83 騎士サンと決闘
その83です。
頸動脈を狙い澄ました切り下ろしを、少年はすんでのところで避ける。間髪入れずに繰り出される二撃目、三撃目もどうにかかわし、無理矢理後方へ飛んで間合いを空ける。
「よくしのげましたね」
わずか数秒の攻防だったが、ゲアハルトは心臓が縮む思いだった。バイラーも同様で大きく息を吐き出したが、騎士ではないカウニッツは訳が分からないらしい。
「しのげたって、あんな速い攻撃を巧くかわしてたじゃないですか」
「確かに当たらなかったが、動きに無駄が多くて素人なのは明白だ。エクヴィルツがもう少し本気を出したら滅多打ちにされるだろう」
バイラーの冷静な分析に、ゲアハルトも異存はない。
確かに、泰地の反射神経の高さに瞠目させられたが、訓練を受けている人間を凌駕できるほどのものではない。どんなに優れた潜在能力を宿していても、きちんと磨いていなければ開花できずに腐ってしまう。
(それが分かっているはずなのに……)
ちらり、とゲアハルトは少年の相方である巨漢を盗み見る。その顔に心配の色がまるでのぞいていないのが、逆に不安になってくる。
いざとなったら自分が中止させるか――と、ゲアハルトとバイラーがアイコンタクトをしていると、再びエクヴィルツが仕掛けた。
先ほどより明らかに速さと鋭さを増した連撃であったが、これも(危ういながらも)泰地は一撃ももらわず間合いを外す。
とはいえ勝負の決着は呆気ないだろう――と、ゲアハルトたちはもちろん、エックホーフも疑う余地はなかった。
あとでまた、活動報告に色々書かせていただきます。




