余り語られない撮影所のあれこれ(8) フィルム時代の予告
★「フィルム時代の予告」
30年も前のテレビドラマは、特撮番組に限らずほとんどが16mmフィルムで撮影されていました。
「カチンコ」の回でも載せましたが、フィルムはコマ単位でケチりますw 予算に直結するからです。
ですが、現像はフィルム1本単位で行わなければならないので、OKカットでもNGカットでも一度に現像されてきます。
中にはOKだと思っていたカットが、現像してみると変なものが写り込んでいたり、被写体自体に問題があったりしてNGになる場合もあります。
今ではデジタル化のお陰で、その場でチェックして撮り直し出来ますが、フィルム時代は、現像されたものでないとチェックできなかったのです。
さて、本題の「予告」ですが、フィルム時代の予告は、貴重品です。
本編で使われていないカットがほとんどだからです!
なぜなら、OKカットのフィルムは本編にもって行かれる訳ですから、予告を作る段階ではNGカットの
フィルムしか残っていないのですw
ですから、NGカットの繋ぎ合わせが予告ということになります。
テイクを重ねる(撮り直しを繰り返す)と、芝居が少し違うが本編とほとんど変わらないNGカットフィルムができます。
これだけで出来たら予告作りも楽です。1発OKが出て、しかもそのカットが予告的にどうしても欲しいカットの時は、現場で「予告用にもう1テイクお願いします!」とお願いする場合もあります。
基本的に予告はセカンド助監督が編集していますから、現場で直ぐにお願いする事が出来るのですw
予告用に撮り直しする事が困難なカットもあります。
爆発等の1発撮りのカットがそうです。
予算的にも「予告用にもう一度」なんて言えませんww
そんなカットが予告用にどうしても欲しいとなると「コピー(複製)」しかありません。
フィルムは、写真の焼き回しと同じく複製が可能です。
金額的には、現場で予告用に撮り直して貰うよりも高くなりますので、多用は出来ません。
ですから、予告に光学合成カットや爆発カットは殆どありません。
たまたま、爆発カットを撮り直しをした場合とか位です。
デジタル時代の予告は、本編用の画像のコピーなんて予算もかけずに簡単に出来ますから、本物の爆発カットやCGを使ったカットだろうが使い放題です。
さて、文字通り探して切って繋げて出来たフィルムの予告ですが、それだけでは完成ではありません。
予告用ナレーションが必要です。
時には役者の声も入れて貰わなければなりません。
つまり、この予告専用に台本が必要なのです。基本はセカンド助監督が予告用アフレコ台本も書きます。
そして、本編用アフレコの時に同時にアフレコします。
やっと完成ですww
予告は、次回も観てもらえるようにする重要なファクターです。
それだけに、助監督の重要な修行の場でもあります。
過去のフィルム時代の作品を観て頂けるのであれば、予告と本編の違いをチェックするのも面白いですよww