71 任務開始
その71です。
メイドの運んで来たお茶(らしき飲み物。味や香りは紅茶に近いが、淡い紫色で違和感がある)を飲みながら、ヴェリヨは改めて三人を観察した。
まずは後ろに控えている騎士――名はバイラーというらしい――は、重そうな全身鎧と立派な青のマント、短く刈り揃えられた茶髪や顔立ちが、中性的なゲアハルトとは違って男臭さを際立たせている。実直で職務に忠実な人柄が全身から発散されているようだ。
もう一人の学者然とした男――カウニッツは、他の二人に並ばれると痛々しい気分にさせられる。細い四肢、凡庸な顔、どこかだらしない服の着こなし……おどおどした態度も、それに拍車をかけていた。これからの仕事への心配で胸が張り裂けそうだと顔に出ている。
そしてゲアハルト。持って生まれた美形加減はもう説明する気にもなれない。ただ、身に着けている甲冑もアレだ。職人が数年かけてあつらえましたと言わんばかりの繊細な装飾の数々は、完全に「礼服」扱いなのだろう。首から提げられた深い赤色の宝玉などを見ても、それは明らかだ。
お茶を半分ほど飲んだところで、ゲアハルトが姿勢を正した。
「それでは、説明をさせていただきます。事前にお渡ししてある資料の内容と重複する部分もあるかと思いますが、よろしくお願いします」
「あ、はい、お願いします」
泰地がぎこちなく頭を下げる。心ここにあらずといった感じで、さすがにヴェリヨは心配になってきた。
「まずは、このシェビエツァ王国の置かれている状況から始めます。カウニッツ、お願いします」
「は、はいぃっ」
呼ばれたカウニッツは、完全に浮足立っていた。手足に棒が差し込まれているかのようなぎくしゃくとした動作で、傍に置かれていた金属棒を掴み、頭上へ掲げる。
……天井近くに巻き取られていた世界地図が引き下ろされるまでに、軽く二分を要した。
色と味が一致しない食べ物って、あらゆる意味で混乱しますね




