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余り語られない撮影所のあれこれ  作者: 元東△映助
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余り語られない撮影所のあれこれ(44) 「俳優列伝」vol.3「特撮番組のヒーロー その1 」ミスター特撮ヒーロー『宮内洋』

★「俳優列伝」vol.3

「特撮番組のヒーロー その1」

ミスター特撮ヒーロー『宮内洋』


今回も、私がお会いした俳優の方々の中からのご紹介です。

前回は「特撮の悪役」でしたが、今回は「特撮作品のヒーロー」の方々のお話です。


尚、例によって情報のほとんどが30年前ですw

今となっては変わっていることや、無くなっていることもあります。また、記憶の内容が30年の間に美化されたり劣化してしまっているものも存在しますwwその点をご理解の上、あらかじめご了承下さい。


●宮内洋(1947.6.17~)

◯ミスター特撮ヒーロー

最初に書かせて頂くのは「ミスター特撮ヒーロー」の宮内洋氏です。

まずは宮内さんの出演されたヒーロー番組のリストです。


仮面ライダーV3(1973年)

仮面ライダーX(1974年)第27話、第28話、第33話、第34話

仮面ライダーストロンガー(1975年)第35話、第37話、第39話

仮面ライダー (スカイライダー)(1979年)第23話、第34話、第35話

10号誕生!仮面ライダー全員集合!!(1984年)

秘密戦隊ゴレンジャー(1975年)

ジャッカー電撃隊 第23話~第35話

超力戦隊オーレンジャー(1995年)

快傑ズバット(1977年)

スパイダーマン(1978年) 第31話、第39話

スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説(1986年) 第37話

宇宙刑事ギャバン(1982年) 第30話、第31話

特警ウインスペクター(1990年)

特救指令ソルブレイン(1991年)

特捜エクシードラフト(1993年) 第47話~第49話

トクサツガガガ(2019年)最終回


以上の様に「仮面ライダーV3」「秘密戦隊ゴレンジャー」「ジャッカー電撃隊」「快傑ズバット」「超力戦隊オーレンジャー」「特警ウインスペクター」「特救指令ソルブレイン」等々とメインキャストでのご出演だけでもヒット作品ばかりです。

多くの方が既にご存知のように、甘いマスクにアクションもこなせる演技力を持ち、クールな役どころが多いのですが、コミカルな役もこなせる幅の広い表現力が持ち味の役者さんです。


◯ヒーロー番組への想い

宮内さんを最初に取り上げさせて頂いたのは、宮内さんが「ミスター特撮ヒーロー」だからというワケだけではありません。

宮内さんの「特撮ヒーロー番組とは子供達に正義の心を教える教育番組に外ならない」とおっしゃられる言葉に感銘し、その言葉を偽善からではなく常に実践され続けている「本物のヒーロー」としての宮内さんのテレビ画面以外の顔を知って貰いたかったからなのです。

この宮内さんの言葉は、奇しくも現在もスーパー戦隊シリーズや仮面ライダーシリーズのメインカメラマンを務める松村文雄カメラマンも同じような内容の話をされていたこともあり、特撮ヒーロー番組に関わる人間のアイデンティティの様なものだと思っていたりします。


子供向け番組は、連続ドラマや2時間ドラマのスタッフやキャストよりも格下に見られることが多く、心無い人達からは「ジャリ番」とか「お子様番組」という隠語で呼ばれることもありました。

悪く言う人ならば「子供向け番組だから、子供騙しに簡単に撮影していれば大丈夫だし、演技も適当で大丈夫でしょ」と、称する場合もある程です。

そんな人達に「お子様番組(=ジャリ番)って何ですか? 内容は子供に分かりやすく作っているかも知れないが、映像のプロが心血注いで作った作品をお子様番組(=ジャリ番)と呼ぶのは心外だ!」としっかりと反論する出来るポリシーを持っているのが、宮内洋という役者なのです。


◯ヒーローというこだわり

実際、ポリシーだけでなはなくて、宮内さんは実践されても来ました。

どう演じれば子供に対してのヒーロー足り得るのか?と常に自分に問いかけていらっしゃいました。

ですから、スタッフ以外の目があるロケーション先等では、常に衣装のままでした。

更に、外では禁酒禁煙を心掛け、子供達のお手本にならないことは自粛されていました。

「ヒーローは、愛と、勇気と、正義と、希望。そういったものを与えるのだから、夢を壊してはいけない」と、日頃からおっしゃられていました。

ですから、ファンに対しては特に真摯です。ファンレターも最後の1通まで目を通され、返事も子供相手には平仮名で平易な文体で書くなど、細やかな気遣いも出来る方でした。


その姿勢は芝居にも出ていて、宮内さんの演じられた初期のヒーロー3人「V3」「アオレンジャー」「ズバット」は年代も近いこともあり、差別化を図ることでヒーロー像を演じ分けられていました。

「特警ウインスペクター」にご出演の際に、撮影所内でスタッフやキャストの雑談の中で、ポーズを交えながら語られたことがありました。

V3の風見志郎は、できるだけ低く構えて「弱い未熟なV3が、巨大なデストロンと戦い、ギリギリで打ち勝つ姿」を強調していた。

これに対してアオレンジャーはチームワークとしてのクールなヒーロー像を演じ、ズバットに至っては上から見下す強く不敵な男であり、復讐に燃える熱い男を意識されたとおっしゃられていました。

特に主役に対してはヒーローのなんたるかを、滔々と語っていらっしゃいました。


◯アクション俳優として

宮内さんは、丹波プロ出身で千葉真一さんにアクションを教わったこともあり、ご自分をアクション俳優と位置付けていらっしゃいました。

ですから、素顔でのアクションシーンを積極的に提案するのが宮内さん流でした。

アクションを効果的に見せる立ち回り方は勿論、自分を含むキャスト達の立ち位置とカメラの位置関係にも気を配っていました。

ご自分がヒーローの際は勿論、長官的な立場の役であっても積極的にアクションを行っていました。

なによりも、自分から積極的にアクションシーンを提案する主役俳優であったことも確かです。


◯ヒーロー以外の出演作品

ヒーロー番組以外のご出演としては、「あゝ忠臣蔵」を筆頭に「暴れん坊将軍」「鬼平犯科帳」「影の軍団」「大江戸捜査網」「水戸黄門」等の時代劇の客演や、「ゴールドアイ」を筆頭としての「Gメン'75」「土曜ワイド劇場」「ザ・ハングマン」「火曜サスペンス劇場」等のドラマの客演等が目立ちます。

これは丹波プロ出身ということも大きいのですが、アクション俳優という位置付けが大きく関わっていると思われます。

確かにヒーロー番組の演じ方と時代劇の演じ方は、少なからず似ていると言われていますし、アクションと絡む時代劇は宮内さんにとってヒーロー番組に次ぐ見せ場ではないかと思われます。


●追記

今回の執筆中に、当時の東映特撮番組を支えた吉川進プロデューサーがお亡くなりになられました。

心よりご冥福をお祈りすると共に、特撮作品の素晴らしさを広めて行くことをお誓い申し上げます。

安らかにお休み下さい。


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