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余り語られない撮影所のあれこれ  作者: 元東△映助
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余り語られない撮影所のあれこれ(128) 「参加作品の撮影現場」vol.1「小規模映像作品の撮影現場 」

★余り語られない撮影所のあれこれ(128) 「参加作品の撮影現場」vol.1「小規模映像作品の撮影現場 」


●小規模特撮映像作品

特撮作品と言ったら「仮面ライダーシリーズ」や「スーパー戦隊シリーズ」や「ウルトラマンシリーズ」、更には「ゴジラ」や「ガメラ」といった映画でのシリーズ作品を思い浮かべるのが通常です。

しかし、撮影機材や撮影技術やパソコンの性能向上によって、映像業界に居なくても自分で撮影し編集し作品として創り上げる事が出来る時代となりました。

それは一重にデジタル技術の向上に他なりません。


今回は、そんな「小規模」ながら「特撮作品」を創った、一般的には「自主映画」や「自主映像作品」と呼ばれる作品の撮影現場をご紹介させて貰おうと思います。


尚、例によって情報のほとんどが約30年前ですw

今となっては変わっていることや、無くなっていることもあります。また、記憶の内容が30年の間に美化されたり劣化してしまっているものも存在しますwwその点をご理解の上、あらかじめご了承下さい。

そして、ここでの意見は、あくまでも個人的な意見です。

東映をはじめとした各社や映像業界の直接的な意見ではありません。その点を予めご理解ご了承下さい。


●自主特撮映画

私の高校時代(1980年代初頭)は、「DAICONⅢ」のオープニングアニメや「DAICONⅣ」に出展された「DAICON FILM」の作品群の影響もあってか、自主的にアニメや映画や特撮作品を創ろうという無謀な連中が日本中に溢れようとしている時代でした。

特に「DAICON FILM」を生んだ関西圏を中心とする熱量は大きく、兵庫県伊丹市に当時あった「伊丹グリーン劇場」「伊丹ローズ劇場」が「自主制作8mm映画オールナイト上映会」を開催していました。

そして、その尽くが「特撮作品」であったことは、「アニメ」と「特撮」が素人でも製作が可能なのだと知らしめ様としているのではないのかと思われました。

ビデオカメラはまだまだ大型でしたが一般に普及してきていた時代ではありましたが、編集作業の機械が高価であり、当時としても一昔前になっていた8mmカメラの編集作業や合成技術が素人にも浸透していたという事もあり、素人が「自分の映像作品」を「作れる」と考える事が出来た時代でもありました。


現に私でも高校時代に8mmカメラによる40分超の特撮作品を創り、前途した「伊丹グリーン&ローズ劇場」での「自主制作8mm映画オールナイト上映会」へ出品していたくらいでした。


しかし、学生時代に創る自主制作映画では、本当に映像制作を学んだのかが大きな差になります。

映像制作の基本が感性で生まれながらに備わっている等という天才でない限り、それが学校や大学や専門学校であろうと独学であろうと関係なく、知識を得ているかどうかが映像に現れてしまうからです。


●プロが創る

東映東京撮影所に出入りする様になって、曲がりなりにもスタッフの一員となり、他のスタッフと仲良くさせて貰っていると、思い掛けない話が飛び込んでくるものです。

プロである東映東京撮影所のスタッフやキャストが、スポンサーも付けずに自主制作映画を撮ろうと言うのです。

プロフェッショナル・ハンドメイド・ムービーという訳です。


○スタッフ&キャスト

脚本・監督・操演・プロデューサーを、当時は操演スタッフをなさっていた「國米修市」氏が、スプリクター・ヒロインを本職がスプリクター(記録)でもあり昔は子役もなさっていた國米夫人の「國米美子」女史が務めました。

主演には仮面ライダーBLACK等でヒーローやヴィランのスーツアクターやアクション俳優をしていた今やレジェンドアクターの「岡元次郎」氏が顔出しで務め、相手役にはバラオム、デスギラー将軍のスーツアクターであり数々のヴィランを演じた「高橋利通」氏が務めました。

ゲスト出演として「ショッカーO野」氏が顔を出されています。

アクション監督は、スーツアクターとしての経験も豊富で、数々の特撮作品でアクション監督を務めた「村上潤」氏。

村上さんの奥さんが宇宙刑事シャリバンのリリー役を演じられた「降矢由美子」さんということもあり、この作品のメイキング解説には「降矢由美子」さんが参加されていたりもします。

そして、何と言っても凄いのがカメラマン。

仮面ライダー、メタルヒーロー、スーパー戦隊の各シリーズでカメラマンとして今尚活躍されている「松村文雄」カメラマンが務めて下さいました。

他のスタッフもプロの面々が名前を連ね、その中に助監督として参加させて頂きました。


○分担

自主制作映画のスタッフの役割分担は、基本的に人数が少ないこともあり兼任が殆どでした。

脚本家やプロデューサーといった撮影現場に対して直接的に関係しないスタッフは除くとしても、監督自身が操演も兼ねていましたし、スプリクターはヒロインとも兼ねていました。

助監督である私もアクションシーンへエキストラ的に出演するといった事もありました。

尚、この作品の助監督は私ともうひとりいましたが、そのスタッフは元来は操演や造形を仕事としていましたから、助監督というよりは操演助手も兼ねていましたし、私と同じくアクションシーンでエキストラ出演もこなしていました。

さて、助監督の本来の仕事は、チーフ助監督がスタッフやキャストのスケジュール調整を行ったり、セカンド助監督がキャストの衣装準備を含めた撮影現場での世話を行ったり、サード助監督がカチンコや撮影現場の雑務準備を行うという大まかな役割分担があるのです。

しかし、この作品ではスタッフとキャストのスケジュール調整や管理は監督自らがスプリクターと共に行い、キャストの衣装はプロの衣装部さんにお任せ、キャストの出番はキャスト自らが撮影現場を見ていて呼ばれたら行くという感覚でした。

ですから、私は本来のサード助監督の仕事ぐらいしかしていませんでした。


○プロ

自主制作映画は、予算が多くない事もあり規模が小さく成りがちですが、そこは特撮作品のプロが集結していますから、アクションシーンは圧巻でした。

監督が特殊効果=操演のプロですから、弾着あり、ナパーム爆破あり、クレーンを使っての吊りもあり、バイク&カーアクションなんて数々の特撮作品でバイクやカースタントを手掛けてきたタケシレーシングの「テルさん」でしたから迫力のカットが撮影されています。

撮影部、録音部、衣装&メイクも全てプロ。

アクション補助にはJAC(現:JAE)の若手(当時の若手)が加わっています。

皆んな、普段の撮影現場で仕事をしている時よりも心なしか明るく感じていました。

それは、「いつもスタッフの仲間として一緒に働いている『國米修市』が、初めて監督する作品だから、手伝ってあげないと……」という想いで集結しているスタッフやキャストだからかもしれません。

ですから、松村カメラマンの様に「ギャラなんていらねぇよ。」と江戸っ子の気っ風の良さを魅せてくれていた方もいらっしゃった様ですが、「そこはプロですから、受け取って欲しい」と、監督は無理矢理にもギャラをお渡しした様です。

監督曰く「流石に何時もの作品の様にはギャラは出せないけれど、貰ってもらわないと仕事じゃなくて趣味になってしまう」

私もしっかりとギャラは頂きました。

助監督として初めて予告編も編集させて頂きました。

フィルム作品ではなくビデオ作品(デジタル作品ではありません)でしたから、比較的編集作業は楽でしたが「予告編で何処まで見せて良いの?」「本編数十分なのに、アクションシーンの良い処を摘んだら本編見ちゃった気分にならない?」という疑問はありました。

監督のOKは貰ったので大丈夫だったのでしょう。

撮影から20年近く経って、撮影所を去っていた私の元に國米さんから電話がありました。

「アレ、DVD化するから、その時に予告もいじりたくて竹田に承諾を貰おうと思ってな」

「別に私に承諾を得なくても構いませんよ」

「いや、予告とはいえ竹田の作品だからな」

コレがプロのスジの通し方だと教わりました。


●もう一度

國米さんとは國米監督として、もう一本仕事をご一緒しました。

私が撮影所を去って数ヶ月後。

四国からこの仕事の為に東京に帰って助監督及びキャストとして参加しました。

アパートも引き払っていましたから、同じ作品に参加している知り合いのスタッフの家に転がり込みました。

主演は、パワーレンジャーでスタントを演じ、ウルトラマンダイナでナルチス星人、ウルトラマンガイアでゾグ第一形態を演じられたスタントウーマンの「梛野素子」さんでした。

梛野さんは、スタントウーマンの中でもスタイル・ルックスも良くスタントも十分以上にこなせる逸材だというの撮影してみて良く判りました。

彼女を主演に、しかも二役を演じて貰い、アクション主体の作品が作られました。


この時のスタッフは、プロの映像制作会社のスタッフでしたから、私は助監督よりもキャストがメインでした。

爬虫類好きの変な人物役をトーン高目で気持ち悪く演じました。

後は、監督の補助でした。

撮影の全てに関われなかったのは残念でしたが、完成した作品には梛野さんの可愛さとキレの良いスタントとがふんだんに詰まっていました。

因みに、梛野さんはこの後、渡米してパワーレンジャーに参加し、「坂本浩一」アクション監督の奥様になられます。


●あとがき

小規模映像作品といえる作品には、これら國米監督作品以外にも参加しました。

レギュラー番組や2時間ドラマの撮影現場では感じられないアットホーム感というか、和気あいあいな雰囲気がありました。

それは、裏を返せば馴れ合いにも為りかねない危うさもありましたが、拙いながらも持ち寄ったモノを最大限に使って「より良いモノを」と考える場でもあり、また、普段の撮影現場では出来ない実験的な事や、経験を得られる場でもありました。


上記で参加した作品を挙げておきます。

國米修市監督作品

「BATTLE&BATTLE CLONECAPSULE」1992

「REINA -レイナ-」1993


また、國米監督はビデオ作品やテレビ番組での特撮作品でも監督を務めたり、舞台演出も行っています。

そんな縁が集まって、また新たな作品を監督されました。


「もしも、僕の彼女が妖怪ハンターだったら。。。(仮)」2022


です。(仮)までが正式タイトルです。

8月末から高円寺シアターバッカスで劇場公開もされます。

私は、チラシの作品紹介とあらすじを書かせて頂きました。

宜しければ、スクリーンで東映特撮作品のレジェンドスタッフの國米監督作品をご鑑賞ください。

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