~ 未定 ~ 歌詞
【 未定 】 ……決めてません。
はじめての彼とおとぎの国へ行った。
今では何もないただの荒れ地になってしまったけれど、
幻想のなかに在り続けている。
門出に花束を贈るよ。魅惑の花園がお出迎えしてくれる。
ぎこちない動作で恋人繋ぎをして回ろうか。
古びたジェットコースターに度胸試しで乗り込んだ。
ガタガタ……と音を響かせながら、
触れ合った肩先から伝わる小刻みに震えた身体と
温度が愛しいけれど、途端に――落ちて行く。
夕日に照らされながら、
ゆらゆらと回り続けている。
観覧車に恥ずかしさを忍んで潜り込んで、
訪れる二人だけの世界。
激しく脈立つ鼓動と過ぎて行く空白の時間を、彼が破った。
面影のなかで二人は、約束の指切りを交わし合った。
人混みで離れた距離に嫉妬してしまった。
時間が戻らない様に、この隙間も塞がらずに、
彼がどこかへ行ってしまうような気がした。
不安を拭いでくれる花園へ。花束を貰いに行く。
彼と再び恋人繋ぎをしたおとぎの国はもうなくなってしまった。
あの場所へは行けない。もう、たどり着けない。
はじめての彼とおとぎの国へ行ったけれど、
今は何もないただの荒れ地になってしまった。
たとえ形がなくても回り続けている。
「もう一度」を願っても叶わない。
それでももう一度、彼と指切りをした風景を描きたいけれど、
恋人繋ぎをした彼は面影のなかにしかいない……。
もっと……もっと大切な「彼」になったから。




