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余り語られない撮影所のあれこれ  作者: 元東△映助
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余り語られない撮影所のあれこれ(37) 「ギャラ」

★「ギャラ」


今回は、語って良いのか?な禁断のギャラの話ですw

語れる範囲でねw

何故、いきなりギャラの話なのかと言えば、コロナ禍の最中で撮影も止まり、それでも俳優さん達はリモートで出演を細々と続けながら「ギャラが…」と呟かれていますが、撮影スタッフ等はどうなのかと思ってしまったからなのです。

特に若手のスタッフが心配です。

そんな中で、Netflixさんが「映画・テレビドラマ制作従事者支援基金」を立ち上げて頂けたことは、1000人限定とはいえ業界の若手スタッフにとって少なからず救いとなるかと思います。ありがたいことです。


今回は、撮影業界のギャラの話を通して現状の業界の大変さを考えて頂けたらと思います。


尚、例によって情報のほとんどが30年前ですw

今となっては変わっていることや、無くなっていることもあります。また、記憶の内容が30年の間に美化されたり劣化してしまっているものも存在しますwwその点をご理解の上、あらかじめご了承下さい。


●「フリーランス」

以前に撮影スタッフのほとんどがフリーランスであることは、書かせて頂きました。

撮影所という場所は、少数の正社員と多数のフリーランスの契約社員で成り立っています。


東映東京撮影所には、前に語ったように東映以外の会社が同居しています。

ですから、東映の正社員さん以外に衣装会社や小道具会社といった会社の正社員もいらっしゃいます。

そんな正社員さん達は、雇用条件や雇用形態にもよりますが基本的に月額の給料制だったと思われます。


それに対してフリーランスの契約社員は、作品毎のギャラ制でした。歩合制ともいえます。

生々しい金額をあげるつもりはありません。

ですが、私がテレビプロの仕事で2週間で30分番組2本分の特撮作品のサード助監督をやっていた際は、4週間分=30分番組4本分で東京で家賃を払って生活していけるぐらいのギャラで、そんなに余裕はありませんでした。

勿論、同じ作品でもチーフクラスや技師クラスの方がギャラも高くなります。

但し、同じ職種と技術クラスであり、同じ連続レギュラー作品であり、同じ日数での撮影期間であれば、基本的に1本当たりのギャラは同じです。

そして、フリーランスであれば撮影本数をこなすことで、月額報酬が高額にできるのですが、身体が幾つもあるハズもありませんから自ずと月額報酬は限られてきますww


●「作品によるギャラの差」

ギャラは、作品によって異なっていました。

私はフリーランスといっても、基本的には派遣会社に所属していましたし、まだまだ底辺の助監督でしたから、余り大きな差はありませんでした。

しかし、連続1時間ドラマや単発の2時間ドラマといった様な作品差によって多少のギャラの差はありました。

サード助監督の場合、フィルム作品の同時録音(=同録)のカチンコが打てるかどうかで、同録作品にスタッフ参加出来るかどうかが決まりましたが、それは、ギャラとしても返ってきました。

同じ長さの放送枠で、同じ撮影期間の作品ならば、技術を必要とする作品の方が少しですがギャラは多くなるということです。


また、撮影期間が長期間に渡る場合、ギャラは毎月決まった日に締めて支払われていました。

これは、派遣会社に所属していたからだとは思います。

この様な長期間に渡る撮影や海外撮影もギャラは高めですが、劇場映画のギャラはもっと上だそうです。

私は、劇場映画の撮影にスタッフ参加したことがないのですが、1本だけ万博出展用の35ミリ映画の撮影に参加しました。

この時のギャラは、普段の月の5割り増し程度はあったと思います。


但し、そんな映画作品が次々と作られてはいませんし、仮に作られたとしてもスタッフ参加出来る人数は限られています。

稀にしかない高額なギャラの作品程、経験を積まないと参加出来にくいのです。

そこで、選択になります。

連続レギュラー作品は、ギャラは安目の方ですが、その代わり安定して仕事が入って来ますので、作品が続いていて撮影が続いているのならば、基本的には決まったギャラが毎月約束されています。

これに対して映画作品等は、ギャラが高目な方ですが、その代わりコンスタントに仕事があるとは限りません。

1本の映画とはいえ長い撮影で3ヶ月~6ヶ月、中には1年以上を要する作品も有りますが、その期間を過ぎると次の作品に参加できる保証はないのです。

その作品にべったりと撮影参加しなければならない職種であるメインスタッフでは、基本的にこの2種類の選択でした。


●「メインスタッフ以外のギャラ」

撮影には、メインスタッフ(演出部、撮影部、照明部、録音部、記録等の常時撮影に参加するスタッフ)が文字通りメインとして参加しますが、それ以外のスタッフもいます。

必要な時だけ撮影に参加するスタッフのことです。

彼ら彼女らのギャラは、メインスタッフとは異なっていました。

何故ならば、基本的には専門会社に所属している部門だからです。勿論、会社とは言え一部個人会社の部門もあります。

そんなスタッフとして小道具、大道具、衣装、メイク、車輌部、操演、カースタント等は、各会社との雇用条件や雇用形態によって月額報酬が支払われていると思います。


●「キャストのギャラ」

すみません。

キャストのギャラについては全くわかりません。

彼ら彼女らも基本的に芸能事務所という会社に所属する社員です。まあ、大抵は契約社員だと思われます。

漏れ聞こえてくることによれば、給料制と歩合制があるらしいですが、売れない間は給料制にするキャストが多いそうです。


スタントマンもJAE等の専門会社に所属するキャストです。

やはり、彼ら彼女らのギャラについてはわかりませんが、給料制だったり歩合制だったりするのでしょう。

ですが、ひとつだけ噂として聞こえてきたギャラの話がありました。

スタントマンは、行く行くは「顔出しの有無はあるにせよ、テレビに出られるがコンスタントな仕事が見込めないテレビ番組の仕事」と、「テレビには出られないがコンスタントな仕事がある観光施設やイベント等でのショーの仕事」を選ぶことになるという話です。

あくまでも噂ですし、どちらが良いのかは個人の判断ですが、そこは技術や技量も関わってくるのだと思います。


●「現状でのギャラ」

イベント業界や撮影業界の現状でのギャラについては、全く想像がつきません。

ですが、専門会社に所属しているからといっても毎月決まった給料が支払われているとは限らないと思われます。

特にフリーランスであれば尚更です。


巷では、いくら専門技術を身に付けた職種であっても閉店や廃業を余儀無くされている方々もいらっしゃいますから、厳しい状況というのには代わりないでしょう。

そして、テレビや映画という巨大ビジネスに関わっている末端の人々にもその影響は少なからずあると思われます。


ですが、私達の様な一般の視聴者やファンに出来ることは限られています。

ですから、少しでも早い終息が待たれるところです。

焦らず、確実な終息が…


そして、新たな作品が世に出始めた時に、安堵のため息と共に以前以上の応援をしていこうではありませんか!

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