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余り語られない撮影所のあれこれ  作者: 元東△映助
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余り語られない撮影所のあれこれ(116) 「参加作品のメイキングvol.4 『特捜エクシードラフト 第1話 死の幼稚園バス』」

★余り語られない撮影所のあれこれ(116)

「参加作品のメイキングvol.4

『特捜エクシードラフト

        第1話 死の幼稚園バス』」


●30周年

先日は、30周年として「特捜エクシードラフト」の「オープニングとエンディング」のメイキングを語らせて頂きました。

流石に「オープニングとエンディング」だけでメイキング1本分の情報量を使用しようとは、考えてもいませんでした。

今回はやっと「第1話」の本編メイキングをお届けしようと思います。


常套句になりましたが、

「誰も語らないから、いつまでも伝わらない事があるのは、特撮ファンとして悲しい事です。

では、サード助監督というペーペーで申し訳ありませんが、当時のスタッフとしてその殆どの撮影に参加した私が、僭越ながらメイキングを語らせて頂きます」


さて、今回も語られて来なかったメイキングを放送30周年を期に語らせて頂こうと思います。


尚、例によって情報のほとんどが約30年前ですw

今となっては変わっていることや、無くなっていることもあります。また、記憶の内容が30年の間に美化されたり劣化してしまっているものも存在しますwwその点をご理解の上、あらかじめご了承下さい。

そして、ここでの意見は、あくまでも個人的な意見です。

東映をはじめとした各社や映像業界の直接的な意見ではありません。その点を予めご理解ご了承下さい。


●作品データ

タイトル「特捜エクシードラフト」

サブタイトル 第1話「死の幼稚園バス」

放送日  1992年2月2日

放送時間 テレビ朝日系 日曜朝8:00〜8:30

東映制作

主演 影丸茂樹 河井マモル(現:河井護) 榊原伊織

監督 三ツ村鐵治


●隼人だよ

始まりは何時も「横浜」なのが、エクシードラフトのパイロット版。

オープニングやエンディングとはまた違ったアングルの横浜ベイブリッジ。

豪華フェリーからのバイクの走り。

走っている時には、基本的にタケシレーシングのテルさんの運転です。

衣装はテルさん用に似たような衣装が用意されていましたし、ヘルメットもバイザーが降りるタイプな上にスモークが施されているのも、テルさんが乗る事を考慮しての仕様となっていました。

バイクから降りる時には影丸くんです。

横浜ベイブリッジの下というか大黒埠頭での撮影です。

幼稚園バスは、横浜まで自走して行きました。

バイクも劇用車ですから現地に持って行かなくてはなりませんが、流石に自走ではなくてキャリーカーに搭載して運んでいます。

運転は、バイクを載せたキャリーカーも幼稚園バスもタケシレーシングの方々でした。

「隼人だよ」

のセリフの際に、サングラスぐらい取れよというツッコミが入りそうですが、隼人の顔を今は全て出さずに隠しておきたいという監督の演出意図でサングラスを取らない演技となっています。


●エクシードラフト本部

本部の立看板は、番組ロゴが小道具さんの手元に渡る前に作成された為に、番組最初の看板と番組途中からの二番目の看板では字体が明らかに違います。

こういった立看板は、もっと昔は木製でしたが、この頃になるとアクリル製が主流になっていました。

軽くて加工がしやすく、移送の際も破損し難いというメリットからアクリル製に変わっていったようです。

文字も全てアクリル板からの切り出しです。

作成は、小道具さん=大晃商会でした。

撮影の際には、本部前=晴海客船ターミナル前に「置くだけ」でした。


エクシードラフト本部内では、新設の部屋という設定のダンボール荷物が置かれています。

勿論、中身は空です。

ハリウッド辺りならば、中身も詰めるのでしょうねw

本部長は、自分のロッキングチェアを運んでいるというお芝居になりました。

愛ちゃんの初登場ショットは足下から。

部屋に入って来た愛ちゃんが手に取るのは、パソコンではなくてファイルでした。

パソコンはありましたが、Windowsの普及にはWindows95の発売を待たねばなりませんから、後3年を要します。

ですから、まだまだ書類が事務作業の中心でした。

携帯電話もありませんし、勿論スマートフォン等というモノもありません。

ポケベルがやっとの時代でした。


●松竹梅

今井さん演じる竹子の足下からのアクションカットです。

奇しくも愛ちゃんと同じ様な登場カットになってしまっていて、視聴者的には少々頭が混乱します。

コレは、もう少し別のカットを愛ちゃんと竹子のカットの間に含めるつもりが、編集で切ってスピーディーさを出そうとした結果だったと思います。

流石に現役JACの美人アクションアクトレス今井喜美子さん。

華麗な身のこなしです。

余りアクションが得意ではない松男と梅男に代わって身軽さをアピールしていて、コレが力づくだけではない強盗団の派手さを作り出しています。

梅男役の佐藤さんとは、ウインスペクター以来のお久しぶりな再会でした。

その梅男に羽交い締めにされて松男に殺されるのはJACの菊地さん=ブルースの中の人です。

因みに梅男の衣装の赤いツナギは、ウインスペクター「第8話 脱線!親子救急隊」の際に二瓶さんが着ていた衣装の流用です。


●晴海客船ターミナル

空撮のエクシードラフト本部は、オープニングや冒頭の横浜ベイブリッジのカットを撮影したヘリコプターから撮影しています。

現在ならばドローンでの撮影という事になるのでしょうね。


河井さんと伊織くんの初登場カット。

今や晴海客船ターミナルの内部は見られないので、ある種の記録カットとなってしまいました。

廊下の走りは、明らかに二人が競い合っていますw

狭い廊下を並んで走るのは、案外難しいです。


スクラムヘッドは、晴海客船ターミナルの駐車場から出て、横浜の道を走ります。


●3兄弟の逃走

逃走劇の始まり。

それにしても喜美子ちゃんは、良く跳ねる。

走り始めの撮影は、田町の町並み。

スクラムヘッドも隼人のバイクも集合してきます。


エクシードラフト本部のロッキングチェアでの本部長は、定番となって行きます。

コレは、前任のレスキューポリスの本部長が「最前線で指揮を取る」という設定に対して、「キレ者の昼行灯」という、何処かの第2小隊の隊長や八丁堀の旦那の様なキャラクター設定でした。


カーチェイスは、田町から始まり本牧埠頭、そして大黒埠頭と横浜ベイブリッジを境に西東w

なかには田町のカットも含まれたりします。

街中で火花を散らす撮影を許可して頂ける場所などは、今よりは緩いとはいえ、少なかったので、撮影場所がどうしても固定化してしまいますね。


いちいち車を乗り越える喜美子ちゃん。

勿論アクション監督からの演技指示です。

アクションが出来る俳優が、普通に居て芝居をするだけでは仕方がないので、極力アクションをさせていますね。


幼稚園バスをジャック。

幼稚園バスの走りもタケシレーシングになります。

流石に弾着カットは停まって撮影。

外に放り出される運転手は、JACの岩田さん=キースの中の人。


張り付く隼人。

CGを使用しない時代でしたから、本当に幼稚園バスに張り付いています。

流石に自力ではなく、窓外に足場は作っています。

バスのスピードがゆっくりなのは、安全面を考慮しての事です。

バスから落ちる隼人は、JACの吹き替えです。

誰が行ったのかは記憶に定かではありませんが、隼人の吹き替えなので、横山さん=アップ用レッダーの中の人か赤田さん=アクション用レッダーの中の人だと思われます。

多分、赤田さんかな?


バスにぶつかるパトカーの助手席にJACの竹内さんの顔が見えますね。

竹内さんは現役のスーパー戦隊のスーツアクターですが、この頃は戦隊の悪役やアクション補助でした。


ぶつかるパトカー。

真っ二つのパトカー。

幼稚園バスも含めて、スタントに関わる車輌は全てタケシレーシングさんが用意してくれたモノでした。

スタントで使用する車輌の殆どは、破壊してしまう運命の場合が多くて、中古車で探して塗装まで施し、撮影現場まで運搬してくれます。

流石にキャラクター関連の車やバイクの撮影現場までの輸送及び移送は、車輌部さんの仕事でした。そして、撮影中はタケシレーシングさんの運転となるのです。


●氷室三兄弟

宇宙工学研究所。隼人の聞き込み。

バックに映る鑑識の中に、当時のセカンド助監督の谷口さんのメガネ顔が見えますw

撮影所内にセットを組んで撮った際の内トラ=内部エキストラですね。


氷室三兄弟の犯罪ファイルは、ワープロ打ちした文字に写真を貼り付けた超アナログな紙を、モニター画像として撮影しています。

この犯罪ファイルがエクシードラフトの基本スタイルとなって行きます。

作成は私=サード助監督か谷口さん=セカンド助監督か小道具係。

私は14話まででしたから、それからは鈴村監督=当時はサード助監督(13話、14話は私と共同)かセカンド助監督か小道具係のお仕事でした。


さて、ロッキングチェアから立ち上がった本部長。

昼行灯からキレ者への切り替わりです。


カーチェイスの最中に背中に火が着く耕作。

流石にJACのメンバーの吹き替えです。

消火される耕作。

コメディ番組の様な粉を吹く河井さん。

コメディリリーフとしてのわかり易い演出です。


田町のモノレール待ちの俯瞰撮影を含めて、隼人はノーヘルメットでバイクに乗って走っています。

引き画としての遠景では、車輌も通行人も止めて、ノーヘルメットでスタントマンであるタケシレーシングさんが乗って走っています。

このように余り顔がしっかりとは映らない遠景であるのならば、スタントマンで良いのですが、近くて顔がハッキリ映るカットではバイクも車も動かす事は出来ません。

ですから、バイクも車も止めて、カメラの方を揺らして走行している様にみせるのです。

このように車の運転時に正面の顔を映す際には、車を停めてカメラを動かしたり、車を揺らしたりします。

現在ではグリーンバックにでもして、CGで背景を足すのでしょうが、当時は技術はありましたがCG合成をお願いしても莫大な料金を請求される程に高額な合成方法でしたから、アナログな方法で処理していました。

同じ様に、バスの運転手の松男の走行時の横顔なども運転席の直ぐ後ろの席に座って貰って、窓外をバックに撮影していました。

どうしても運転席からの振り向き等の際には、最徐行での運転でした。


撃たれる先生の腕は、血糊弾着です。

血糊が多いので、上手い具合に飛び散ってくれて、撃たれた感が出ています。


●バリア発生装置作動

バスの中のバリア発生装置の作動シーン等に光学合成カットを施す場合は、人物がバリア発生装置と一緒に映らない様にしています。

このような人物が絡まない場合は、基本的には本当のバスの中では撮影しておらず、撮影所のセットに座席をバスから外して持ち込んで撮影されました。

吊り、爆発等の撮影及び照明の問題から「セット撮影」を選択したと思われます。

流石に人物が絡むとバスの天井部分が映る都合上、バスの車内で撮影する事になります。

バリア発生装置自体はアクリルの板を組んで作ったボックスに、ランプやスイッチを組み込んだモノであり、見た目に反して軽く出来ていました。


高架橋の破壊シーンで、頭上から落ちて来るのは、安全性を考慮して発泡スチロール(撮影所俗称:カポック)のブロックをグレーに着色したモノをバラバラと降らしています。

一緒に落ちる一般人は、JACの面々が普段着(衣装)で落ちています。

勿論、下には「デカマット」と呼ばれるクッションマットを敷いていますし、撮影所のオープンセットで撮影しています。


倒れた人達は、前途のJACの面々。

苦しむ芝居をしてくれています。

後ろの一般人はエキストラの方々です。

カポックのブロックに四塩化チタン(撮影所俗称:シエンカ、劇物)を塗り、煙を発生させてスモークマシンで煙を追加しています。

尚、シエンカは安易に煙を発生させやすくピンポイントでの使用も可能でしたが、人体への有害性がある為に現在では使われていません。

言い換えれば、現在ではCG処理が可能ですから、安全性を考慮して使用していない様です。


ガソリンスタンドで逃げる女性スタッフたちも単なるエキストラ達ではなくて、JACの方々です。

救急車の救急隊員も後ろの野次馬もエキストラです。

アクションが絡む等の危険度のレベルや人物の繋がりに応じて、JACが演じるエキストラと一般的なエキストラは使い分けられていました。


各種消防車や救急ヘリの救出活動の映像は、出初式の資料映像が使用されました。

流石にこれだけの消防車や救急ヘリをエキストラ的に用意することは、一般的なテレビドラマでは出来ません。


●作戦

本部長の帰還で作戦が示されます。

ツッコミどころとしては「こんな短時間に、よく実験して結果が出たよな」というのはありますが、そこは物語的に忘れて置きましょうw

個人的には、本部長のフンドシを引き締めるかの様にズボンを引き上げる仕草が好きです。

昼行灯からキレ者に変わっている本部長。


モニターに映し出される地図は、湖らしきモノを含む架空のモノです。

実際の崖は寄居の採石場ですから、周りは山ですので本当の地図を略地図にしても分かりづらいです。


●実装

実装の際のブルースとキースのトライジャケットですが、スクラムヘッドの車体左右に格納されている設定です。

勿論、中を撮影する以外の普段は収納場所には何も入っていません。

撮影時のみにアップ用スーツの一部を収納していました。

頭(撮影所俗称:面、マスク)と腕と腰(撮影所俗称:オムツ、パンツ)だけを所定の場所に収納しています。

流石に脚も胸も収納するスペースはありませんでした。

まぁ、前面に見えているトライジャケットの後ろに隠れているのでしょう。


アップ用スーツは、水や海に入る際のドライスーツの様なモノをベースにして、FRP製等の硬質なプロテクターがマジックテープで留められていました。

「ウインスペクター」の着化シーンの竜馬の着る赤白スーツがドライスーツに変わったと思って貰えると想像し易いと思います。

トライジャケットの場合は、頭、腕無しの全身ドライスーツ(脚のプロテクターは常時接着済)、両腕のドライスーツが背中と胸で繋がっているモノ(腕のプロテクターは常時接着済)、胸、腰、靴、というパーツ分けでした。

この腕のプロテクターのスクラムヘッドへの収納が一番厄介でした。


初のトライジャケットの揃い踏み。

指を折る仕草や顔を叩く仕草は、実装前の耕作や拳の仕草をトレースすることで、耕作や拳が実装したことを印象付ける仕草になっています。

仕草を癖の様にすることで、キャラクターの差別化を図ろうとする狙いがありました。


ターボユニットW

横山さんはアップ用スーツで走る走るw

レッダーは、アップ用で良く走らされていた印象があります。

しかし、本来はアニメの「ボトムズ」に出てくるローラーダッシュの様な仕様を考えて設定されていたのじゃないかと思ってしまいます。

地面を滑る様に走るイメージですね。

まぁ、ドスドス走る事でも簡単に幼稚園バスに追いついてしまう程の走り、という映像で見せられてしまうので納得ですw


エキストラの前で演技をする女性二人は役者さんです。

後で子役の女の子と共々に、ターボユニットWが巻き上がらせた風でスカートがめくれるというコミックカットを演じてくれています。

犬が宙を舞うカットは、犬用のハーネスを着けてピアノ線で吊っているのですが、犬の飼い主の女性(=実際には犬の調教師さん)が跪いているのが少し不自然ですが、犬が正面を向いてくれないので苦肉の策です。

動く被写体に目が持って行かれるという心理も考慮して、調教師さんは動いていませんでした。


●アイキャッチ明け

バスの運転席に近づくレッダーに、ダメージの嵐。

アクション用レッダーを演じているのは赤田さん。

レッダーという事で、横山さん共々良く走らされていました。

バス(のバリア)に弾き飛ばされるレッダー。

地面に転がるレッダーにスモークマシンのスモークを画面外から追加して、オーバーヒート感を出しています。


幼稚園バスを追うレッダー。走りながら通信するレッダー。

いずれもアップ用レッダーの横山さんの走りです。

延々と走りが続きます。

こう見ると、ローラーダッシュよりもドスドスとした走りの方がドラマになるなぁと実感させられます。


幼稚園バスを崖に誘導する為に、バスに文字通り体当たりするレッダー。

ここはアクション用の赤田さん。


●バス落下

寄居の採石場に到着です。

水溜りというか池の様に見えるのは、寄居の採石場にある雨が溜まって出来た池です。

この池めがけて本物のバスを落下させます。

運転手は乗り込みません。どころかバスの中には誰も乗り込みません。

但し、レッダーがしがみついていて一緒に落ちます。

幼稚園バスのミニチュア特撮カットを間に入れながら、一番のアクションの見せ場です。

しかし、本当に突き落とすと車体がどう倒れるかによってはレッダーの安全性が保てませんし、この後の芝居がまだまだ続きますから、バスとしてはある程度の原型は留めて置く必要もありました。

ですから、このバスの落下シーンは、バスの後ろを大型クレーンによってワイヤーで吊って撮影しています。


バリアの破壊シーンでは、バスの前後にワイヤーをかけて、破壊と共に池に沈むという演出をしています。

コマ送りで観れば、光学合成によって誤魔化して貰っている合間に、車体前面等にワイヤーを確認する事ができます。

池の水面がわかり易いかもしれませんw


バスに水が入って来ますが、アカネちゃん以外の子役には水をかけていません。

芝居が出来なくなる心配があったのと、大人の役者達と違い、濡れる必然性がなかった為でした。


バス車内の水濡れの撮影は、撮影所の所内オープンセットです。

トイレもロケバスで移動しないと無かった寄居では、ホースで撒く水の確保が出来なかった為に撮影所での撮影となりました。

その証拠に、バスから救出された大人も子役達も髪以外は濡れていません。

カット割り的には、さっき濡れたアカネちゃんもバスの窓から助け出される時には乾いていますw


バスの爆発。

周りには誰も居ませんし、安全な範囲で派手に爆発させて貰っています。

爆発後のバスをバックに池から出てくるレッダーと竹子と先生。

バスがリアルに炎上している間に撮影しなくてはなりませんでしたから、大急ぎの撮影でした。

「ハイ!水に入って!」

「ハイ!そこでカメラを向いて!自分達のタイミングで頭まで潜って出てくる!」

潜る3人。

「カメラ回して!」

ハイスピードカメラの場合、フィルムという事もあり余り長くは撮影できませんでしたから、タイミング勝負でした。


この後のカットにバスは映っていません。

炎も消えてしまい「繋がり」的に撮影には向かない状況でしたから、役目を終えました。

完全に消火してから再びクレーンで吊り上げて、タケシレーシングさんが牽引して撤去してくれました。

完全に廃車です。


●事後

レスキューポリスシリーズのお約束の面取りです。

影丸くんは、顔と髪にスプレーで水を吹き付けられて汗を表現し、白い息を吐いて疲労を表現していました。

本来ならば、周囲の気温や季節感が出てくる為に「白い息」は御法度なのですが、このカットの場合は身体の熱も感じられて効果的だとされました。


竹子(=今井さん)も先生も髪と顔はスプレーの水で濡れていることを表現しています。

それにしても、先生はメイクを直してからスプレーなのに、今井さんはスッピンの様に見えますね。

赤いホッペがかわいい21歳のスッピンですw


ブルースもキースも面取りをしますし、汗もかいていますが、流石にプハーはありません。


本部で目尻を緩ませる愛ちゃん。

昼行灯に戻ってロッキングチェアで揺られる本部長。

私は、本部長が眼を閉じたまま言う「ご苦労さん」が好きです。

宮内洋さん演じる正木本部長とは明らかに違うが魅力的な本部長だと感じた瞬間でした。


エクシードラフト本部前の階段を歩き降りるレッダー、ブルース、キース。

実は以外と難しいカットなのです。

視界が限られる中で、足下を見ずに階段を降りるというのは、面を着けていない状態でも難しいカットになります。

足運びのリズムと感覚だけが頼りになる、大転びしてもおかしくないカットなのです。


●あとがき

放送時間は30分枠。

しかし、実際に放送した映像部分だけならば23分程。

更にオープニングとエンディングと予告を除けば20分を切ってしまう程度の時間しかない本編映像。

それでも、今迄語らせて頂いた1作品で1時間半を超えるVシネマ作品の映像からの情報量と、変わらないだけの情報量がテレビ放送の本編映像にはあるということなのでしょう。

文章量がVシネマ達と変わりない程に膨らんでしまいました。

決してVシネマの情報量が薄いのではなくて、テレビ放送の本編映像は放送時間の制限の中で、削るべきところは削り、残すべきところは残しを繰り返しながら、精錬を繰り返す刀剣の様な鋭さを見せてくれているからなのだと思うのです。


「特捜エクシードラフト」という作品は、私にとってはメタルヒーローシリーズ(当時にはこの呼び方は無く「単体ヒーロー物」という呼称で非公式に呼ばれていました。レスキューポリスシリーズも「レスキュー物」という曖昧な呼称しかしていませんでした。)の撮影現場に1年半振りに帰って来たという作品ではありましたが、次のサード助監督の参加までという期限付きの復帰でもありました。

そのサード助監督が次代を担う演出家になろうとは……正直、嬉しい限りです。

そういった意味でも拙いバトンを渡せたのかなという想いのある作品でもありました。

実際には、自分の事で精一杯で教えるべき事も教えられていなかった事や、私のような半端な者に余り関わらなかった事、当時のチーフ助監督であった石田監督に師事を仰げた事が、良い素質を伸ばせられたのではないかとも思っています。


また、影丸くん、河井さん、伊織くんの3人が私のアパートに泊まりに来た事も今では良い想い出です。

そして、当時は若手であった彼らの不安と葛藤と情熱の生声を聞けた事も良い想い出です。

特撮ファンに戻った今となっては、ヒーロー達が自宅に来てくれたというとても名誉な事なのですが、当時は終電を逃した職場の仲間が泊まりに来た程度の事でしたw


そんな私にとっても大切な作品が30周年を迎えた事は、当時のスタッフの端くれとして感慨深いものがあります。

レスキューポリスシリーズでの新作等といっただいそれた事は起きないようですが、せめて当時のキャストやスタッフ達と同窓会が出来れば良いのにとは心の隅には思っています。

まぁ、少なくともCOV-19という敵を弱体化しなければならないでしょうが……

そういった意味からもレスキューポリス達にとっては、同窓会よりも全世界的な敵を倒して廻る事の方が今の急務なのかな(笑)


レスキューポリス達よ永遠なれ!

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