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89 騎士サンと決闘
その89です。
「――シッ」
どれほどの間があったか。
いよいよと言うべきかやっとと言うべきか、エクヴィルツが鋭く仕掛ける。
完璧に間合いを把握していた彼の得物は、壁の数センチ手前の空気を綺麗に切り裂いていく。
その軌跡の延長線上にいる泰地は、むしろ悲鳴すらあげられずに気絶してしまうのではないか、と思わせる会心の一振りだ。
ところが、魔王サマから与えられた戦闘技能は予想外の行動を選択していた。
泰地は見事に避けて窮地を脱していた。
……上に。
無意識に真上へ跳躍し、そのまま両手両足を壁に突っ張らせて踏み止まったのである。
「面妖な……ッ」
呆れたようなエックホーフの舌打ちは、この場にいる全員――泰地自身も同意せざるを得ない。
ここだけいつも以上に短くてすみません。




