余り語られない撮影所のあれこれ(14) 連続テレビ番組のスケジュール
★「連続テレビ番組のスケジュール」
「機動刑事ジバン」の放送開始から30周年。
私の助監督としての東映東京撮影所での仕事は、1989年の10月から始まりました。つまりジバンの途中からです。
その30年前のジバンをはじめとして、連続テレビ番組の撮影スケジュールを思い起こしながら呟いていこうと思います。
尚、あくまでも30年前の撮影スケジュールです。今がどうなっているのかは分かりません。
●その1
「撮影は2話一組」
奇数回+偶数回の2話分を同じ監督で撮影していました。
1話分を撮影後にもう1話を撮影するというモノではなく、2話分の中で、同じセットや同じロケでの撮影をするシーンやカットの場合には、話数が違っても同じ時に撮影してしまうという撮り方で、これが一般的な(連続テレビ番組以外も含めての)撮り方です。
役者さんのセリフ覚えや気持ちの切り替え等は大変ですが、撮影時間が短縮出来る撮り方だからこそ一般的になっています。
コレが進むと同じ背景で同じ役者さんならば、カットバックと呼ばれる交互に撮すカットでも、一方だけを撮影してしまってから他方を撮影するという撮影方法になり、より役者さんにとっては難しくなります。
役者さんの経験が浅い人が、重要なセリフやカットを演じる場合は、あえてシーンを「順撮り」といって順番通りに撮影していく役者さんに優しい撮り方をしたりします。
●その2
「撮影期間は2週間」
基本的には、14日以内に2話分を撮り終える様なスケジュールが組まれます。
2話分=2週間分ですから、それ以上時間をかけるとストックされている撮影的な余裕が減るのは当たり前です。
その意味でも同じ背景で撮影する際には、話数やシーンが違ってもできるだけ同時に撮影してしまいたいのです。
ここで重要なのは、役者さんのスケジュール調整なのです。
いくらレギュラーで出演する俳優さんでも、人気のある俳優さんは他の番組撮影が入っていたり、
それ以外でもCM撮影、雑誌の取材等々の強敵がスケジュールの道を塞ぎがちなのですw
このスケジュールの調整は、製作主任やプロデューサー等の会社サイドと助監督のチーフが行います。
そして、出来たスケジュールは「香盤表」と呼ばれる1日毎の予定表にされてスタッフとキャストに配られました。
30年前は紙でした。
今でいえば、LINEでグループ作って一斉送信って感じですかねぇww
尚、2週間の撮影スケジュールは30分番組の場合ですが、1時間番組2話でも特撮番組でなければ、同じくらいの撮影スケジュールで撮影してしまっていました。
特撮番組は、特撮カットに時間がかかるのですww
●その3
「撮影は放送日の1~2ヶ月前」
通常、「パイロット」と呼ばれる1話、2話の撮影時には、オープニングやエンディングの撮影スケジュールや「バンク」と呼ばれる繰り返し使用される映像の撮影スケジュールも含まれましたから、1ヶ月位の余裕と予算があてられます。
それを差し引いて1~2ヶ月の余裕を作って、長期間のスケジュールにあたります。
私がジバンに参加したのは10月半ば過ぎの45話、46話の撮影からでした。本当に撮影スケジュールの途中で、現場慣れという感覚でしたが、この45話の放送日が12月10日でしたから1ヶ月半位の余裕しかありませんね。
でも撮影が終了してもそこから「編集」「アフレコ」「予告作り」等が待っていますから、余裕はないと言っても良い状態です。
では、そんな状態でパイロット版の撮影スケジュールを確保出来るのか?という内容を私の当時の仕事状況から読み取りましょうww
45話、46話の途中から撮影参加した私がジバンで仕事が出来たのは47話、48話まででした。48話は12月31日放送分ですw
では、49話~最終回の4話分の撮影時にはどこに居たのかといえば、「特警ウインスペクター」のパイロット版の撮影でした。
11月の中旬から年末迄には撮り終えて、正月休みもありましたww
スタッフメンバーのスケジュールは?と思われますが、レギュラースタッフはパイロット版に流れて行き、臨時編成のスタッフが前の番組を撮影している事になります。
監督と記録さんは、レギュラースタッフといっても複数人いらっしゃいましたし、私は逆の立場でしたが、数話前から臨時スタッフとレギュラースタッフが同時作業をすることもありました。ですから、番組のエッセンスは臨時スタッフさん達に受け継がれることとなりますww
現在も同じようなスケジュールではないかと思われます。
スーパー戦隊の新戦隊がビジュアル解禁っていうことは、「パイロット版の撮影に入っています」ということなのですからww
尚、当時の休みは2週間の撮影を終えてから次の撮影迄の準備期間的な1~2日間でしたw
30年前の1989年12月31日「年忘れバイオロン退治」の撮影を思い起こしながらも、この時期になると新番組のパイロット版撮影に想いを巡らせていますw
だって、新しいヒーローを世間より早く知れる特撮オタクにとっては役得以外なにものでもない瞬間なのですからww
さて、来年の令和2年からは「機動刑事ジバン」30周年が過ぎて、「特警ウインスペクター」の30周年が始まります。
来年の2月でレスポリシリーズの生誕30周年記念イヤーが始まります!
私にとっては撮影開始を考えると、もう始まっていますww