第二話 自警団
自警団の隊長になった私は、早速色々な戦術理論の本を買って貰い、研究した。
門番四人がいて、内の一人が元は国の兵士だったらしいので『軍隊の戦い方』を根掘り葉掘り聞いてみた。
「村長、貴方の二番目の娘さん、凄い戦術の事を聞いてくるんですけどどうにかしてくれませんか?」
「…許せ。私には制御できん。」
盗み聞きした二人の会話である。
丁度その時には聞くことが無くなったので、私は自警団の参加をお願いした位だ。
任命されて1ヶ月後、私は自警団参加の希望者を募った。
男三十名─内訳は、門番四人とあの男衆十二人、希望者四人─、女十名─私を抜かしてなので、全員希望者─を確保できたので、早速隊長として部隊整備を行った。
「私達自警団は、村を脅かそうとする賊、魔物に対し村を守るためである!しかし、諸君等も村の一員だということは忘れてはならない!誰一人かける事無く、この村を守ろう!我々の装備はとても弱く、貧弱としか云いようがない。だが、それを心で、技術で補う!先の長い、いつ来るかわからない相手ではあるが、我々は任務を完遂せねばならない!…とかっこいいことを並べたけど、まあ頑張りましょう!」
「「「お、おおー。」」」
最後の最後で気が抜けてしまった。
まあ、別に軍隊じゃないから良いよね。
さて、私の自警団の説明をしよう。
まず、体制として『緊急時体制』と『通常時体制』の二つがある。
通常時は、門番の四名と警戒として私と週に一度メンバーが変わる二名の計三名、まだ完成はしていないが、物見櫓の監視員四名で運営する。
勤務に当たらない人は村の仕事をして貰い、私と行動するメンバーも村の仕事を優先。
特に収穫期とかは私が一人になる可能性が高いが、一人でもなんとかなるように訓練するつもりだ。
櫓警戒員は弓矢をもってもらい、日が昇り始めてから勤務を始め、日が沈むと家に帰る。
緊急時は、夜間昼間関係なく召集され、武器を所持に戦闘する。
治療専門がいないので、その確保もしたい所だ。
物見櫓が建て終わるまでは門番に頑張ってもらうしか無いが、とりあえず魔物や賊が来たら鉄の打板を叩いて貰う事にする。
木の打板が響かなかったので仕方なく鉄になった。
お金がかかると父が愚痴を言っていたが、必要経費だと言って説得する。
まあ、ケチれば村が簡単に潰滅しかねないのは理解しているようなので、すぐに用意して貰った。
自警団の装備は、槍の比率が多く、弓矢が少ない。
とはいえ、戦争の初心者、つまり私達のようなのは槍が良いらしい。
突くだけだからという理由だが、私にはちょっとわからない。
…まあ、無い物ねだりをしても話にならないので、頑張るしかない。
銃があれば楽なのに…。
こほん、ええ、村の周辺には簡易の柵が立てられているが、これを全て壁にし、門を作る。
門番というよりは出入り口の監視者なんだが、これで本当に『門番』になる。
後は壁の外側に5mの深さの堀をつくり、木を棘上にして、突撃すると刺さる仕組みの柵を堀の外に設置。
壁の上には歩けるスペースも確保し、弓矢で攻撃出きるようにする。
計画書を父に渡すと、「村に要塞を作る気か」と少し怒られたが、村を守るために必要だと訴えたらなんと通った。
けれど、一度領主様に報告しないと、村がとり潰される可能性もあるらしいので、堀と物見櫓以外は建築を見送り。
…で。
時々戦闘訓練をしながらも、掘削作業をしていき、堀は自警団設立から五ヶ月後の日に完成した。
そして、私が十二歳になった時。
南側の門番が鉄の打板を何度も叩く音がした。
「緊急事態発生だ!武器を取れ!敵を迎え撃つ!」
それが、平和な日々からのお別れになるとは誰が予想できただろうか。
大体の長さの目安はこれくらいです。