67 任務開始
その67です。
不思議なのは、巨大なテーブルと十以上の椅子が用意されているというのに、王様――ピゼンテル三世が座ろうとしないところだ。こうなるとヴェリヨも泰地も身を持て余してしまう。
それに気付いたピゼンテル三世は、力なく微笑んだ。
改めて観察すると、王の顔には疲労が滲み出ているのが見て取れた。おそらくは四十歳に届いていないと思われるが、その仕草などで十歳以上老けているようにすら感じる。
「すまない。本来ならば歓迎の式典を用意すべきところなのだが……恥ずかしい話だが、貴殿たちを迎えることを望まぬ者が多くてな」
「いえ、こちらも貴国の事情は窺っています。問題ありません」
頭を下げようとする国王をヴェリヨが制する。泰地もそれで思い出した。魔王復活を権力争いや私腹を肥やすために利用しようとする輩がいる、と。
一応は「封建制」と聞いているが、中世ヨーロッパにおけるそれと全く同じというわけではないだろう。とはいえ絶対王政ならば(少なくとも表面的には)こんな事態にはなっていないはずである。
そう考えると、ピゼンテル三世の心労は相当なものではなかろうか。
「せめて心尽くしの宴を用意しようとも考えたのだが、そちらの上司のユキザトが職務倫理規定に抵触する恐れがあるとか何とかで断ってきた。意味がよく分からないが、禁止されているというのであれば無理強いはできない。礼を失しているようで申し訳ない」
……泰地が雪郷を胸中で呪うのは何回目だろう。
公務員は色々と面倒ですね。
下っ端への締め付けばかりが強くなってますね




