思いもよらぬ転生
転生......
それは現世で死んだ魂を別の世界、もしくはもう一度その現世へ生かせるという現象。小説の一部では神様転生などと称されるファンタジー物が流行りを風靡してるらしい。
そんな転生を......俺はこれからするらしい。
「回想は終わりました?」
「いえ、前文を作ってました」
「メタい発言、そしてあなたの死んだ回想シーンに使う場面をよく平気で前文に使えますね」
「いやいや、神様もメタ発言してるよ」
おっと自己紹介が遅れたな。俺の名前は前田成幸。東京のスクランブル交差点で信号待ちしてたらトラックにひかれて死んだ憐れな男です。そんで目の前の神様って名乗るこの胸だけが残念な人に所謂神様転生を提案されている。
「今私に対して失礼なこと考えませんでした?」
「い、いえ何も」
「............まぁいいです。さっきの話に戻しますと、あなたには私が作った世界に転生してもらい、是非魔王を退治してもらいたいんです。魔王さえ倒せば平和が訪れ、貴方には神の褒美を授かる事でしょう」
「なんていい話と悪い話が入り交じってそうな話なんでしょう」
「百パーセントいい方向に進めたのになぜ言葉の裏を読むことが出来るんですか」
「あんたが作ったってことはあんたが直々に魔王を作ったってことになる。そんでそれをわざわざ別の世界の人間に倒そうとさせてる。そんな手間のかかること、暇つぶしぐらいにしか思えないが?」
神様は若干苦虫を噛み潰したような顔をするが流石は神様。直ぐに表情を直した。
「全く、あなた勘が鋭すぎます。確かに私は魔王を作りました。ええ作りましたよ。理由もそう暇だったから。だって何百年も生きてたら娯楽が欲しいわけですよ!暇で暇で死んじゃいますよ!いっその事人間に転生して人生謳歌しようかなーなんて考えたまでありますからね!!」
せっかく表情直したのに決壊し始めてもう最後は自分の欲求まで言ってしまった。おいこれが神様で大丈夫なのかよ!心配になりまーす!
「......とまぁ、これぐらいにして」
「立て直せると思ってんのかよ」
「シャラップ。もう時間無いんです。特典とかもあげますけどもうこれでいいですねはい」
「おい待て!こういう時は俺に決めさせてくれるんじゃねぇのかよ!」
「めんどいんで決めました。行ってらっしゃーい」
とてもいい笑顔で手を振る神様。その顔に苛立ちを覚えた俺は、
「ふざけんじゃねぇこの馬神がァ!!!」
と叫びましたとさ......