第三話 隣国の人狩りに
最後に胸糞成分アリ…かも?
※個人差です。
最後まで読んでいただけると幸いです。
アヴェノル王国の隣国、ガグリエン帝国では、『人狩り』と呼ばれる、他国の住人を奴隷として売り捌く集団がいる。
アヴェノル王国には犯罪奴隷しかおらず、また炭鉱や鉱山の|工夫≪こうふ≫としての強制労働の為に奴隷とは呼ばれないが、ガグリエン帝国は人が奴隷として売買されているそうだ。
その人狩りの集団は、無断で国境を越えて、何処かの集落を襲ったり、歩いている人を襲撃して捕らえたりして奴隷を確保。
それを心で、国に持ち帰り奴隷として売り捌くのだそう。
時々、百人程の大人数で一個の村を襲い、村の住人の殆どを奴隷として連れ去る『村狩り』というのが行われるそうで、今回は、私の村が狙われた。
村の主要な出入口到着するや否や、先頭を走っていた私の足に矢が刺さった。
「うぐっ!」
私はその場で倒れてしまい、後ろにいた自警団員が立ち止まった。
「シエル様!」
「私の事はいい!敵を追い払え!」
「シエル様!敵が見えません!」
「くそっ!門番はどごぉっ!」
話している間に、出入口に近い味方が一名撃たれた。
もう一度放たれた矢は、私の目の前の地面に刺さり、それはどちらかというとクロスボウ用の、太く矢羽が短い物だ。
次弾はもう一人の男の頭に命中した。
即死のようだ。
「敵の位置は!まだか!」
「わかりません!敵は暗所から撃ってきている模様です!ぐはっ!」
警戒していた男が腹部を撃ち抜かれる。
「伏せろ!打たれるぞ!ぐっ!」
命令した途端に、私の腹部に命中した。
致命傷は避けられているが、足と腹部の攻撃によって、血が出すぎたようだ。
意識が少し薄らいできて、息も荒くなる。
と、
「村狩りだ!老人は切り捨てろ!若いやつらをいかせ!今日は奴隷祭りだ!いけぇ!」
「「「うおぉぉぉぉ!」」」
「はぁ…はぁ…立ち上がれ!向かい撃つんだ!」
少し掠れる声で命令を下すと、先頭を走っていた男に剣を振り下ろし、一撃で仕留めた。
しかし、反撃はそこまでだった。
次にいた人狩りが、私が振り下ろした瞬間を狙い、剣の腹で私を殴打し、勢いで私が地面に倒れてしまった。
「…畜生…め…!」
アヴェノル王国の首都、王都より百五十km南東の位置にあるカーヴァングル伯爵領。
その帝国領に隣接した位置にある農村に住む、男性五十二名、女性六十一名が行方不明になった。
そのうち、戦闘で死亡したのは男性八名の女性三名。
残りの男性四十四名中二十六名、女性五十八名中三十七名が、人狩りにその場で虐殺されて埋められ、残りの男性十八名と女性二十一名が、人狩りの持つ奴隷運搬用の馬車に詰められた。
八日後、カーヴァングル伯爵はガグリエン帝国有数の人狩りの商会、その副会長と面談していた。
「…それで、計三十九名を奴隷として我が帝国へ持ち帰られていただきます。男女の一人頭金貨十二枚、百二十万ガーズと計算して…四千六百八十万ガーズとなりますが、どうされますか?」
「ふん、男は金貨十枚でいい。女は高く売れるのだろう?一人十五枚にしろ。」
「あはは、あなた様の目は誤魔化せませんな。となれば、男は千八百万ガーズ、女は三千百五十万ガーズ。四千九百五十万ガーズでありますか…ええ、かしこ参りました。すぐにお出し致しましょう。」
そう言って頭を下げた副会長の顔には嫌みたらしい笑顔であった。
相手する伯爵の目も、少しばかり笑っていた。
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零章終了です。
次章から話数が膨大になる…予定です。
この時点では書き始めてもいないのでなんとも言えないですが、頑張ろうと思います。