92 騎士サンと決闘
その92です。
唐突なプロレスムーブですみません。
また頸に足が絡みつき、敵が旋回二週目に入ったことをエクヴィルツは理解した。
(なんだ、これは? こんな動きに意味があるのか?)
驚いたし当惑もした。だが、ダメージは一切ない。動きは非常に派手なのだけど、勝負においては何の意味もないパフォーマンスである。
ただ単純に敵を困惑させるだけの目くらましなのか、その裏で別な何かを用意するための陽動なのか?
(とにかく、わざわざ俺が倒れないように頑張る必要はない)
そう。エクヴィルツが適当に倒れるだけで、この旋回は簡単に終わってしまう。丁寧に付き合ってやる必要などない。
ぐるん、と敵が自分の肩を掴んで加速したのを感じる。
ならば適当に――とエクヴィルツが身体の緊張を抜いた瞬間を見計らったように、泰地は次の行動に移った。
「えっ?」
気付いたら、エクヴィルツは自分の額に敵の掌が添えられていた。
そして、全身に緊張を戻す暇も与えられず、一気に後ろへ引き倒される。
「……DDTってやつか」
プロレスではメジャーな技名をヴェリヨは挙げたが、当然のようにゲアハルトたちは理解できない。
泰地が何やら変な旋回を始めたと思ったら、いきなり後ろへ引きずり落として敵の後頭部を地面へ叩き付けた――これがシェビエツァ王国人が説明できる全てである。
ゆっくりと立ち上がった泰地は、白目を剥いているエクヴィルツを見下ろしながら静かに息を吐き出した。
「魔王サマさぁ……」
「なんなのだ?」
「あんた、空中殺法って言葉の響きだけで判断して、俺にプロレス技を仕込んだだろ」
正確には「コルバタからのDDT」なので、
ドラゴ〇・キッド氏の「メサイア」という技に近い感じです。
私の文章表現では分かり難いという方は、
情けない話ですが動画を検索してみてください。
というか、ドラゴン・〇ッド氏の技は派手で美しいので、
知らない方は試しに見ていただきたいです。




