力の技が防がれた・・
つまり、私は彼に攻撃できない・・
普段なら確実にダメージを与えるはずなのに。
このまま戦っていても勝ち目はないことを悟っった私はどうにかして逃げれないか、ただそれだけを考えながら戦っていた。
「そろそろ本気を出そうかなーww」
彼はニヤついた目でそう言ってくる。
「まだ本気じゃなかったの!?」
私は驚いたが、彼は当然のように
「当り前さ。これが僕の実力だと思ってたのかい?ww」
と答えた。
しかし、こんなに強いならいつもの演習から本気を出していなかったことに納得できない。
ホーセルは負けず嫌いで勝利に貪欲だったはず、うさちゃんが本気を出す前ならともかく、最初から実力を隠していた?・・・・
私の思考は《逃走》から《ホーセルの力の謎》に移り変わっていた。
考えられることは特訓したか・・
「なに突っ立ってるのさ?」
私が考えようとするのを邪魔するように攻撃を仕掛けてくる。
(このままじゃ考えがまとまらない・・)
今はホーセルの動きを封じたい・・
なら、あの技かな。
「ウォーターウォール」
これで彼の周りを囲って・・考える時間を少しは確保できそうだ。
ホーセルは、壁を破ろうと壁の中から手を出すが、水流が渦のようになって中の物体が外に出るのを拒む。
エリーナは《ウォーターウォール》が破らないために精一杯の魔力を注ぎ込む。
『うさちゃん、聞こえる??』
さっきから何度も試している《念話》はやはりつながらない。
このまま、《ウォータウォール》を続けることはできないし・・
ホーセルはウォーターウォールに供給される魔力の出力が弱くなったことで外に出られた。
私は魔力がほとんどなく逃走することしかできなかった。
ホーセルは私の前にダッシュで詰め寄った。
「もうお終いか。残念だったな」
彼はそういうと、振り上げた剣を振り下ろした。
しかし、彼の剣がエリーナに当たることはなかった。
エリーナは《従魔契約》でできること《召喚》を忘れていた。
しかし俺こと、うさちゃんを呼び出せることを思い出したエリーナは《ウォーターウォール》に割いていた魔力を《召喚》につかい、見事俺を呼び出すことに成功した。
ホーセルはエリーナを倒すことに精一杯で俺が召喚されたことに気づいていなかった。
「ホーセル、何をしたかわかってるんだろうな」
俺は低く、ドスの効いた声で問い詰める。
「ホワイトラビットかww。そんなのは僕の敵ではない。さっきはたまたま攻撃を防げたみたいだが、次はそうはいかないぞ」
俺の事をホワイトラビットって言ったかこいつ??
最初だって「従魔」だって言ってたのに・・?
まさか、ホーセルも乗っ取られているのか??
「お前ホーセルか?」
俺は目の前のホーセルでホーセルではない何かに尋ねた。
ホーセルは俺の質問に対してニヤッと黒い笑みを浮かべ、
「ばれてしまったらもう演技をする必要はないわよねェ」
ホーセルが普段とは全く違う女性の喋り方で話してきた。
「女? ホーセルがオネエになった!?」
エリーナがびっくりしてあたふたしてる・・
(今の流れ的にわかってほしいものだけど、いつの間にかエリーナは天然になっていたのか・・)
「オネエなどではない!! お姉さんとお呼び!」
そういうと黒い球の魔法が飛んできた。
闇魔法とは分かるが何の魔法かまでは分からない。
これは手強い相手になりそうだ。
読んでくれてありがとうございます。




