95 汚れた部屋へ
その95です。
「どうしてここにいるんだ」
「なにが?」
「とぼけるな。公安勤務になって豊浜へ行ったお前が、本庁に何の用があるんだ」
「もちろん、呼び出しくらったからだよ。イヤになるよなぁ、顔を直接見せろって。並列首都計画が泣いちゃうぜ」
「上の連中の中には、SNSどころかメールすら嫌ってるのもいるからな……って、そうじゃない。誤魔化すな」
雪郷のペースに巻き込まれそうなところを、どうにかブレーキをかける。こいつはいつもそうだ――と、紫煙をくゆらせる雪郷を、大陽寺は苦々しく睨んだ。
傍から見れば、本庁勤務で出世頭の大陽寺と、配置を変えられた上に地方(名目上は並列首都だが)へ飛ばされた雪郷では、比較することすらバカバカしいと考えるだろう。
しかし、大陽寺の中では違う。同期の中でも特に気が合わないと感じていたが、決定打となったのは豊浜への転勤だった。
ばん、と大陽寺はテーブルに叩きつける勢いで雑誌を置いた。
その雑誌の表紙に視線を移した雪郷は、ついつい口元がほころんでしまう。
「んー? 『国家を揺るがす闇、再建議会の謎を追う! 歴代首相も所属する右翼団体の全容』? それとも、『人気女子アナS、深夜の密会! 相手は若手イケメン社長』? もしかして、『退職金の預け先、本当に大丈夫? 資産運用のノウハウ、教えます』かな?」
「……とぼけるな。再建議会の件だ。お前も入ってるのは知ってるぞ」
なんだか胡散臭いモノが出てきましたが、
この作品はフィクションです(定型文)。




