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余り語られない撮影所のあれこれ  作者: 元東△映助
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余り語られない撮影所のあれこれ(20) 特撮番組のプロップ vol.1

★「特撮番組のプロップ vol.1」


●プロップとは?

propertyの略で、映画や演劇で扱う物品全般のことを指す業界用語です。

しかし、演者が手に触れるもので建物やロケセット、ロケ先に最初からあった物品は指さないようです。


小道具さんの扱うものには、演者が身に付ける「持ち道具」と持ち道具以外の「装飾」があります。

これらは全て「プロップ」です。

それ以外に「劇用車輌」もプロップと呼称する場合があるようですが、私の記憶にはありません。

このような映像や演劇業界で演者が使う為に用意された物品全てを指すのが「プロップ」です。

セットの装飾品も演者が触れる可能性があるものは「プロップ」です。


●プロップガン

しかし、こんな「プロップ」の定義がありながら、現場ではなぜか「プロップ」と呼称するものは限られます。

その代表が「プロップガン」と言われる撮影用の銃です。

これは、殺傷を目的としない弾丸の発射されない銃のことで、そもそも弾丸も音も出ない銃ですらプロップガンと言われています。

音だけが出るプロップガンが基本でしたが、単発式の運動会のスターターガンと同じ紙火薬を撃鉄で打ち付けて音を鳴らすタイプから、電気発火式の連発式へと進化していきました。

電気発火式のプロップ銃のことを「電着銃」と呼んでいました。


●ヒーロプロップ

例として銃で説明します。

同じ形の銃がたくさん撮影用プロップとして用意されたとしても、「形だけの銃」以外のギミックが仕込まれたプロップ全てを特にヒーロプロップと呼びます。


銃の場合は、前途の様に「形だけの銃」「一部が動く銃」「電着銃」等のプロップの種類があります。


このようなギミックの仕込まれたヒーロプロップには、一般的な撮影用プロップ以外に「特撮番組特有のプロップ」が存在します。


●ワイヤープロップ

特撮番組には、現実には存在しない銃や装備やマスクやスーツが存在します。

それらは全てプロップとして特別に造形製作されますが、実在しないものだけに動きやギミックは、現在ならばCGで表現しなければならないものも存在します。

しかし、そのCGにバカ高い費用がかかっていた30年程前には、そんな特異な動きやギミックも、その殆どが実写で撮影するしかありませんでした。

そんな時代にはワイヤープロップが造形されます。

文字通り金属製のワイヤーがギミック部分に何本も飛び出したプロップで、このワイヤーを押したり引いたりしながらギミックを操作します。


例えば、「特警ウインスペクター」の場合は、マスクの開閉ギミックがワイヤープロップです。

この為、主役の「ファイヤー」のマスクには「アクション用」「アップ用」「電飾(アップ)用」「ワイヤーギミック(アップ)用」の4種類のマスクが最初に製作されました。

つまり、第1話の撮影時に後々「バンク映像」として使用されるギミック映像を撮影する為だけに製作された、ワイヤーのいっぱい付いた「ファイヤー」のアップ用マスクというものが存在していたのです。

目の部分の開閉、ゴーグルの開閉、顎側面の開閉、後頭部の開閉の為の4本のワイヤーが組み込まれ、そのワイヤーの飛び出し位置も撮影の際には一定の角度からは映らない位置でなければならず、尚且つ主演俳優が実際に装着出来るマスクでなければならなかったので、造形的には大変だったと思います。


他の作品ではマスクだけではなくて、腕のワイヤープロップ、足だけのワイヤープロップをはじめ武器や装備品にもワイヤープロップは存在しました。


●アクション用プロップ

マスクやスーツにアクション用とアップ用が存在する様に、武器や装備品にすらアクション用のウレタン製で製作されたプロップが存在していました。


例えば、「特警ウインスペクター」の場合。

デイトリックM-2と呼ばれる専用銃には、「ウレタン製のアクション用のバスターモード(=銃形態)」「ウレタン製のアクション用のパイルモード(=警棒形態)」「FRP製のアップ用のバスターモード」「FRP製のアップ用のパイルモード」「FRP製のバスターモードとパイルモードに相互変換可能なギミックプロップ」が存在していました。

この銃はレーザーを発射する設定でしたから存在しませんでしたが、実弾設定ならば「発砲ギミックのFRP製or一部鋳造製のバスターモード」があったのでしょうw


また、玩具が発売されて実際の現場で使用されているプロップと遜色がなければ、アップ用だったり、壊れても代替えが存在する理由からアクションプロップとして使用する場合もありました。

「特警ウインスペクター」の「特警手帳」は、プロップよりも玩具の方が開閉がスムーズだし、電飾までされていると現場では喜ばれました。しかし、玩具ですから子供の手のサイズを考慮して、実際のプロップより一回り小さかったと記憶しています。



どうも、プロップは定義が広すぎて、まだまだ書かなければならないことが多いようなので、今回は基本とさわりまでww



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― 新着の感想 ―
昔帰りマンで伊吹隊長の根上淳さんでしたかな?違ったかな? 撮影中に子供達に射撃を頼まれたけど銃身を作ってないホルスター一体型の小道具だったので 「怪獣が出てこない時は銃を撃っちゃいけないんだよ」 とか…
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